2016年8月5日発売
ゲーム『幻想学園』の世界の転生した俺、クルリ・ヘラン。未来の没落に備えて鍛冶職人を目指したはずが、なぜか故郷を国有数の観光地に変え、学園でも順調に友人を増やし…。そうして、やってきた初めての夏休み。「本来の主人公」アイリスや生真面目な親友ヴァインを誘い、俺は故郷のヘラン領に帰省していた。早速舞い込む領内のトラブルに皆で立ち向かう中、なんとアイリスがダンディなヘラン家の使用人に恋をしてしまいー!?俺の未来、一体どうなっちゃうのっ!!??
田舎町のおんぼろな自動販売機、そのそばにはいつも着物姿の女がいる。軽やかに歌う彼女は「人ならぬもの」。なぜか“ぼく”にしか見えない女を幽霊と勘違いし、塩を投げつけた…それが、出会いだった。年月が過ぎ、気がつけば“ぼく”は、大人な見た目に反して子どもっぽく純粋な「自動販売機の精」に、恋をしていた。だけど“ぼく”は知らなかったんだ。彼女の本体であるおんぼろ自動販売機に「おしまいのとき」が迫っていることをー。
貴族令嬢として生まれながら、なぜか社交界ではなく戦場に身を置き、恋愛など見向きもせずに鍛練一筋の人生を送ってきたヘレナ。そんな彼女が正妃候補に選ばれ後宮入り!?宰相である父親に“自分の役割を全うせよ”と、正妃の座の争奪戦が巻き起こる後宮に放り込まれたヘレナだがー。「…私の役割。ええと、陛下に剣を教えるとか、か?」28歳、侯爵令嬢(脳筋)。女の欲望&陰謀渦巻く後宮で年下皇帝の心を射止められるか!?
ロンドン南東部の下町で、冬の朝、四歳の少年ダニエルは突然姿を消した。目撃者も身代金要求もないまま四カ月が過ぎ、心を病んだ母親アナは列車に飛びこもうとしたところを刑事マーヴェルに救われる。彼もまた一年前に消えた少女を捜していた。そんな折、アナは以前警察に協力した霊能者の交霊会に参加する。刑事は捜査の助けにもならず金だけもらった男の力を疑うが、その夜を境にアナはふしぎな声や光景を視るようになる。異常の兆候なのか、何らかのメッセージなのか。奇妙な接点で結ばれた失踪事件の行き着く先はー。CWAゴールド・ダガー賞最終候補作。
大英博物館に勤務する矢島剛は、大学の同級生ジミーから龍の像の鑑定を依頼される。像は清朝時代の庭園「円明園」から失われた十二支像ではないかと見られていた。矢島は像のデータを収集するが、その直後に像は忽然と消え去る。残されたデータを携え、矢島はかつての教え子で美術品を見抜く特別な才能を持つ段燕霞をパリに訪ねる。かねてから段に好意を寄せていた矢島だったが、ふたりの身には姿無き脅迫者の影が忍び寄る。一方、中国では政権内部の権力闘争に端を発する巨大な陰謀が進行していた。龍の像の真贋を確かめるべく香港に渡った矢島と段だったがー。
累計百二十万部突破の大人気コミックス「せいせいするほど、愛してる」をノベライズ!化粧品会社ロワール広報部で働くバリバリのキャリア栗原未亜がたまたま出会ってしまった男・三好海里は、自分の勤める会社の副社長だった。そして彼に惹かれ、思いを寄せたときに知った、彼が結婚しているという事実。諦めなければいけない恋に未亜は、もがき苦しむ。純愛のままでいたい、だけど一歩踏み出したい。揺れ動く心をもてあました未亜は、とうとう海里に「愛人にしてください」と告白するが…。TBS系火曜夜十時より出演・武井咲、滝沢秀明でテレビドラマ化。
今日も妻ギャビーの眠る病室を訪れ、手を握って語り掛ける夫トラヴィス。十一年前に運命の出逢いをして結ばれた二人を待ち受けていた、あまりにも残酷な運命。選択を迫られた夫は、愛する人のために、どこまでできるのだろうかー。『きみに読む物語』の著者であり、累計一億冊といま世界で最も読まれている恋愛小説家ニコラス・スパークスが、「自身の最高傑作」と謳うベストセラーが文庫化。二〇一六年夏に公開の映画『きみがくれた物語』の原作小説です。「スパークスのファン」を自認する作家・市川拓司さんによる解説「もうひとつの『きみに読む物語』」も必読!
戦国時代、山陰地方を治めていた尼子氏には、「楠木正成にも勝る」と謳われた武将がいた。その勇猛さと才智を頼山陽や勝海舟にも激賞された山中鹿之助幸盛は、天文十四年(一五四五年)、出雲国富田に生まれた。幼少期を山野で過ごした鹿之助は、三日月の前立てと鹿の双角を備えた兜を被り、一騎打ちに抜群の強さを発揮した。しかし尼子氏は幾多の戦いを繰り返した後、強敵毛利元就の軍門に下ってしまう。それでも鹿之助だけは、百回打ちのめされても千回挫折を味わっても、尼子家再興を諦めなかった。清張歴史文学の頂点を極めた伝説の名作、ついに文庫化!
水野藤十郎勝成は三河刈谷城主惣兵衛忠重の嫡男。勇猛果敢に戦場を疾駆する若武者だ。一騎駆け、一番鑓が生き甲斐で、短気で荒々しい気性を心配する父とはしばしば対立するのだった。織田信長に伺候するために京に滞在していた藤十郎は、本能寺の変に際し、父と自らの命も瀬戸際に立たされた。援軍手配のために刈谷へ向かう藤十郎の命運やいかに!風雲急の戦国冒険譚がここに始まる。
表沙汰にできない依頼を違法すれすれの方法で解決する裏ビジネスのプロ集団シルバー・オクトパシー。メンバーのユリアが、昔の知り合いで入院中の広域暴力団元若頭を見舞う。男は死期が迫り、ユリアは遺言のように頼まれる。十六年の刑期を終え近く出所する二次団体の元幹部に、五千万円余の現金と経を渡してほしい、と。これがとんでもない事件の発端だった!
深津小平太は、旗本の三男坊だが、火盗改の父親との折り合いが悪く家を飛び出した。幼馴染みの版元に言いくるめられて、番付屋を始める。江戸で大流行りの番付表。浮き世の陰に隠された人情の機微を織り込んだ小平太の番付は、相手に覚られないように潜り込んで内情をつかんだものだった。今日も小平太は、辛口の江戸っ子を唸らせるため花魁や火消しの番付調べに余念がない。
熱海と湯河原でクラブを経営していた美人ママを絞殺し、六年の刑期を終えて出所した小早川が熱海に帰ってきた。小早川の出現により、平穏な温泉町に得体の知れない緊張が走る。そして二週間後、湯河原に住む公認会計士が、熱海のホテルで何者かに射殺された。そうした中、十津川警部が、一ヶ月前に東京の成城で起きた幼女誘拐事件の容疑者として小早川に接近するが、あらたな殺人が!?
辞令がなければ、函館に戻るつもりなどなかった。刑事田原稔は、函館西署着任の前日、殺人事件発生の報を受ける。被害者は、かつて愛情をかわした女、水野恵美だった。反故にされた約束。忘れたことはない。忘れられるはずがない。この事件に関わることは、二十年前に彼が故郷を捨てざるを得なかった、ある事情を追うのと同じこと。田原は黙々と捜査を続けていく。警察小説の傑作!
元讃岐藩士の平賀源内は、研究や発明をするため、家督を妹婿に譲り、江戸・神田で暮らしている。ある日、同じ長屋に住むお梅に頼まれ、閑古鳥がないている和菓子屋の建て直しを頼まれた。かつて夏に売れ行きの悪い鰻を売る相談を受けて、成功したのを知ってのことだ。しぶしぶ引き受けるが、己の知識と人脈で、意外な菓子を作り出す。万事が順調と思えた矢先、和菓子屋の主人が殺された。
「おまえのバットはEDじゃ〜」厳しい野次の中、二千本安打を目指すベテラン四番打者の覚悟(「塀際の魔術師」)。万年ビリ球団の経営を任される二世オーナーの決意(「永遠のジュニア」)。微妙な判定をめぐりコラムニストと対決する堅物アンパイアの信念(「人生退場劇場」)。人生笑って前に進んだもんが勝ち!球界を舞台に、苦境に立たされた七人の胸のすく逆転劇を描く痛快連作短篇集。
とにかくなおしたい。無差別に徹底的に。「修繕衝動」に襲われた「なおし屋」と呼ばれる男たちは、「第二次世界修繕」以来の戦いを開始した。そんな彼らに怪しい影が忍び寄る。「オオモノ」が組織した十人の女たちだ。ものを「つくる」彼女たちにとって、男たちの修繕行動は大量殺戮に等しい。ものが売れなくなり仕事を失うからだ。女たちは驚きの策で対抗する。未曾有の戦争の行方は!?