2016年6月20日発売
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年発生した女性殺害事件を解決するカギが隠されていた!?(表題作「希望荘」)。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」…私立探偵・杉村三郎が4つの難事件に挑む!!
“菓子莫迦”の兄・晴太郎が恋をした。しかし、そのお相手はーおっとりした菓子職人の晴太郎と、商才に長けたしっかり者の幸次郎。兄弟が営む江戸の菓子司「藍千堂」に今日も難問が降りかかる。「藍千堂」シリーズ第2弾。
ひょんなことから、着ぐるみに入って演技する「スーツアクター」としてコンビを組むことになった、樺島雄一郎と太田太一。怪獣映画に夢をかけながらも、とある事故のトラウマから着ぐるみに入れなくなってしまった樺島と、天然ボケにして天性の演技力の持ち主・太田。映画撮影所で次々とおこる事件を、ときにコミカルに、ときにハードボイルドに、相棒同士となった二人が解決する!
FBI捜査官ニコラスのもとにテロ組織“COE”が爆破を企てているとの情報が入るが、現場に向かった直後に爆発が起こり、情報提供者も亡くなった。その炎を遠くから見るCOEのメンバー、バネッサは呆然とした。これまでCOEは、人を殺さないのをモットーとしてきたはずだった。だが今回、組織が犠牲者を出すのをためらわなかったのは、最近加わったダリウスの入れ知恵に違いない。バネッサは、次の凶行を防ぐため、組織のリーダー、マシューを誘惑して懐柔しようとするが…
代々続くスコットランドの治療師の娘メグは、先祖より伝わる習わしに従って結婚せず、自立した生活を送っていた。ある日、馬車に乗った男性と目が合い、その瞬間に強いときめきを感じる。彼はイングランドから来たマードン伯爵ー近隣一帯の大地主で、小作人を次々と立ち退かせていると噂の冷血漢だった。彼の悪評を聞いて想いを抑えようとするメグだったが、伯爵も美しいメグに惹かれていて、再会したふたりは衝動のままに唇を重ねてしまう。しかし、身分も価値観も違う彼らの恋はすれ違うばかりで…
刑事事件の裁判有罪率は99.9%-絶対、逆転不可能な状況の中、個性的な刑事専門弁護士たちが残された0.1%の可能性にこだわって事実を追求する。新感覚の痛快リーガル・エンターテインメント。
私の10年間は無駄だった。クリオはニューヨークのパーティで婚約者の浮気を目撃し、人生何度目かの挫折を味わっていた。そこへ現れたのが、非情で知られる大富豪ステファンだ。彼が私にやさしくするのは、大学時代の友人だから?それとも、“略奪専門のプレイボーイ”の標的として?けれど、クリオは藁にもすがる思いで彼に助けを求めた。必死になりすぎていた彼女は、なにも気づいていなかったのだ。ステファンの目に復讐の光がちらついているのも。クリオに値段をつけ、婚約者から買おうとしていることも。
「その結婚に異議あり!」突如響いた声に、エリンは戦慄した。式場に飛びこんできたのはーディミトリ・マカロフ!かつてのボスで、今をときめく世界的な大富豪だ。7年前、エリンは秘書の身でボスと一夜を過ごし、身ごもった。だが放蕩者として悪名高い彼は、完全な独身主義者…エリンは彼の前から姿を消し、ひとりで出産したのだった。カフェの屋根裏に住み込みで働き、なんとか暮らしていたが、裕福なゲイの友人に頼まれ、形式だけの結婚を決めた矢先だった。ディミトリは息子の存在を知ったのね…一体どうするつもり?
パリにあるレイラの香水店に、驚くべき客が訪れた。さる国の王で、稀代のプレイボーイとして有名なアリックスだ。愛人へ贈る香水を買いにきたようだが、彼がレイラに留めた目は、どんなに疎い女でもそれとわかるほど情熱的な光を帯びている。そして翌日から、アリックスの怒涛の誘惑が始まった。高価なドレス、ディナー、プライベートジェットでベネチア旅行ーオペラ鑑賞後の夢のような夜、レイラはついに彼に身を委ねた。めくるめくような愛の手ほどきに、初めて内気な殻を破った。アリックスが秘かに進める、後ろ暗い計画など知りもせずに。
ルーシーは夫のディオに離婚を迫った。結婚して1年半、夫が屋敷に招く客を妻としてもてなし、理想の夫婦を演じてきた。でも、それももうおしまい。父亡きいま、夫婦を続ける意味はない。この結婚は、夫が父の会社を救うという契約の一部だったのだから。結婚式の夜、それを知った彼女は夫とベッドをともにするのを拒み、その後も、人前に出るとき以外は一緒にいることさえ避けてきた。ところが、離婚を告げられたディオの反応は意外なものだった。まだ行っていないハネムーンのあとでなら別れてもいいというのだ。カリブの島で2週間、心ゆくまでベッドで過ごしたあとなら…。
伯爵家の家政婦ジーニーの人生は苦労の連続だった。亡き夫が遺した借金の返済のため、義理の両親が営む店の掃除や弁護士事務所のパートタイム、伯爵未亡人の臨時秘書を務め、希望もなく働きどおしの毎日を送ってきた。その後、伯爵未亡人の城の家政婦として雇われ平穏な暮らしを得たが、雇い主が亡くなった今、思いもよらない遺言が明らかになった。現伯爵アラスデアと結婚しなければ、城が他人の手に渡るというのだ。さらに代々一族が支配してきた金融帝国も城と同じ運命にあると知り、怒りに打ち震えた伯爵は彼女に向かって蔑みもあらわに言い放った。「きみは家政婦以外の何者でもない。ぼくには近寄らないでくれ!」
ロンドンの病院で病棟看護師長を務めるジョゼフィンは、ある雨の日、田舎道を散歩中に危うく車に轢かれそうになった。彼女の目と鼻の先で急停止したその高級車には、気位の高そうな年上の男性が乗っていた。ジョゼフィンが思わず非難すると、相手はあろうことか、突っ立っていた彼女に非があると言い、冷たい一瞥をくれて走り去った。憤りを覚えながらも、彼の美しい顔がジョゼフィンの脳裏に焼きついた。2日後、出張する医師の代理の人物ユリアスが勤務先に現れたとき、ジョゼフィンは心臓が止まりそうなほど驚いたー彼こそ、先日彼女を轢きそうになったあの男性だったのだ!
地味で堅実な姉と、美人でわがままな妹ー姉のアンジェリーナは母亡きあと、家事いっさいを引き受け、牧師の父の手伝いもしている。一方、妹は家族を支えるどころか、あちこちでトラブルを起こしては、姉に後始末をさせていた。とはいえ、今度ばかりは酷すぎる。アンジェリーナは頭を抱えた。旅先で知り合った大富豪ヘリオスと成り行きで婚約したものの、別の男性に心変わりしたから婚約解消を伝えてきてほしい。妹がそう言って泣きついてきたのだ。早々にギリシアへ飛び、荒んだ様子のヘリオスに面会したアンジェリーナは、すぐに悟った。妹の身代わりの花嫁になる。それが唯一、彼女にできることだと。
ケイトは、イーリャ・ベレーザ王国の皇太子ルークのアシスタント。ハンサムな王子様への恋心が報われないとわかっていても、彼のそばにいられれば幸せだった。ところが、先ごろ婚約解消したばかりのルークの休暇に同行した夜、思いがけない出来事が起こる。事故で記憶喪失に陥った彼が、ケイトを婚約者と勘違いしてしまったのだ。甘いささやきと、欲望もあらわな視線。初めてルークの熱いキスを受け、ケイトはいつしか情熱に身を任せていた。まさか、彼の子を身ごもるとは夢にも思わず…。
保育士のベラのもとにある日、大富豪ブレイクが訪ねてきた。高価な仕立てのスーツに身を包み、彼女の産んだ赤ん坊を抱いて。9カ月前、ベラは代理母出産したのち、何も言わず彼のもとを去った。子供の成長をともに見守る約束だったが、出産後、彼の妻から二度と現れないでと冷たく突き放されたのだ。何も知らないブレイクは、瞳に非難の色をたたえて言った。「妻と離婚したんだ。さしあたってはきみに、息子の面倒を見てほしい」わたしがこの子のナニーに?もちろん、引き受けたくてたまらないーブレイクの育てる子供は、本当はわたしの血を分けた実の子だから。でも、それは絶対に知られてはならない秘密。いったいどうしたら…。
クラリスは17歳のとき幼なじみの年上の男性ロークにキスされてから、ずっと彼との結婚を夢見続けていた。だが、そばに行くたび、なぜかロークは不快感をあらわにする。けがらわしいものでも見るような目。私は嫌われているんだわ!クラリスはロークのことをあきらめようとしたが、欠席できない大事なパーティで顔を合わせたとき、奇跡が起こった。彼がこれまでの冷たい態度のわけを説明し、愛を告白してくれたのだ。クラリスは歓喜のなかでロークと熱い一夜を過ごし、彼の子を宿す。数カ月後、結婚の約束まで交わした愛の記憶をすべて失った彼に、“二度とぼくに近づくな!”と言い放たれるとも知らずに。
銀行頭取のアシスタントであるマーティーンは、ある夜ボスとのディナーに向かう途中、レストランの回転ドアに、見知らぬ男性と挟まれてしまう。彼は身震いするほどセクシーだが、ひどく無礼な態度だった。驚くべきことに、ディナーの席でボスに紹介されたのが、まさにその男、ブルーノ・ファルカッチだったのだ。ボスはこの年下の従弟を、銀行の後継者にするつもりだという。マーティーンは彼が銀行を乗っ取るつもりなのではと疑い、ブルーノは彼女を頭取の愛人と決めつけ、二人は火花を散らすが、会議のため共に赴いたローマで、とんでもない過ちが起きる。
図書館司書のアメリアは夜間にウエイトレスの仕事を始めた。めがねを外し、きわどい服を着るのは本意ではないが、退屈な人生を変えるためにどうしても車を買う資金が必要だった。厳しく育てられた彼女が夜の副業を持っていることが知れたら、同居する大伯母はおろか、町中が上を下への大騒ぎになるだろう。ある晩、予想もしなかった客が来店する。アメリアが長年片想いをしているタイラー・サヴィジだ。町の住人に見られた衝撃も相当だが、彼の注文にはさらに驚いた。彼はこの美しいウエイトレスがお堅い司書とは気づかずに、陶酔のまなざしで、「俺が欲しいのはきみだよ」と言ったのだ。
アーモレルー海の住人という意味の名を持つ彼女は、3歳で伯母に引き取られ、南太平洋の孤島で育った。あるとき伯母と乗ったボートで嵐に遭い、伯母は死亡。彼女は6週間も漂流したあげく、無人島の渚に打ち上げられた。アーモレルを救ったのは、近くをヨットで航海していた、イギリス人実業家のショルト・ランサムだった。彼はアーモレルを連れ帰って静養させた後も、学校に通わせ、彼女の“後見人”として、卒業後も何かと面倒を見てくれた。美しいアーモレルの周辺に、やがて若い男性が集まるようになる。だが彼女は、命の恩人であるショルトを愛し始めていた。