2016年7月28日発売
「34歳は男の人生の転機だと私は信じているのです」浅見家に届いた一通の手紙。それは浅見光彦34歳の誕生日会の招待状だった。知らぬ間に企画されたことに驚きながらも、初恋のひとである稲田佐和の名前に心惹かれた浅見は参加を決める。誕生日会の直前、発起人代表である本沢千恵子が美貌のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハを伴い浅見家を訪れた。丹沢篠山で行われるコンサートでボディガードを頼みたいというのだ。アリシアは祖母が彼の地に残した楽譜を預かるように言われていた。一度は断る浅見だが、兄・陽一郎からの要請もあり丹波篠山に赴くことに。ところが楽譜の手がかりである「インヴェ」という男の家で殺人事件が発生しー!?名探偵・浅見光彦“最後の”事件が新書版で登場!
ビルの最下層で目を覚ました13歳の少女レイ。彼女は記憶を失い、自分がどうしてここにいるかさえ分からずにいた。そこに現れたのは包帯で覆われた殺人鬼ザック。「お願いがあるの、お願い、私を殺して」「一緒にここから出る手助けをしてくれよ。そしたらお前を、殺してやるよ」二人の奇妙な絆は、そんな“イカれた約束”をキッカケに深まっていく。果たして、ここはどこなのか。二人は何の目的で閉じこめられたのか。彼らを待ち受ける運命とは。密閉されたビルから脱出する決死行がはじまった…!
生存とは、いつだって闘争だ。帝国軍、ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐は極寒の東部戦線において文字通りに原初的な事実を痛寒していた。精緻な暴力装置とて、凍てつき、動くことすら、骨を折る季節。なればこそ、冬には策動の花が咲く。矛盾する利害、数多の駆け引きが誰にも制御しえぬ混迷の渦を産み落とす。
かつて神様だった少女・千石撫子。夢を追い、現実に追いつめられる彼女は、式神童女・斧乃木余接の力を借りて、分身をつくることに成功する。しかし4人の「撫子」達は、ばらばらに逃げ出してしまい…?これぞ現代の怪異!怪異!怪異!自分さえ、手に負えないのが青春だ。
織田方の軍勢は木津砦に襲い掛かった。雑賀党一千の銃口が轟然と火を吹き、その猛攻を食い止める。本願寺門徒の反転攻勢を打ち砕いたのは、京より急襲した信長だった。封鎖された難波海へ、ついに姿を現す毛利家と村上家の大船団。村上海賊には、毛利も知らぬ恐るべき秘策があった。自らの家を保つため、非情に徹し、死力を尽くして戦う男たち。景の咆哮が天に響くー。波瀾の第三巻。
雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凛の問いに、栢山は困惑する。「数学って、何?」-。若き数学者が集うネット上の決闘空間「E2」。全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」。ライバルと出会い、競う中で、栢山は香凛に対する答えを探す。ひたむきな想いを、身体に燻る熱を、数学へとぶつける少年少女たちを描く青春小説。
“共和国”の緑化政策船団の護衛のため、航空上の脅威となる人狗に対抗する生体兵器として生み出された対狗衞仕の員。数百年を戦いと孤独のうちに費やした彼女は、情報の涸れ果てた互聯網上を彷徨う中で、cyと名乗る人物に呼びかけられる。豊かな知識を所有する彼との対話に喜びを見出す員。だが、共和国が散布する細菌兵器の脅威が、cyに迫っていた。硬質な叙情に満ちた本格SF。