2017年10月20日発売
16歳で両親を亡くしたりつ子は、逆境と屈辱を闘争心に変え、次々と目標を実現してきた。東大合格、名家御曹司との結婚、双子誕生。それでも婚家で蔑まれる彼女が次なる目標に定めたのは子どもたちに最高の教育を与えること。名門お受験塾で闘志を刺激され、わが子の超難関校合格を夢見てひとり暴走しはじめた彼女を待つ皮肉な運命とはー。幸せを求めて猛進する女のブラックコメディ。
榊扇太郎は目付鳥居耀蔵の命を受け、闕所となった蘭学医高野長英の屋敷から一通の書付を発見する。そこには異国の力で幕府を倒す計画が描かれていた。仇敵を倒そうとする鳥居の陰謀と大事にしたくない老中水野忠邦の狭間に困惑しながらも、真相究明に乗り出す! 蛮社の獄を舞台とするシリーズ新装版第二弾。
その朝、双子の老姉妹が手に手をとり、崖から飛んだ。疎遠だった子らが葬儀に集い、やがて武家屋敷の床下に隠された四体の遺骨を見つけ出す。これは誰?いつからここに?金貸し一族の淫靡で切ない歴史と、“乙女”のゆがんだ欲望を描き出した、背徳のミステリー。
気まぐれでミステリアスな〈相棒〉をめぐる、豪華執筆陣による全八篇ーー新井素子×黒猫の独白、秋吉理香子×野良猫見守り隊、芦沢央×少年名探偵と仔猫、小松エメル×猫になりたがる妹、恒川光太郎×妖怪猫ケシヨウ、菅野雪虫×オッドアイと「死神」、長岡弘樹×高齢者とペットロス、そにしけんじ×探偵ニャンロックホームズ。 いつでもどこからでも手軽に猫を愛でることができる、バラエティ豊かな文庫オリジナルアンソロジー。
東京オリンピックからさらに十年後。仕事は、恋愛は、科学は、そしてこの国はどのように変わっているのだろう。空間を超えて他人と認知を共有できる新技術「RR」。意識上で集った三人が奇妙な事件に挑む「逍遙」(恩田陸)など八つの短編を収録。それぞれジャンルの異なる豪華作家陣が紡ぎだす、日本の明るい未来!
中国軍が南沙に建設した滑走路が一晩で消滅した。怒る中国はフィリピン軍、その背後に米軍の関与を疑うが、偶然見つかった当時の映像には驚くべきものが映し出されていた。それは、滑走路を攻撃するある戦艦の姿ーしかも日本人なら誰もが知る、だが絶対に“存在しない”戦艦だ。調査を命じられた特殊部隊“サイレント・コア”が見たものは?
南沙に現れ、次々と中国軍を襲撃していた敵戦艦に乗り込んだ“サイレント・コア”司馬三佐たちは、その正体を知る。彼らは、並行世界に存在するーそれも、太平洋戦争を回避したことで、経済力と科学技術を数倍発達させた日本からやってきた者たちだったのだ。なぜ、こちらの世界に干渉してきたのか?歴史を変えかねないこの戦いの行方はー。
中学生の重光ゆかりは、元暴力団組長の九鬼直正からアドバイスを受け、いじめっ子らに立ち向かう。数日後、そのうちの一人が丹沢山中で死体となって見つかった。いじめの報復を疑われたゆかりのため、九鬼は真犯人を探す。一方、政財界の黒幕が殺された事件の真相を追う棟居刑事。二つの事件は、次第にひとつに繋がってー。
テレビの経済コメンテーターとしても活躍する大学教授の三崎皓子は、「昔の男」矢木沢からの20年ぶりの電話をきっかけに、政界へ入ることになる。民間人として金融担当大臣を務めた後、故郷・京都で選挙を戦って参議院議員にトップ当選。山城総理から官房長官に抜擢される。しかし、この活躍を快く思わない古老たちが裏で結託し、皓子を陥れようとして……。選挙活動中に死去した父との因縁、矢木沢の奇怪な行動、そしてある日、山城総理が倒れるーー。権力、欲望、嫉妬が渦巻く永田町。皓子は“生贄”となってしまうのか、それとも“ジャンヌ・ダルク”になれるのか?
偶然出会った出張料理人・仁さんの才能と見た目に魅了された山田澄香、三十二歳。思い切って派遣を辞め、助手として働きだすがーー。恋愛できない女子と寡黙なイケメン料理人、二人三脚のゆくえとは? カバーイラスト 八つ森佳 『出張料理おりおり堂』を加筆修正のうえ、文庫化
無気力に生きるケータリング業者の水島健一。先輩の忠告も、派遣先で問われる不可解な薬の存在も軽く受け流してきたのだが、ある少年と出会い、それらと真面目にかかわらざるを得なくなるーー。少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのか! 傑作感動長篇。
侯爵との婚約を破棄してひとりで生きる決心をしたクリオは、侯爵の弟レイフから同意を得ようとする。だがレイフは彼女を思いとどまらせようと、豪華な結婚式のプランを立て始め……禁断の恋の行方は!?
榎本佐和子は、平凡な専業主婦だったがパート感覚でフードコーディネーターの友人を手伝ううちに、料理研究家としてレシピ本を出版する。本は大ヒットし、佐和子は周りに祭り上げられるまま憧れの女性の地位をものにした。変わっていく金銭感覚、ふるまい、人柄に昔から佐和子を知っている人たちは、戸惑い始める。彼女を見ていると心がざわつくのだ。その理由は、単なる妬みなのか何なのか。きっと誰しも抱いたことのある微妙な感情を描き出す連作短編集。
現代ーー。あやかし達だって、悩みながらも一生懸命、生きています。 ■あらすじ 配置薬販売のニワトコ薬局No.1販売員の河野遥河(かわのはるか)は、容姿端麗、物腰柔らかで女性社員から大人気。 だが大きな秘密がある。それは真の姿が「河童」だということ。 河野の顧客はクーラーで冷え症になった雪女や、ゲームにハマりドライアイになった山神など、現代病に悩む「物の怪」。 河野は彼らに薬を届ける傍ら、悩みを聞いているのだが、口々に語られるのは人間との切なく悲しい過去でーー。 くすっと笑えて、じーんと考えさせられる、現代を生きるあやかし達の物語。 ※懸場帖……かけばちょう。配置薬の販売員が持つ台帳のこと。薬を置いてもらっている顧客情報が書かれている。
潴水地の底に消えた谷中村。その地で育ったチヨとユウ、部落の総代から土地買収員となった男の妻トシ、田中正造の妻・勝子。そして正造の死後もひとり旧谷中村への援助を続けた婦人解放運動の先駆者・福田英子。足尾銅山鉱毒事件にかかわり、人生を変えられた女たちを描く、書き下ろし長篇小説。 第一章 チヨ 第二章 ユウ 第三章 トシ 第四章 勝子 参考文献 あとがき