2016年発売
虹夫は、高校時代の恩師・由希子の招きで彼女の故郷を訪ねていた。その町では「蜃気楼を見て人魚と接触した男は性的パワーが増強」という噂だった。夕方、早々に蜃気楼を目撃した彼は、謎の美少女と出会って昇天させられ、以降、彼の女性運は急上昇。由希子の叔母、その娘ー他と関係を重ねていくが…。人気作家による書下し官能絵巻!
高校デビューに失敗した中札内雲英。ひとりぼっち脱出のため声をかけたのは、同じくクラスで浮いている男子だった。放課後、彼がいる“幽霊部”へ訪れるとこれまで見えていなかったモノたちが見えるようになってしまってー!?
交際していた男性のプロポーズを、私、ミナ=アリス・原田は「父を置いていけない」という理由で拒絶した。私が五歳のときに死んだことになっている父、原田詩也は、不老不死の吸血鬼だ。母と出会い、恋に落ち……けれど母は、父のそばにはいられなかった。だから私が、ずっとそばにいる。そのために私はある決意をした。父を置いていった母に、負けたくなかったーー。 運命と別離、超克、そして永遠の恋。娘の視点から綴られる、ある吸血鬼の過去と現在の物語。
快進撃を続けるノエル軍。しかし、陰鬱な雨が止む気配なく、戦場には死臭が漂うーー。反乱、謀略、混迷する戦を前に赤髪の少女はただ前進する!!
震災のため原発4基がすべて爆発した!警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!
天涯孤独の身の上で、波乱の人生を歩んできたお藤。縁あって任された口入屋を立て直すために商いを一新。常識はずれの勝負は、やがて江戸を揺るがす事態に…。人が持つ力を信じ、自らの道を信じ、人生を切り拓く姿が胸を打つ感動の長編時代小説。
十代の終わりに、ストーカーと化した元恋人に刺された過去を持つカナ。29歳のいま、裕福な年上の夫と幼い息子、仕事での充足も手にし、満たされた日々を送っていた。そこに、アメリカから姉一家が帰国。未成年の甥から、烈しい思いを寄せられる。危うさを秘めた甥との破滅的な関係は、彼らと、彼らを取り巻く人々をどこに運ぶのか。-空虚への抗いと、その果てにある一筋の希望を描く渾身の長篇小説。
最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。ベストセラー作家が全力で挑んだ、衝撃の問題作。平和な地を求め旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、理想的な国「ナパージュ」に辿り着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こるーー。著者自らが「私の最高傑作」と断言。大衆社会の本質を衝いた、G・オーウェル以来の寓話的「警世の書」。
正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていてーー。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?
自分の葬儀が、絶望と悲しみに染まることのないように。そして、愛で満たされるようにーー。舞台は1991年夏、猛暑のニューヨーク。亡命ロシア人で画家のアーリクの病床に集まる五人の女たち、友人たち。ウォッカを飲み祖国のクーデターの様子をテレビで観ながら決して平坦では なかった人生を追想する。そして、皆に渡されたアーリクの最期の贈り物が、生きることに疲れた皆の虚無感を埋めていく……。不思議な祝祭感と幸福感に包まれる中篇小説。
80年代ーー僕も時代も思春期だった。アメリカとソビエトは冷戦状態にあり、ドイツには壁があった。僕も時代も緊張していたし、成熟には程遠かった。そんな時に出逢ったのが、君だった。君から教えてもらったのは、僕になにが欠けているのかということだった。君が求めているものをさしだすために、僕がなにをすべきか、僕はようやく考えることができたんだ。その時、世界が僕をふりむいた。青い春が散り、僕は君の手をとって歩きはじめる。 遠い記憶をたどりながら語られる、昨日みた夢のような甘く切ない恋愛小説。
震災後の苦難に満ちた日々の中で、珠玉の小説が生まれた…地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能や除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」、深い情感にみちた「東天紅」、厳粛さとユーモア、不思議な輝きに包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら描いた祈りと鎮魂の作品集。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
静岡の寸又峡で、地元テレビ局の記者・久保が殺された。彼は記者仲間の伴島に謎の言葉を残していた。次の被害者は、秋田の大曲で資産家老女を殺し指名手配中だった。かつて大曲の通信部にいた伴島は、事件の手掛かりを掴み、秋田へと急行するが、やがて姿を消した。その報せを受け、浅見光彦も現地へ向かった。事件の鍵を握るのは大曲の資産家一族。光彦は事件の謎に迫れるのか。
父親らしき男とともに、なにかを探し求めて鳴子温泉を訪ね歩いていた若い女性。その死体が、一つの川の流れを日本海と太平洋に分かつ分水嶺の傍らで発見された。東京下町の名曲喫茶に勤める彼女には、六年前に殺人事件を起こし、逮捕されるという暗い過去があった。そして、喫茶店の同僚にも魔の手がー十津川警部が分水嶺に見た運命の分かれ道とは?迫真のトラベルミステリー。
虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いたー。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのにーー走る喜びにつき動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春小説。