2016年7月発売
髭面の破天荒なオヤジ・伸太郎、通称髭太郎がぼろアパートで没頭するのはヴルスト(ソーセージ)作りだった!半端な生き様を改めるため受験勉強に励む勇人は、下の階に住む髭太郎にペースを乱され、挙げ句の果てに彼の作業を手伝う羽目となる。ところが徐々にその奥深さに引き込まれて…。目的に向かって突き進む二人の熱気とヴルストの魅力が迸る痛快青春小説!
二十九歳の桐子は、求婚してきた吉森と萩の温泉に来ていた。だがその夜、桐子は宿を抜け出し別の温泉宿へと向かう。そこで待っていたのは過去五年間、秘密の関係を続けてきた妻帯者の湖島だった。桐子の胸に秘められた、ある決意とは…。(表題作)秘密の愛に彷徨う女たちが最後にとった驚愕の行動ーミステリー界に大きな足跡を残した著者の魅力溢れる傑作短編集。
警視庁捜査一課刑事・山科正人には誰にも話せない秘密がある。休暇先で強盗グループに遭遇した女性を助け、一度きりの秘めた関係を持ったのだ。帰京して殺人事件の捜査本部に加わった山科は新宿署の牛尾刑事とペアを組む。捜査が進展し、自身の秘密と事件との関わりに気づき、「悪の本性」に目覚めたことを自覚した山科。彼を疑い始め苦悩する牛尾ー。迫真の傑作推理!
中高年登山者や山ガールの増殖に加えて、今年二〇一六年から八月十一日が祝日の“山の日”となり、さらに加熱が予想される登山ブーム。だが、山は俗世間を離れた特殊な場所ー異界あるいは密室として、多くの物語の舞台になってきた。本書は厳しい大自然の中で繰り広げられる謎と殺意と愛憎に満ちた山岳ドラマを八編収録。どれも山の魅力溢れる傑作揃い!
付火の罪で倅が火付盗賊改に捕まったと、御用宿「橘屋」を手伝うおふくが主・お登勢と雇われ人の塙十四郎に訴えてきた。倅の無実を信じる母親おふく。十四郎は倅の忠太が付火の真の下手人かどうか調べ始める。すると、忠太がやっていないという証言が続出。冤罪は晴れるのか。しかし、ついに刑の日がー。親子の情を切なくも愛しく描いたシリーズ第三弾。
両国・米沢町一丁目の裏長屋に住むお糸が、十年前に死んだ一人娘を「自分が殺した」と自身番に訴え出る。心配した杢之助たちはお糸を宥めるが、時を同じくして町内で人殺しが起こる。あこぎな金貸しを恨んでの犯行かと思われたが、お糸を巻き込み、事態は意外な方向に転がってゆく。町の安寧を守るため、人に言えない過去をもつ杢之助が活躍する好評シリーズ第二弾。
辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り…。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく!恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。
大関大龍が横綱推挙を断る!!前代未聞の出来事の裏側にどんな事情が!?本場所千秋楽、好敵手である富士穂鷹との取り組みでの不可解な無気力相撲。両国・回向院で発見された初老の男の死体。高度経済成長時代に起こった誘拐事件。集団就職に隠された闇…。複雑に絡みあういくつもの謎から、真相が炙り出される。吉川英治文学新人賞受賞、社会派ミステリーの傑作。
「母を殺した罪で服役していました」旅行作家・茶屋次郎の許を訪れた読者・細谷水砂は、衝撃の事実を口にした。一貫して無実を主張したにも拘わらず、警察の思い描いた絵図ーラブホテルに入った母親に激怒、放火殺人に至ったー通りに判決が下ったという。冤罪を晴らしたいという訴えに茶屋は、世界遺産の地・広島に向かった。やがて浮上する、火災のもう一人の被害者の奇妙な過去。その男は事件の二年前に失踪していたというのだ。引っかかりを覚えた茶屋は、警察の牽制も無視し、怒りの推理行を続けるが…。
試験勉強中に寝落ちしてしまった男子学生、深井長政。目覚めると、そこは戦国時代!?彼はなんと戦国大名“浅井長政”となっていた。そして長政はあることに気づく。浅井長政の妻と言えば…そう、織田信長の妹“市姫”だ!戦国時代で絶世の美女と言われた彼女と、長政はイチャイチャな毎日を堪能することになる。また、長政は大名としても辣腕を振るう。浅井家の領地を開拓するため、家臣との繋がりを強くしようと市姫とともに奔走。しかし、そんな中、隣国“六閣家”が浅井家の領地に攻めてきたとの一報が入り…!?ネットで250万人を魅了した歴史ファンタジー、大幅な加筆と書き下ろしを加えてついに書籍化。
「魔獣には人を狂わせる力がある」 “魔獣”--その身体に“人”に酷似した部分を持つ獣が存在する世界。 人々が鑑賞・性愛の目的で雌型の魔獣を嗜好、盲愛して狂気に堕ち、世間には様々な事件が充ち満ちていた。 帝都最高の魔獣調教師『絢爛なる万華鏡』ゴヴァン卿の不可解な死とともに彼の全てを継承した青年ーーツカイ。 とある【魔獣愛好倶楽部】でツカイの友人となった上代ウヅキは、帝都最高峰の魔獣調教師【獣の王】として 名声を高めていく彼に纏わる魔獣絡みの事件に遭遇していき……やがてその地位に関する陰惨な真実に触れることとなる。 「運命の敵も、親愛なる友も、私にとっては同じことだ」 人間の業と罪過が妖華絢爛に綴られる、至高の王の残酷なる事件録。
王も国も意味を失って崩壊した世界。かつて国を為した組織は経済集団と定義され「圏<エスティズ>」と呼ばれるようになっていた。東にあるヒウモト圏の継承第二位のレイロウは自らその権利を放棄したにもかかわらず、頭脳の冴えゆえに、第一位主である兄からは却って疑われてしまい、暗殺を避けてロキオルス圏に亡命していた。しかし、ロキオルス圏位主官の娘マリエイラを房中術でもてなしながら隠遁生活を過ごすレイロウの下には、いまだ兄の殺意が貿易商の形となって伸びてくる。ある日、レイロウはマリエイラから、圏が侵略の危機にさらされる前にと、ヒウモトとの外交補佐を頼まれることになるのだがーー。「無事に解決してもらえれば報告も不要。私は“何も知らない”のですから」「面白い。軍勢のいない戦争だ、これは。--引き受けましょう、その話」神なき、経済的駆け引きの世界で織りなされる異質無比ファンタジー登場。
秘密裏に進められていた不死化の研究の失敗で“死の行進”と呼ばれる災厄が起き、死者の街と化した東京・渋谷。封鎖された渋谷から、災いが世界にばらまかれ街を死者が歩き、意思を持つ死者ーー“屍人”が暗躍する。“屍人”犯罪を抑止、解決するために設立された警視庁刑事部埋葬係の埋葬官・切牙鷹はかつて“死の行進”に巻き込まれた恋人を探すため、襲い来る“屍人”たちを薙ぎ払い、命を燃やして戦い続ける。 そして、いつか、死者と化した君を、撃つーーーー
あっと驚く希代未聞のショートショート小説 「王様のブランチ」で紹介された『家族スクランブル』がたちまち重版、さらには「海酒」が又吉直樹主演で映画化されるなど、今最も注目されているショートショート作家。今回刊行される『ショートショート千夜一夜』でも、多魔坂神社の祭りを舞台に珠玉のショートストーリーを紡ぎ出す。 <<内容>> 欲しいと念じたものが出てくるヒモくじ屋、そこに現れたゴロツキどもが引いたヒモの先には……?(「ヒモくじ屋」)、夜店ですくった人魚がどんどん成長して(「人魚すくい」)、モデルにスカウトされたエリカが行方不明に(「ラムネーゼ」)、降り注ぐ優しい雨を、自分のものにする方法(「雨ドーム」)他、全20編。 読み出したら止まらない! たった5分であなたを魅惑と幻想の世界へと誘います。
北海道絶景の地の実話も元にした奇跡の物語 大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。 北海道を舞台に数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話を元にした渾身の作品。
ランチワゴンは疾走する。 危険な中学生アイドルを乗せて。 街をワゴンで駆けながら、料理を売って生計を立てる女性・夏都(なつ)。 偶然にも芸能界を揺るがすスキャンダルを知ってしまった彼女は、 その流出を防ぐため、緑色の髪をしたアイドル・カグヤと協力することに。 ある女性の携帯電話に残されたメールを削除するという、 難しくないミッションのはずだったのだがーー。 想像をはるかに超えたラストで話題騒然となった「週刊文春」連載作。
二年前、二つの銀行がしぶしぶ合併して誕生した第七明和銀行。旧第七銀行出身である会長の権藤幾太郎は、専務の綾小路英麻呂を使い、旧明和銀行出身の勢力を排除すべく陰謀を巡らせていた。そんな折、雑用を担当する庶務行員の多加賀主水が、同銀行高田通り支店に配属される。彼の真の目的は、ある男からの命令を受け、極秘裏に支店内の動向を調査することだった!
葉太は九歳の小学生。ある日家に帰ると、母がいなくなっていた。代わりに滅多に家にいない録音技師の父が一緒に夏休みを過ごすという。最初は父を拒絶していた葉太。だが、土鍋で炊いたごはん、まっすぐ進む遊び、「雪の音」をつくる手伝いなど、経験したことのない日々に葉太は夢中になっていく。このまま一緒にいたいと思っていたけれど…。父と息子のひと夏の物語。