2016年発売
粛清者の侵攻は、従来のやりかたとはまったく違っていた。まず転移する艦数を8隻16隻32隻と倍数で増やしてくる。巡航艦や駆逐艦などの雷撃艦隊だけでなく、大量の機動戦闘艇をいっきに投入する。そして、艦体に鋭い棘のような突起物のある、戦列艦よりも巨大で凶悪なシルエットを持つ戦闘艦を出現させたのだ!“箱船”や脱出船による転移ゲートからの地球人類の避難が進むなか、果たして恵一たちは地球を守りきれるか!?
生体通信によって個々人の認知や感情を人類全体で共有できる技術“自己相”が普及した未来社会。共和制アメリカ軍は、その管理を逃れる者を“難民”と呼んで弾圧していた。軍と難民の間で揺れる軍属の人類学者シズマ・サイモンは、訪れたアンデスで謎の少女と巡り合う。黄金郷から来たという彼女の出自に隠された、人類史を鮮血に染める自己相の真実とは?クラウド時代の民族学が想像力を更新する、2010年代SFの最前線。
『マルドゥック・スクランブル』から2年ー自らの人生を取り戻したバロットは勉学の道に進み、ウフコックは新たなパートナーのロックらと事件解決の日々を送っていた。そんなイースターズ・オフィスに、馴染みの弁護士サムから企業の内部告発者ケネス・C・Oの保護依頼が持ち込まれた。調査に向かったウフコックとロックは都市の新勢力“クインテット”と遭遇する。それは悪徳と死者をめぐる最後の遍歴の始まりだった。
まるい顔に小さな体、手にはこうもり傘を持ち、シャベル帽をかぶった冴えない神父。しかしひとたび事件が起きれば、その風貌からは想像もつかない鋭い洞察力で、次々と真相を看破していく!シャーロック・ホームズと人気を二分する「ブラウン神父」の傑作短篇シリーズ“第1集”の新訳版。伝説のダイアモンドが消えた「飛ぶ星」、現場付近に残された凶器と死体を巡る「三つの凶器」など全十二篇を収録
我らが主人公メヴルト・カラタシュは、12歳のときに故郷の村からイスタンブルに移り住む。昼間は学校に通い、夜は父とともにトルコの伝統的飲料ボザを売り歩く日々を重ねて、彼は次第に大都会になじんでいく。そしてある日、彼はいとこの結婚披露宴で運命の恋をしたーノーベル文学賞作家が描く、ある男の半生と恋と夢、そして変わりゆく時代。新たな代表作となる傑作長篇。
ライハと駆け落ちをしたメヴルトは、日中は様々な仕事をしながらも、あいかわらず冬の夜はボザを売りに出かけていた。イスタンブルとその住民、そしてトルコに訪れる変化を路上から目撃しながら、彼は長年抱き続ける、自分と世界についてのひそかな違和感について思いをめぐらすーこの違和感はいったい何から生まれたのだろう?いくつもの声を重ねて描き出される、都市と人の移り変わり。ノーベル文学賞作家が放つ現代の叙事詩。
夏休みに入った刑事マルティン・ベックにかかってきた一本の電話。「これはきみにしかできない仕事だ」。上司の命で外務大臣側近に接触したベックは、ブダペストで消息を絶った男の捜索依頼を受ける。かつて防諜活動機関の調査対象となったスウェーデン人ジャーナリスト。手がかりのない中、「鉄のカーテンの向こう側」を訪れたベックの前に、現地警察を名乗る男が現れるー。警察小説の金字塔シリーズ・第二作。
御蔵前片町にある料亭の一人娘・お鶴。普段はひかえめだが、いざとなると男勝りになることから、おきゃんな蔵前小町と呼ばれている。ある時、向島の花見から帰ってくると、家に珍客があった。病を患う伯母を見舞にきた旗本の章二郎である。初対面からお転婆をたしなめる章二郎に反発を覚えるお鶴だったが、やがてその想いは恋に変わり…(「江戸の娘」)。厳しい冬を越え待っている別れと出会い。名手たちが紡ぐ傑作短編集。
江戸城台所人の鮎川惣介は、持ち前の嗅覚を頼りに、数々の難事件を解決してきた。ある日、幼馴染みの添番、片桐隼人とともに訪れたなじみの蕎麦屋で、酒に溺れ前後不覚になった旗本、二宮一矢に出会う。二宮が酒をやめる代わりに、惣介が腹回りを一尺減らす約束をしてしまい、不本意ながら食事制限を始める。一方、大奥の廁で赤子の骸が見つかった。内密に事が運ばれていたものの、惣介はまたも、事件に巻き込まれてしまう。
雪まだ深い春休み。大学生の森司は、来たるホワイトデイのことで気もそぞろ。とはいえ通常とは逆で、片想いのこよみからの、バレンタインのお返しについて。そんな森司に関係なく、オカ研には依頼が。SNSのオフ会に現れる、心中を強要する霊。恐怖の市松人形、はたまた友人の事故物件めぐりと、恐怖の波状攻撃に戦き、成人式を迎えたこよみの振袖姿にときめき…。新たな仲間も登場で加速する、青春オカルトミステリ第9弾!
殺しのお宮入りは許すな!警視庁捜査一課に異動し、特命捜査対策室7係の班長代理となった北郷の任務は、15年間未解決の女子大生殺人事件の捜査。班に集まったアクは強いが捜査の腕は確かな刑事たちと競うように捜査を進め、見落とされてきた被害者の男女関係をたどる中、犯行動機を持つ新たな容疑者が浮かび上がる。だが、彼にはアリバイがあった。犯罪の決定的証拠は見つかるのか?実力派作家による本格派警察小説。
牡丹こと天草四郎にさらわれた舞を救うため、大剣を背負った大男・万源九郎は飛騨へ向かっていた。時を同じくして、天空より、三種の神器=オリハルコンを求めて異星のものたちが現れ、各地で人の身体を乗っ取り始めていた。やがて宮本武蔵、佐々木小次郎、柳生十兵衛ら剣豪や、真田忍群と伊賀の土蜘蛛衆までもが天の命運をめぐる凄絶な争いに巻き込まれてゆく。はたして源九郎は、女と地球を守り抜くことができるのか!?
両親と離れて暮らす高校生の佳乃は、豆柴のカンタと、座敷わらしの暁星と同居中。最初は戸惑ったけれど、今では食いしん坊で癒し系な暁星との暮らしを大切に思っている。受験が近づき、緊張感も漂い始めたある日、佳乃は街で、不穏な気配をまとう同学年の宮崎と出会う。肩に妖鳥を乗せ、百鬼夜行を連れ歩く宮崎。しかし彼と対峙した暁星が記憶を失って…。暁星が消える?その時佳乃は…。少し怖くて心ぬくもる青春小説。
名探偵・明智小五郎が初登場した記念すべき表題作を始め、ミステリ要素を多く含んだ作品をセレクト。自らも数々の推理小説を書き、多くの推理作家の才をも発掘してきた巨人の傑作選をぜひご堪能あれ。
失恋した15歳の誕生日、ひろみは目が覚めたらアラビアンナイトの世界に飛び込んでいた!偶然出会った青年ハールーンにジャニと名付けられ2人は都を目指す。道中、次々と現れる追手たち。ハールーンは王宮から逃げ出した王太子だった。絶世の奴隷美少女、空飛ぶ木馬、魔法で鳩に変えられたジャニ。砂漠の行者が語る「王国のかぎ」とは?ファン待望大人気作家の初期作品が、書き下ろし短編とあとがきを収録して新たに登場!
「わすれたほうがいいことも、この世には、あるのだ」無名の温泉地を求める旅本作家の和泉蝋庵。荷物持ちとして旅に同行する耳彦は、蝋庵の悪癖ともいえる迷い癖のせいで常に災厄に見舞われている。幾度も輪廻を巡る少女や、湯煙のむこうに佇む死に別れた幼馴染み。そして“エムブリヲ”と呼ばれる哀しき胎児。出会いと別れを繰り返し、辿りついた先にあるものは、極楽かこの世の地獄か。哀しくも切ない道中記、ここに開幕。
当てもなく雑木林を歩き、道に迷えばそこに暮らす名も無き人々に尋ねる。独歩はこれに無上の幸福を感じた。人間の生活と自然の調和の美を詩情溢れる文体で描き出した随筆「武蔵野」。自然を愛し、同時にその厳しさと対峙し続けた作家の繊細な魅力を味わうことができる初期短編集。妻子を亡くした船頭と、母に捨てられた哀しき少年との奇妙な同居生活を描いたデビュー作「源叔父」ほか全18編を収録。
ニコラス・理人・リューディガーは金髪碧眼の美青年。見た目は異国の王子様だが、中身は傲岸不遜な“魔女の専門家”だ。旧友の臨床心理士・都月玲李を訪ねたリヒトは、レイがある殺人事件の捜査に関わっていると知る。被害者は占い師。犯人は、邪悪な魔女を殺したと話しているという。リヒトは専門家として、強引に協力を申し出るが!?現代の魔女の謎を解く、オカルト・ミステリ開幕!
長原あざみは樫乃木美術大学の1年生。立体造形科の所属だけれど、引っ込み思案な性格のせいで、いつもひとりぼっち。ある日学校へ来ると、同級生の橘が作ったアクリル造形が変形していた。犯人の疑いをかけられたあざみを救ってくれたのは、人好きのする雰囲気を持つ青年、梶谷七唯。同じ学科の研究生という彼は、真実を調べようと言いだして…。第1回角川文庫キャラクター小説大賞“大賞”受賞。日常の謎系青春ミステリ決定版。