2016年5月発売
なんて酷い男なの! 先日の従妹の打ち明け話を思いだして、リーは怒りに震えた。マット・ヒューム──大会社の社長が、自分の部下を弄ぶような真似をするなんて。ふと、リーは目の前で食事を供にしている婚約者に目を移した。彼はとてもよい人だし、そんなことはしない。ただ最近は、リーからの愛情を感じられないと嘆いてはいるけれど。ひとりでレストランを出て、エレベーターに乗った彼女は、狭い空間に火花が散るような感覚を覚え、衝撃を受けた。奥に立つセクシーな男性の灰色の瞳から、なぜか目を離せない。次の瞬間、抗えない力に引かれて、
海辺のレストランで働くクレアはその週末、情熱に抗えずひそかに想いを寄せるハンサムな大富豪ヴィックと体を重ねた。だが避妊に失敗して3カ月半が経ったとき、体の異変に気づく。天涯孤独の彼女のお腹には、新しい命が芽生えていた。ずっと夢見続けた、愛する夫と子供のいる幸福な家庭。妊娠を打ち明ければ、彼はプロポーズしてくれるかもしれない。でも…それは義務感から。私を愛しているからではないわ。クレアは体調を案じる彼に嘘をついたー妊娠はしていないと。ところが、つわりに耐えながら働いていたある日、店で倒れてしまい…?!
アイサは、ある日仕事場に現れた人物を見て凍りついた。マーク! いったいなぜここに?6年前、アイサは世界的なジュエリー企業でCEOを務める彼と恋に落ちた。しかし、父が彼の会社の宝石を盗み、幸せな時間は突然終わりを告げた。マークに無惨に捨てられ、アイサは街を去ることを余儀なくされたのだ。今になって再会するなんてーー消せない想いに、彼女は必死で背を向ける。だが、マークは容赦しなかった。逃がさぬとばかりに家まで追ってくると、“ずっときみを捜していた”とささやき、熱く力強くアイサを奪う。どうして私を求めるの……軽蔑
『奔放な公爵の改心』-巨万の富を誇るルーファスは数週間前に公爵の称号を受け継いだばかり。領地の管理人が夜逃げしたという知らせを受けて現地に向かったところ、森の池のほとりで若く美しい娘と出会い、思わずキスしてしまう。彼女が教区牧師の品行方正な妹アンナだとは知らずに。『大富豪の逃げた花嫁』-やり手実業家のジャックは、父の会社との合併目的で私に求婚したんだわ!花婿の不実を知ったメロディは式の直前に教会から逃げだし、静かなリゾートホテルにやってきた。心の傷を癒やそうと思ったのもつかの間、追いかけてきたジャックに妊娠を悟られ…。『赤ちゃんがかけた魔法』-シングルマザーのマリッサは育児講座でアレクと出会った。妻を出産時に亡くした彼は1歳の息子を一人で育てているが、仕事との両立は難しいという。アレクに育児の腕を見こまれ、マリッサは彼の家に住みこむことになったー恋愛関係は絶対になしという約束で。
トスカーナの田舎で伯母と暮らしていた二十歳のミアは、本当の父親が大富豪オスカー・バルフォアだと知らされた。ミアはイギリスに移ることになるが、質素な田舎育ちなので、バルフォア家の華やかできらびやかな世界になじめない。オスカーの命令で、ミアはさる人物の邸宅に住み込み、ふさわしい令嬢になるべく教育を受けることになった。教育係に指名されたのは、ニコス・テアキスーー若くして巨大複合企業をつくりあげた、ギリシア人億万長者だ。ミアはハンサムなニコスにひと目で魅了されるが、彼はなぜかいつもミアに冷たくあたり……。
勤め先の老社長ミスター・ローズが亡くなり、ベロニク・ドラクロワは弔問のためローズ邸を訪れた。広大な屋敷のビリヤード室に迷い込んだ彼女は、そこでブランドン・ローズと出会う。故人の息子で、彼女にとっては新社長となる、ハンサムな社交界の寵児だ。ベロニクは彼を慰めようと、ビリヤードの相手をしながら、自分も父がいないことを打ち明けた。父の名前を聞いて、ブランドンがキューを持つ手を止めたことには気づかなかった。以来、ブランドンはなにかと彼女に誘いをかけてくるようになる。ベロニクの心は躍った。王子様に見初められた、シンデレラの気分で。
田舎町で小学校教師をしているタマラには秘密があった。まだ何も知らないうぶな少女だったころ、デート相手に迫られ、望まぬ妊娠をしてしまったのだ。厳格な両親は彼女に施設で出産させ、子どもは里子に出された。7年が経ち、タマラは私立探偵に依頼して娘を捜し出した。娘はフランシーといい、サンアントニオで暮らしているという。タマラは娘の顔を見たい一心で、いけないと思いながらも、フランシーの養父クレイトンがいる口腔外科に予約を入れてしまう。そして知ったのだ。裕福ですばらしくハンサムなクレイトンが、亡き妻の代わりに娘を見てくれる、ナニーを探していることを。
64歳で航海士としての勤めを終えた楠木健太。妻に先立たれ小樽にひとり暮らす彼は、あるきっかけで「終活」をはじめた。それは彼にとって、自分らしい人生の終え方を考えるためのプロセスでもあった。エンディングノート、財産管理や後見人の契約・葬儀・お墓・遺影の準備など終活を進めていく楠木を心配しつつ見守る姪の理沙と夫のペッカ。フィンランド人を父に持つペッカはフィンランドにある「オーロラ観測村」の後継者で、ふたりはまもなく日本を発ち移住することになっていた。「人生の最終章」を描く感動小説!
アニメ、マスコミ関係者の集う、新宿ゴールデン街のバー『蟻巣』。ミステリ好きの客たちがあれやこれやと推理を語り明かした日々も今や昔、ついに閉店の日を迎える。鍵の返却までのわずかな時間、常連客たちは、チェシャ猫をなでながらパイプを燻らせていた、在りし日のマンガ家・那珂一兵の姿を思い出す。その一兵が遭遇した二つの事件を、別れの酒の肴に語り始め彼らがたどり着いた、衝撃の真相とは? 近江由布子、新谷知久、可能克郎と辻ミステリのオールスターキャストで贈る推理作家協会賞受賞シリーズ最終作。
内気な中学2年生・暮志田千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターで講座を受けることになる。退屈な日常が変わることを期待して料理教室に向かうと、明るく子供っぽい桃、ちゃっかりしたリアリストの真紀、堅物な優等生の公子と出会う。4人は偶然にも同じ班となり、性格の違いからぎくしゃくしつつも、調理を進めていく。ところが、教室内で盗難事件が発生。顛末に納得がいかなかった4人は、真相を推理することに。性格も学校もバラバラな四人の少女が、カルチャーセンターで起こる様々な事件の謎に挑む! 新鋭が贈る、課外活動青春ミステリ。
異界と現実世界とのあいだにある“はざま”で産する竜卵石は、主の“気”を受けて玉妖と呼ばれる精霊を宿す。なかでもその美しさ、知性から伝説的な存在とされるのが、“難波コレクション”の七つの玉妖たちだ。修行中の駆妖師彩音は、そのひとつ〈くろがね〉を受け継いでいた。同じくコレクションのひとつを受け継いだ姉が、その玉妖に魅入られてしまった。このままでは姉の命が危ない……。創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
不登校の息子は、オンラインゲームに明け暮れる毎日。息子を心配する母の思いがあふれて…ある日急に、父が猫を飼いだした。せっせと世話をするその背中には深い愛情が込められていて…初めて彼女ができた。クリスマスを前に、彼女とすごすことを母に言いだせない。そんなとき母は…両親への愛を描いた短篇集。
月の光でお読みください。 夏の夜更け、アメリカ東海岸の海辺の町、眠らずに過ごす、さまざまな境遇の男女がいる。 何を求めているかもわからず、落ち着かない14歳の少女、ひとつの小説を長年書きつづけている39歳の男、その男を優しく見守る60代の女性、マネキン人形を恋い慕うロマンチストの酔っ払い、仮面を着けて家屋に忍び込む少女たちの一団……ほぼ満月の光に照らされ、町なかをさまよう人びとの軌跡が交叉し、屋根裏部屋の人形たちが目を覚ます……。 ミルハウザーの9作目(1999年発表)にあたるこの中篇小説は、格好の「ミルハウザー入門」といえるだろう。短い章を数多く積み重ねながら、多様な人間模様と情景を緻密に描写することによって、「小宇宙」全体の空気を浮かび上がらせる手法は、作家の得意とするところ。まさに作家の神髄が凝縮された作品で、余韻は深く、心に重く響く。 ミルハウザー初心者の読者には好適であるとともに、熱心なミルハウザー愛好者にも堪能していただける傑作中篇だ。 「訳者あとがき」に柴田元幸氏による「注」を付した。カバー装画は画家の牛尾篤氏。
24歳松本清張賞作家が描ききる「自由への逃走」 美大の一年生・友親の危機を救ってくれた優しいイケメンの先輩。彼の過去に触れ、自らの生き辛さを自覚するがーー青春長編!
CAになれば、なんでも手に入る ……はずだったのに!? 華やかな世界に憧れ日本国際航空(JIA)に入社した紗世はCA7年目、理想 と現実のギャップにもがいていた。あるとき新人・航の教育係に任命されるが彼は会議でやらかし、機内サービスもトラブル続き。なのに今日も、夫婦問題を抱えた社長、大きなぬいぐるみを背負った女性、フライトログブックを頼む少年などの対応に追われ…? アラサー紗世の仕事と恋を乗せた運命のフライトの最終目的地は!?