2016年6月発売
片山義太郎が、夜行列車で出逢った女性は白猫の化身!? 晴美との結婚を当て込んで、石津が引っ越した郊外の団地。その近所に、開発から取り残されたような村があり、〈 猫屋敷〉と呼ばれる地主の家で惨劇が起こった。飼われていた十一匹の猫たちとともに、女主人が殺された。その後、次々起こる殺人は、殺された猫たちの怨念なのか!? スリリングな ミステリー。
病に伏せる命の恩人、切腹した父、生き別れた母、縁を切った妹、別れた亭主、憎き敵、いつも優しかった幼馴染…。人にはそれぞれに想いのある料理がある。鰻丼、天ぷら、鉄火巻きから大根飯、しじみ汁、きんつばまで、涙、怒り、笑いを江戸の味にのせて調理された「掌の小説」。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家が描いた二十一の超短編集。
明治五年初冬、ざんぎり頭で妻を伴い、浅草蔵前の裏長屋に身を寄せた男がいた。新選組最後の隊長・相馬主殿が、流刑から赦免されてやってきたのだ。しかし文明開化の東京には、相馬に復讐を企む男が待っていたー。(表題作)その他、龍馬を斬ったとされる今井信郎のその後と暗殺の謎に迫る「近江屋に来た男」等、歴史の闇に埋もれた男たちに光を当てた珠玉の七編。
「昭和大衆文壇の父」と呼ばれる長谷川伸が主宰した小説勉強会「新鷹会」。会での恩師・長谷川との対話はまさに一期一会の真剣勝負。そこから村上元三、池波正太郎など数多くの人気作家が生まれてきた。平岩弓枝の監修による本書には同会作家による九篇を収録。武士や職人、料理屋の娘など、出会いと別れの一瞬を生きる者たちの一途な想いが胸に沁みる傑作時代小説集!
自らの藩が取り潰しとなり浪人となった塙十四郎。生計を立てるのに苦労する十四郎は、ある日、襲われていた元幕閣の大物を助けたことをきっかけに、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に雇われる。さまざまな悩みや問題を抱えて駆けこんでくる哀しき女たちを救うため、十四郎と橘屋の女将・お登勢たちが奔走する。著者の代表シリーズが光文社文庫に初登場!
縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に雇われた元築山藩藩士の塙十四郎。ある日、斬られようとしていた浪人を救うが、浪人は十四郎のかつての許嫁雪乃の夫だった。仇を討たんと藩を出て江戸に出てきたかつての許嫁とその夫。しかし、生活苦から身を落とした雪乃に悪の手が迫る。はたして十四郎は許嫁を救えるのか。悲喜こもごものドラマが詰まったシリーズ第二弾。
ある二人の居場所を突き止めるよう命じられたマリエル。その二人さえ見つけられれば、弟のジャックを返してもらえるうえ、自分たちは自由の身になれる。マリエルとジャックは両親亡きあと、スパイ、暗殺者、売春婦の元締めであるアーロンのもとに身を寄せざるを得なかった。そこでマリエルは、身分の高い者たちから秘密を聞き出すためのスパイとして教育されたのだ。彼女が最後の仕事を遂行するには、スコットランドから来た族長に取り入り、彼とともにスコットランドへと行く必要があってー。
ノーベル文学賞作家の不朽の名作を新訳で ジャングルの動物に育てられた少年モーグリの冒険譚。映画化も進行中の、ノーベル文学賞作家の不朽の名作がみずみずしい新訳で蘇る。
弁才天はいつから琵琶を持つようになったのか? 神々の逢瀬に歯噛みする猿、秋に桜を咲かせる木、蝶に変わる財物ーー京の不思議がつぎつぎに晴明と博雅をおとなう大人気シリーズ。
安倍晴明と源博雅のコンビが平安の闇を祓い続けて夢枕作品は百を越えた。映画、歌舞伎、ドラマ、音楽、漫画と越境を繰り返し「陰陽師もの」という一大ジャンルを築く元となった小説・陰陽師シリーズの磁力の源と謎に、インタビュー、対談、座談会、エッセイ、登場人物紹介、全話解説等あらゆる角度から迫ったファン必携の一冊。
八咫烏の世界で繰り広げられる壮大なファンタジー 八咫烏の世界に、危険な薬の被害が続出。その行方を追って旅に出た若宮と雪哉の前に出現したのは人を喰らい尽くす大猿だった……! 第一章 垂(たる)氷(ひ)郷(ごう) 第二章 少女 第三章 藤の矢 第四章 深層 第五章 涸れ井戸 第六章 不知火(しらぬい)
スクランブル飛行中の自衛隊機TF-1が墜落。原因はパイロットの操縦ミスとされたが、この機を開発した四星工業の技術者たちは腑に落ちないものを感じ、独自に調査を始める。そして半年後、TF-1が再び墜落した。日本の国防を揺るがす真の脅威とはなにか?松本清張賞受賞の傑作航空サスペンス!
御鑓拝借に始まった騒動から年が明け、文化十五年。赤目小籐次と、肥前鍋島本藩を含む四家が組織した追腹組の死闘は続いていた。それに追い打ちをかけるように、江戸の分限者たちが小籐次の首に千両の褒賞をだし、剣客を選んで順に小籐次を襲わせるという噂が流れる。事の真偽は如何に?小籐次の危難が続くシリーズ第4弾!
時は幕末。何をやってもうまくいかない南町奉行所の若手同心・澤村文吾は幼馴染の静馬と再会する。静馬は剣術道場を始めると語るが、その支援者は任侠の顔役・鶴の伊右衛門だったー。文吾の身を案じる親分猫・マサムネも登場してますます賑やかな書き下ろしシリーズの第四弾。おネエ同心・中村様が主役のおまけも収録。
「秋色」とは、「心の中にある秋景色のこと」である。世界的に著名な建築家をめぐる三人の女性。京都の名家出身で二廻り年下の妻、三十年来の愛人である銀座の高級クラブのママと大学生になるその娘。シドニー、麻布、銀座、奈良、京都、伊豆山と舞台を移し、華やかにそして哀しく展開される、三人三様の愛のかたちと駆け引き。
有名建築家・今野良衛は、京都の名家出身の菊子と結婚、上流階級の仲間入りを果たすも、家では暴君であった。今野にはすべてを打ち明けている三十年来の愛人・寺田奈津江がいた。貞淑な妻・菊子だが、シドニー行きの機内で出会った女子大講師・椿井新八郎の人柄に惹かれていく。その椿井を慕うのが、奈津江の娘・世紀であった。