2016年8月26日発売
月夜煌めくとある日ーバンド活動に行き詰まりを感じていた音楽家、ノエルは運命の出会いを果たす。声をかけてきた男は黒の衣装を全身に纏い、夜にも拘らずサングラスをかけた怪しい風体。「てめぇ…、何者だ!?」あからさまな嫌悪を示すノエルに、その男は不敵な笑みを浮かべて…!?月夜の邂逅。青年は夜鷹の如く翔け上るー。バラレルワールドに存在する新生バンド“VANISHING STARLIGHT”の結成までを描いた激アツストーリーが堂々の開演!
図書館の非正規職員として働くゆたきは、コンサート会場で「ブルックナー団」を名乗るオタク3人組に声をかけられる。その一人、タケがサイトに書き継ぐ「ブルックナー伝(未完)」を読んだゆたきは、意外な面白さに引き込まれていく。19世紀ウィーンを代表する作曲家ながら「非モテの元祖」というべき変人ブルックナーの生涯は、周囲からの無理解と迫害に満ちていた。そんな彼に自分たちの不遇を重ねる3人組とつきあううちに、ゆたきの中で諦めていた夢が甦ってきて…。今も昔もうまく生きられない男女を可笑しくも温かく描く、異才の新境地書下ろし小説!
弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。
「この工場で奉仕するために必要なことは、愛情と使命感を持つことだ」ブラック企業を辞め、妻子を連れて地元へUターン就職したアルト。町は巨大工場を中心にシステム化されており、住民は誇りを持って働いている。しかしそこで何が作られているか、実は誰も知らないー。アルトたちも徐々に工場の「秘密」に気づきはじめ…。
女は軽井沢宿で飯盛女をしていたが、江戸に逃れて夜鷹となり、唐瘡に罹ってしまうー「千代」。歌舞伎の戯者になることを希う男児は、京から下り、希望とは裏腹に江戸の陰間茶屋で育てられることにー「吉弥」。貧乏長屋に住み、町芸者に入れ込んで借金を背負った浪人の男は、女房の不義密通を疑うのだがー「長十郎」。八丈島に住む娘は、御用船で送られてきた女犯僧らしき流人と懇意になるー「登勢」。濡れ衣の人殺しで入牢した男は、覚悟の準備をするのだが、そこで地獄の光景を目にし、自らも責問を受けるー「次二」。鬼気迫る五つの暗黒物語。
はみ出し者の地震学者たちが、究極の津波予測に挑むーー! 東日本大震災から三年。かつて地震研究所で広報を担当していた準平は、学界の“プリンス”武智要介に、ある計画に誘われる。 準平は、無謀だと思いつつも、武智の強い決意に推されてこの計画に参加することに。 他にも、それぞれの思いを抱えた〈チーム武智〉の個性豊かなメンバーたち。 彼らは、次々と立ちはだかる困難を乗り越え、プロジェクトを成功させることができるのか。 元研究者の著者による、「科学」への思いにあふれたエンタメ長篇
私はクリスティーナ・ノワール。天才だ。 愛する我が大天使・妹のミシュリーとともに 誰もが振り返る美少女へと、めきめき成長している。 いずれはノワール家姉妹で社交界を席巻する予定だ。 そんな私だは、婚約者の第三王子シャルル・エドワルドに 少し……そうだな、うん、つまりその、恋ってやつをしてしまったみたいだ。 感情というのは真に御し難い。 だがそんな時、第一糞王子のエンド・エドワルドが現れ、 淑女の私に向かって剣での決闘を吹っかけてきたのだ。 天才である私の機転でなんとか王子を懲らしめたが、 唐突にして衝撃的なお父様からの宣告が、心に突き刺さる……。 愛する妹ミシュリーのため、私はとある決断を下した。
ゴミ集積所に花を捨てようとしている男を見つけた春子さん。まだ咲いてるのもあるし、そもそも土に植えられたまま捨てたらいけないし。それに…。ちょっとしたことから男に声をかけた春子さんだが、その時点ではもちろん、秘められた真実に気づくことはなかった。一生懸命真っ直ぐな春子さん、ご近所だって冒険にあふれてる!
自伝的要素が濃厚な表題作ほか短編5篇を収録。朝鮮の「開化」の時代を、極貧に耐え志をもって生きた一青年の苦悩と民族の義憤を描く。待望の邦訳に詳細な訳者解説を附した。