2017年11月発売
寂しく退屈な毎日を送る14歳のイーヴィーは、ある日、自由にたくましく生きる女の子たちに出会った。なかでも黒髪のスザンヌには、見た瞬間に心を奪われた。イーヴィーはスザンヌらが暮らす若者ばかりのコミュニティに入り浸る。スザンヌに憧れ、自分を認めてもらいたくて、必死に溶け込もうとする。ようやく打ち解けてきたそのとき、コミュニティに君臨するひとりの男によって、彼女たちは犯罪へと駆り立てられてゆく…。チャールズ・マンソンらの事件を題材に、ヒリヒリした思春期を描く、全米40万部突破の世界的ベストセラー!
葬送儀礼の研究に人生を捧げる美人大学院生・鬼木場あまね。一方、彼女の指導教員である民族学教授・福満は、行き詰まった研究の代わりに、結婚に活路を見出そうと婚活に励んでいた。ある日、あまねの秘密を知った福満は、彼女を結婚相手として急に意識するように。そんな中、二人はある殺人事件の葬儀に参加することになり…。
「もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生、そのことを考えなかった日は一日もありませんでしたー」一九七〇年、大阪万博を舞台に叶わなかった恋とその後の二〇数年。恋の痛みと人生の重みを描く、究極のラブストーリー。涙を誘った大ベストセラー。
映画界のスター・北岡早馬と再婚し、幸せの絶頂にいた伊津子だったが、北岡家の面々は数ヶ月前謎の死を遂げた先妻・貴緒のことが忘れられず、屋敷にも彼女の存在がいまだに色濃く残っていた。そんなある夜、伊津子を歓迎する宴の最中に悲劇が起こる。そして新たな死体が…。傑作ミステリ遂に復刊!
「ゴジラ」原作者としても有名な、異色の探偵作家・香山滋の代表的な傑作を厳選した作品集。後に「ゴジラ」に結実する空想科学ものの原点にしてデビュー作「オラン・ペンデクの復讐」、第一回探偵作家クラブ賞新人賞を受賞した極彩色の妖夢譚「海鰻荘奇談」他、幻想怪奇、秘境のロマン、エロティシズムに彩られた全十編。
シェフ・麻野の日替わりスープが評判のスープ屋「しずく」は、早朝にひっそり営業している。調理器具の購入のため麻野と出掛けた理恵は、店の常連カップルと遭遇。結婚式を控え、仲睦まじく見えた二人だが、突如彼氏が式を延期したいと願い出る。その原因は、ゴボウ?亡き妻・静句を思う麻野への、理恵の恋も動き出す!?美味しいスープと謎に溢れた全5話収録。心温まる連作ミステリー。
パワーストーン雑貨店「ミネラルズ」でアルバイトをしている女子大生・雫石璃子。キャンパス内で不思議な事件に遭遇したとき、彼女は鉱物学者の兄・英介に相談を持ちかける。璃子の通う大学に勤務する准教授にして極度の石オタクだが、鋭い洞察力で鮮やかに謎を解き明かしていく。推理を彩るのは、インカローズやアマゾナイト、アクアオーラ、アメジストなど、数々のパワーストーン!
かつて期待の新人俳優だったカオルは夢を諦め、レンタル彼氏として働いている。先月初めてカオルを指名したエイコは、高額な料金にもかかわらずそれから毎週欠かさず予約を入れてくれている。女性らしい服装に趣味の良いデートコース、心地いい会話。ところが、「いいお客」だと思っていたエイコの目的はカオルとのデートではなかったようで…。夢と現実を描く、切ない青春恋愛。
殺人事件から外され、自衛官の交通事故死を捜査することになった警視庁の田島と新人女性刑事・毛利。防犯カメラに写っていた自衛官・石倉に朝霞駐屯地で事情を聴いていたところ、警務官の松井に退出させられた。そして田島は上司から「朝霞には近づくな」と忠告される。独自の捜査を続ける田島らにより、事故被害者と石倉がPKOで中央スーダンに派遣されていたことが判明。事故の背景に何が?怒涛の展開が続く鮮烈な警察小説誕生!
棚旗奈々は妹・沙織の新居を訪れるべく、桑原崇と金沢へ来ていた。白山神社の総本宮白山比〓(め)神社を参拝した二人は、殺人事件に巻き込まれる。手取川で見つかった首なし死体、現場付近で昏倒していた男、現場から走り去った女。すべてがひとつに繋がるとき、白山の謎も明らかに!大学一年生の奈々が浅草を訪れ、崇の博覧強記ぶりを目の当たりにする「江戸の弥生闇」も収録。書き下ろし最新作!
検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。普通の人々が歪んだ事件を引き起こす恐ろしさと悲しみを巧みに描き、読者の予想を裏切る驚愕の結末を鮮やかに提示する。昭和の名手の妙技を堪能できる、文庫オリジナルの短篇傑作選。
定年になった三沢平太郎は退職金と貯金を合わせて300万円を5人の娘と自分で平等に6等分することにした。その金を元手に喫茶店を開いた長女、お金に困っているという恋人に貸した次女、旅行の資金にする三女、株式に投資する四女、会社で高利貸しを始めた五女、小料理屋の女に入れあげる父、平太郎。それぞれの50万円の使い道から三沢家にドタバタ劇が巻き起こる?!
戦争に負けた日本。男たちはどうやって生きていくのでしょうか?国産旅客機の開発を夢見る元中尉、進駐軍専用キャバレー経営から、みんなに夢を売る観光事業に転身する男。家族をかかえ悪戦苦闘しながらも、夢は少しずつ実現に向かうのでしょうか?妻を空襲で亡くし、ひとり娘の成長に気をもんだり、戦争未亡人との恋に悩んだり…。阿川弘之の娯楽傑作。
病弱な若旦那のために特別に注文された布団から、夜な夜な聞こえてくる泣き声の正体(「四布の布団」)、のっぺらぼうの同心のもとに持ち込まれてきた、奇妙な女からの訴え(「あやかし同心」)、「百物語」の場に来た少年には、可愛らしい少女の姿をした神様が憑いていた(「逃げ水」)など、妖怪や怪異を扱った時代小説アンソロジー。平成を代表する豪華女性作家陣の魅力が味わえる珠玉の短編六作を収録。
化土ーそれは積み上げた先から崩れ落ちる土のこと。崖下にたまる化土は、淀んだ政治とそこにどっぷり浸かった役人たちの象徴だ。そんな化土にからめとられ、殺された男がいた。老中・水野忠邦配下で天保の改革推進派の幕臣・栗橋伊織である。故あって廃嫡されていた伊織の兄は、かつての想い女だった弟の妻・花重とともに、敵を追いかけ、印旛沼に向かうが…。時代小説の名手が紡ぎ出す感動の人間ドラマ。
留学先の米国で奴隷同様の扱いを受けながら、首相にまで上り詰めた男がいた。教師、官吏、相場師、銀行員と様々な職を経験し、失敗を繰り返しながらも、性来の楽天主義と自学自得の精神で、日銀総裁、大蔵大臣、首相となった高橋是清。世界恐慌、日露戦争の戦費調達など、大国を相手に国家の誇りを捨てず堂々と渡り合い、幾度も日本の危機を救った男の生涯に迫った力作評伝。
ここは迷い家。妖と霊宝を隠世に閉じ込める屋敷ー。昭和20年。火の雨降る東京から、民話が息づく地・古森塚に疎開した少年・冬野心造。しかし、ほどなく妹の真那子が行方不明となる。脱走か、人攫いか、神隠しかー。証言をもとに山に入った心造の前に忽然と現れたのは、見渡す限りの蕗の原にたたずむ巨大な屋敷だった。次々襲ってくる妖怪たちをかわしながら、老犬「しっぺい太郎」に導かれ、屋敷内の様々な「霊宝」を使って脱出を図る心造。時代の夜に取り残され、闇の中で一人、焼け爛れた悪夢を見続ける少年の心には、いつしか紅蓮の野望が芽生えはじめてー。第24回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
結婚直前の会社員・廉次の前に現れた女は、突然のキスと、謎の言葉を残して消える。直後に、婚約者に目の前で別の男と駆け落ちをされた廉次は謎の女と再会。婚約者の行方をある手段で探し出そうとする。奪われて、失った、その先にあるものはー。過去と向き合い、抱え続けた痛みからの再生を描く書き下ろし長篇小説。