2016年9月15日発売
晩春三月二十九日の江戸は厄災の夜となった。一晩で五組七人の死。屋台の蕎麦売り、材木問屋と深川芸者、旗本、屋根船の若い男女、そして柳橋芸者の小菊…。おまえが殺したようなものだ。おのれを責めながらも、隼人は複雑にからみあう謎に立ち向かう。誰が何のために小菊を殺したのか?
老中・田沼意次が放った異能の剣士・涸沼源二郎との勝負に破れた半四郎。涸沼による半四郎への止めの一撃を妨げた浅間山の噴火は、ますます激しさを増す。松平定信の家老・服部半蔵正礼の驚愕の出自と明らかになる幕府打倒の隠密計画。魑魅魍魎が浅間山に集結し、この世の終焉の気配が近づく!
明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。
「許せないんだよ」「りゅ、ふう、…っぐ、りゅう、流産が」。二十七歳の春、突然流産のことが気になりだした僕。理不尽な赤ちゃんの死が高頻度で起きることに怒り、妄執する男を描いた「美しい馬の地」。他「アユの嫁」「四点リレー怪談」「バーベル・ザ・バーバリアン」「あうだうだう」収録の奇跡の短篇集!
一年以上前に失踪した妻から、突然かかってきた電話。「自分が出ているから」と指示されテレビをつけると、そこには白骨化した左脚が発見されたというニュースが流れていた。妻は生きているのか?電話がかかってきた意味とは?壮大なスケールで繰り広げられる超絶ミステリー。
公園の片隅で発見されたホームレスの死体。身元不明の被害者を洗う警視庁捜査一課の棟居は、八年前の迷宮入り強盗殺人事件との関連に気づく。二つの事件を繋ぐ糸を手繰るうちに、棟居はかつて北アルプスで出会った、失踪した夫を捜す美しい人妻と再会する。
笠原武大は、妻を殺害した罪で千葉刑務所に服役している。だが、一日も早くここを出ると決意していた。たとえどんな手を使ってでも。綿密な計画を練り、数十台のカメラの監視をかいくぐって、笠原は高さ3.5メートルの塀を越えた。大胆な行動で警察の追跡を躱しながら、“あるもの”を手に入れるために北を目指す。一方、捜索の指揮を執る田臥健吾警視は、警察庁の公安課に属し、本来は畑違いであるはずの自分が追手に選ばれたことに疑問を抱いていた。追う者と追われる者、それぞれの思惑と疑念が交差するなか、笠原の娘・萌子が誘拐されたというニュースが飛び込んでくるー。
なぜかいつも事件に巻き込まれるお人好し探偵・白戸修。今回は、世界的に有名なビッグイベント『メガトンコミックフェスタ』を爆破すると予告し、中止に追い込んだ犯人に間違えられ、多くの人に追われることに…。しかし、行く先々で過去に事件で関わった人たちが救いの手を差し伸べてくれる。果たして彼は無実が証明され「白戸修」に戻れるのだろうか?シリーズ初の長編ミステリー!
東京の郊外で暮らす、しがないサラリーマン久保田輝之は、ある晩、人を殺めてしまう。自首するべきか?自殺するべきか?いや、しかし、でも…。結局はどちらも選べないまま、逃亡生活を送ることに。北は稚内から南は沖縄まで全国をさまよい歩く。はたして、輝之は彷徨の果てに何を見るのか?そして、最後に下した決断はー。
いい儲け話があるから助けてほしい、と電話で懇願された凄腕ギャンブラーの半崎。声の主は裏切り行為の常習犯・千野だ。渋々向かった先はヤクザが主宰する高額賭けポーカーの現場。半崎は、絶対的自信のある持ち手を根拠に千野から金を無心される。負ければ異国に売り飛ばすと脅されている千野は必死だ。誰も千野の言う“いい手”を信じていないが、半崎には勝算があったー千野の手に百万円を上乗せし、命を賭けたゲームに挑む!「この手500万」ほか短編七編とショートショート六編を収録。
美術を専攻していた学生時代、教授の嫌忌を受けて不遇の人生を送らざるを得なくなった俺は、知り合いの骨董屋が持ってきた贋作を見てある“事業”を思い立つ。それは学界を支配する教授一派に対する強烈な一撃となるものだった(「真贋の森」)。ジャンル別作品集第3巻は、全集未収録の2作品を含む全4編の「美術ミステリ」。著者独壇場の“黒い仕掛け”を読み逃すな。
亡き祖父・万のアンティーク堂を継ぐために神戸に移り住んで5カ月。寒さも厳しくなるころ、寛人は店で使い込まれたいくつもの携帯灰皿を見つけた。店に間借りをしている修理職人の茉莉に聞いても、万が煙草を吸っていた記憶はないという。やがてその灰皿は売れたが、数日後、お客から「蓋が開かないものがある」と言われるー古いモノに込められた“想い”を解き明かす、大人気キャラクター小説、第二弾。
ひとつきに二度、満月が見られるブルームーンの8月。17歳の僕は京都の嵐山にある祖母の家に帰省した。一度目の満月の夜、僕は森の中で、傘で泉の水をすくう少女と出会う。「ブルームーンが終わるまで、ここで初恋の人を待っている」と言う彼女。同い年なのにどこか不思議な彼女や、彼女と歩いた夜の京都に違和感を覚えながらも、僕は彼女に惹かれていくがー「ずっと君を、未来で待っている」運命の糸で結ばれた2人を描く、時空を超えた恋愛小説。
満島結奈はお菓子メーカーに勤める、ちょっとエッチな二十六歳のOL。新商品の宣伝会議で素晴らしくエロいネーミングを提案し、社長賞をゲットした結奈は、ご褒美として、会社と提携する禅寺・満願寺へ長期出向することになった。しかし、禅寺に着いた結奈を待ち構えていたのは、古希を迎えるのにまだまだ精力絶倫の和尚、煩悩まみれの小坊主といった、想像を超える助平な連中だった。書き下ろし長編ライトエロス決定版!
火の見櫓で飛び降り騒ぎを起こした女を間一髪で救った桜井慎之介は、その女お高から“仕事”を頼まれる。雪駄問屋の出戻り娘であるお高は摺り師藤十郎への片恋に身を焦がしており、藤十郎を誑かしている酌婦千鶴との仲を裂いてくれたら三十両払うという。孤児の養護所設立を目指す慎之介は張り切って請け負い、早速、藤十郎のもとを訪ねるが、眼前には無残な屍体が転がっていた。痛快シリーズ第五弾!
丁子屋宗主、宗十郎が京から江戸に現れた。亡き父仙三郎をよく知っていると話す宗十郎に警戒感を抱くおりん。一方、同心見習いの源吾は、おりん襲撃に丁子屋が絡んでいるのを突き止めた矢先、曲者に斬られてしまう。おりんは怒りと不安のなか、吉原で丁子屋との香競べに挑む。同席した宗十郎と水戸徳川家の家老、武常重道は、おりんが庭から掘り出した伽羅を見て目の色を変える。江戸が香る話題の書き下ろし第三弾。
美貌に加え、謎解きの才までもが江戸中に広まり、“室町小町”お雪を訪ねてくる者は引きも切らず、呉服屋・三浦屋は連日、押すな押すなの大混雑。主の善右衛門は騒ぎに疲れ切り、お雪もますます自室に引きこもってしまう。そんな折、お雪が愛読する戯作者の山東京伝本人が三浦屋にやってきた。京伝はお雪に、ある人物の正体を突き止めて欲しいと依頼してくる。人気シリーズ第三弾!
「緊張しているのですか?きっと大丈夫ですよ、コルク・ランツクネヒト教授なら」名門デンバー魔法大学の新任魔法教授、コルクに声をかけた少女の名はレイチェル・S・ギーゼキング。その正体はデンバー魔法大学の学長であり、十代の姿のまま250年の刻が止まっている「不老少女」。レイチェルに見守られながら、コルクは最強の防壁魔法と謳われる『結界魔法』の都市結界試験を行っていたが…「炎魔法なら慣れているがーまさか、この感覚は?」「よう、コルク」突如、幼馴染の魔法騎士・アレンが乱入し試験は中止になりかけてしまう。アレンとの再会をきっかけに、もう一人の幼馴染でレイチェルの秘書官・カリナとの関係にも変化が。レイチェルもその恋模様に興味津津。そんな中、デンバー市長・デルモゾールが徐々に不穏な動きを見せ始める。それはレイチェルの「不老」の秘密にも関係するようで…?これは、魔法を巡る人々を描いた、すこし不思議な物語。
豊かな花場を持つ村・カガミノ。蜂蜜の専門家であり術師である利き蜜師・仙道の平穏な日々は、村に迷い込んだ一匹の銀蜂に気づいたことで一変する。東の地で悪しき風が吹き始めている…。仙道は幼い弟子・まゆを連れてカガミノを出るが…。迫力のスケールで描かれる、利き蜜師の物語。第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞受賞作。