2016年発売
「次は女の子を産むわ」そう宣言して産み分けに躍起になる妻。そんな妻の決断に淡い違和感を抱く夫。互いに心揺れる日々を経て、夫婦がたどり着いた先はー。思いがけないラストが深い感動を呼び起こす表題作「憧れの女の子」。男女の心の行き違いから浮かびあがる人間の本質を鮮やかに掬いとった物語、全5編収録。
オカルトサークルのメンバー6人が、夏休みに廃墟のラブホテルで合宿を行うことになった。先に侵入していた若者2人も加わって合宿は始まったが、2日目の朝、メンバーの女性が全裸で拘束されているのが見つかる。さらに出口が何者かに施錠され、建物内は完全な封鎖空間となった。8人の中に、3年前の事件の生き残り、レイジがいるのか?蠱毒の狂気が再び始まった!
昭和二十年、敗戦色濃い横須賀。十九歳の島田紘治は徴兵検査を目前に控えて悶々としていた。脳裏に浮かぶのは女学校を出たての清楚な美少女、咲子の姿。なかなか想いを告げられぬ純情な紘治だったが、血気盛んな若い肉体は出征した夫の留守を守る貞淑な人妻たちを否応なく惹きつける。やがて訪れた恍惚の初体験。紘治は熟れた柔肌に己の全てを委ねる。エロスの巨星による渾身の性春賛歌!長編書き下ろし。
春と言えば、桜の季節。睦月に固い蕾であったものが、如月に梅の香を愛でた後、弥生から卯月にかけての短い時期に満開を迎える。22歳でいまだにバージンの桜子、25歳でとりたてて美人でもないのにモテてしまう小梅、27歳で出逢いがないのに悩む咲良、三十路を越えて日々セックスの快感を追求している八重。性に悩む4人の乙女たちが経験する、時には苦く時には甘い体験を描いた、オリジナル長編性春エロス。
大吉旅行社の社長・安西宏幸は倒産の危機を回避すべく、百年に一度だけ行われるという、栗戸神社の秘宝「満澄」御開帳見学ツアーを企画する。思わず声に出したくなる、その淫猥な言葉の響きのおかげか、あっという間にツアーは満席に。ツアー初日、集合場所に現れたのは、熟年カップル、不倫OL、エログッズ会社の営業部長、ラブホテル経営者夫人といった、ワケありのエッチな客ばかりだった。書き下ろし艶笑エロス。
幾人もの侍に追われていたところを豊之助が救った常太郎と名のる若侍は、いかにもいわくありげな様子。素性も事情もいっさい語らず、帰る家もないという。豊之助は常太郎を来栖道場に居候させてやることにしたのだが、これがとんでもない騒動へ巻き込まれるきっかけとなった…。好評シリーズ第三弾!
正義漢だが無学単細胞の安藤新次郎は、旗本の次男坊。急死した叔父の末期養子として、母の実家の家督を継ぐことになった。その榊原家、家禄一八〇俵の小普請ながら、なぜかとても裕福。それもそのはず、実は榊原家は「義理欠く、見栄欠く、情け欠く」を座右の銘とする祖父源兵衛の指揮のもと、裏稼業で「金貸し」を手広く行っていたのだ。果たして新次郎に金貸しの親分が務まるのか!?勇往邁進、痛快無比の新シリーズ登場!
大学を中退してからアルバイト暮らしをしていた雄司はある日年上の芸術家・菜摘子にモデルを頼まれてアトリエに出向く。ところが、人前で全裸になるという非日常感と、それを美女に凝視されるという状況から妙な興奮を覚え、思わず身体が反応してしまう。菜摘子は平然とその事を指摘し、肉棒が膨らむのを見て微かに口元を緩ませ…。アトリエをこっそり覗いていたらしい妹・彩香との三角関係に陥った雄司を待ち受ける結末とはー?渾身のトライアングルエロス、書下ろし長編!
明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのはIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久!いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作る日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
父と母の半生を中心に、複雑な一族の系譜を私小説作家が揺るぎなく描き切った長編小説。新たに発見された、著者の手の入った原稿で野口冨士男の処女作ともいえる作品を七十余年の時を経て、初の文庫化。
昭和五年、「文学時代」懸賞小説に当選し文壇にデビュー。繊細な筆致で庶民生活の心理の葛藤を情感豊かに描き、「神楽坂」は芥川賞候補作となる。表題作のほか生地秋田を題材にした「凍雲」、「父」「旅役者の妻より」「女心拾遺」「〓(く)女抄録」「鴻ノ巣女房」を収録。胸を病み三十七歳で逝去、坂口安吾によって伝説化された薄命の女性作家矢田津世子の代表的短篇小説八篇。
スパイ容疑で逮捕されたフランス亡命貴族のロンドンでの裁判。とある医師の娘が証人となり、弁護士の奇策もあって被告は罪を免れる。一方パリの居酒屋では血腥い計画が着々と練られ…。二つの首都の間で絡み合った因縁の糸が解けていくなか、革命の足音が近づいてくる。(全2巻)
ルーシーと結ばれロンドンで幸せな家庭を築いたダーネイだが、元の使用人を救うべくパリに舞い戻るや、血に飢えた革命勢力に逮捕されてしまう。彼の窮地を救うため、弁護士カートンは恐るべき決断を下す…。時代のうねりの中で愛と信念を貫く男女を描いた、ディケンズ文学の真骨頂。
変人として有名なチャレンジャー教授は、南米に絶滅動物たちの生息する台地が存在すると主張する。真偽を確かめるべく、新聞記者の「ぼく」、懐疑派のサマリー教授、スポーツ万能のロクストン卿は探検隊を結成し、アマゾンの奥地を目指すが…。胸躍るSFの大傑作を読みやすい新訳で!
瓦職人の藤助は、屋根の上から盗人が商家へ押し込む様子を遂一見ていた。真面目に仕事に精を出しても浮かばれない世の中…。そう悟った藤助は、大名家の下屋敷に忍び込む。天井裏から見たのは、武士を強請る願人坊主・宗善の姿。藤助は宗善とともに大名家を相手に、大金をせしめる謀に手を染めるが…。世にはびこる悪事に般若同心・柚木源九郎の鉄槌が下る!
地廻りと呼ばれ、吉原の妓楼に上がらず素見をする一人の男の骸が切見世で見つかった。探索を始めた吉原裏同心・神守幹次郎は、下手人を川越に追う。一方、番方に女の子が生まれて沸く会所だが、突如現われた「倅」に悩む会所の七代目頭取四郎兵衛。「秘密」を打ちあけられた幹次郎は自ら動くがー。テレビドラマ原作となった人気シリーズ、待望の第二十四弾!
南町奉行所の定町廻り同心・玉島千蔭は、猿若町の中村座から三階役者が首を吊ったと知らせを受ける。早速かけつけた千蔭は、骸があった場所でその死に不審を抱く。調べを進める千蔭の前に明らかになってきたのは、芝居の世界に横たわる漆黒の「闇」だった(表題作「土蛍」)。人気シリーズ、待望の第五弾は、珠玉の短編四編を収録。読者を唸らせる時代推理小説の大傑作。
一九九二年、世界最大のフィルム会社ソアラの日本法人に勤務する最上栄介は、デジタル製品の販売戦略担当を命じられる。銀塩フィルム全盛の時代、最上は半信半疑のままデジタル製品の売り込みを模索するが、その奮闘を凌駕する速さで、写真業界にデジタル化の波が押し寄せる。技術の進歩によって駆逐される産業と超優良企業の転落を、圧倒的臨場感で描き出す。