2017年12月発売
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく…。
就活に惨敗し、自暴自棄になる22歳の光太の前に現れた、関西弁のホスト・雫。翌年のチャンスにかけ、就活浪人を決めた光太は、雫に誘われるままにホストクラブ「チュベローズ」の一員となる。人並み外れた磁力を持つ雫、新入りなのに続々と指名をモノにしている同僚の亜夢、ホストたちから「パパ」と呼ばれる異形のオーナー・水谷。そして光太に深い関心を寄せるアラフォーの女性客・美津子。ひとときも同じ形を留めない人間関係のうねりに翻弄される光太を、思いがけない悲劇が襲うー。
2025年。ゲーム会社に就職した光太は、気鋭のクリエイターとして活躍しながらも、心に大きな喪失感を抱えていた。そんな彼の前に、再び現れたチュベローズの面々。折しも、不気味な女子高生連続失踪事件が世間を騒がせ、光太が心血をそそぐプロジェクトは大きな壁にぶつかろうとしていた。停滞した時間が一気に動き出そうとするなか、否応なしに過去と向き合った末に、光太がたどりついた10年前の恐ろしくも哀しい真実とはー。
臨月の母を捨て出奔した父は、私の想像の中でひた走る。今まさに福岡を過ぎ、ボルネオ島を経て、スフィンクスの左足の甲を回り、エンパイア・ステート・ビルに立ち寄り、グアダラマ山脈を越えて、父は走る。蛍光ピンクのハーフパンツをはいて、やせ細った毛深い脚でー。若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。表題作など9編を収載したデビュー作、待望の邦訳。
邪神によって学園まるごと異世界に転移させられた黒崎祐也。鬼畜ダンジョンと嫁達とのハーレムを作り、現実世界では考えられない幸福な生活を送っていた。ところが一ヶ月後のある日、復讐相手である妹・友理奈の手下二人とダンジョン対抗戦で勝負する羽目になってしまう。しかも、それは負ければ全てを失う戦いだった。圧倒的な戦力差から苦戦が予想される中、さらに同盟相手のリーゼロッテは裏切りを目論んでいて…!?「この幸せを手放さないためにも、俺は勝たなければいけない」次のハーレムメンバーは美少女魔法使いっ!?なんでもあり×やりたい放題の異世界リベンジファンタジー第二弾!!
中国武侠小説の最大傑作にして「中国四大奇書」の一つ。北宋末期の乱世を舞台に、好漢百八人が暴力・知力・胆力を発揮し、戦いを繰り広げながら、「梁山泊」へと集結。窃盗、殺人、痛飲、奸計、忠義、友情…。善悪が渾然一体となる物語世界を、よみやすく、勢いのある文体で、完全新訳。本巻は「第六十一回」から「第八十二回」を収録。
この四兄弟がいなければ、幕末の歴史は変わっていただろうー。子福者と天下に羨まれた徳川傍流・高須家から尾張、会津、桑名に散った若き兄弟は動乱の中、維新派と佐幕派に分かれ対立を深めてゆく。葵の御紋の誇りを胸に、新時代の礎となった高須四兄弟の運命を描く!
警視庁生活安全部少年育成課の国枝警部補が、夜のランニング中に轢き殺された。轢いたのは、上司である生活安全部長の車だが、その車は事件の二日前に盗難に遭っていたという。国枝が死の直前までかかわっていた児童ポルノサイト摘発の妨害が目的か…!?本郷岳志たち警務部監察係は内部犯を疑い、調査をはじめるが、事件には思わぬウラが…。
仙台堀に、同心の恰好をした土左衛門が浮かんだ。深川鞘番所に詰める北町奉行所の面々は、その顔に見覚えがない。南町に問い合わせるもはかばかしい返事がなかった。だが、深川鞘番所支配の大滝錬蔵は、死体は失踪していた南町の臨時廻り同心だと突き止める。なぜ南町は即座に認めなかったか?背後に己の想い人お紋を巻き込む謀があることを知った錬蔵は…。
「デートしてみよっか」恋をあきらめていた僕に奈々が言った言葉。それは上司のパワハラに悩みながら資格試験の勉強をしている冴えない僕の毎日を一変させた。奈々への恋心を確信した頃、ある同僚女性から好意を寄せられるようになり、何かが狂い始める。これは恋か罠か、それともーときめきと恐怖が交錯する一気読み必至、衝撃の結末が待つどんでん返し純愛ミステリー!書下ろし。
盛岡初の国際マラソン大会に注目が集まっていた。謎のランナーがスタートからコースの沿道を、トップ集団と共に走っているのだ。テレビの視聴者は無邪気に彼の快走を囃すが、大会を無事成功させたい関係者や実況、参加ランナーは戸惑いを隠せない。どうして彼は、まったく報われることのない走りを続けているのか。だがやがて、男の真剣な姿が周りの心を動かし始めー。
その顔を見た者はいないー。一家皆殺しの残忍な押込みを働く『鬼夜叉』一味の犯行を阻止した風烈廻り与力青柳剣一郎。だが、恨みを抱いた一味が放った凄腕の刺客から不意の襲撃を受ける!剣一郎のおかげで難を逃れた木綿問屋『戸倉屋』も、悪所通いにより勘当された長男浪太郎に言葉巧みに近付く輩が…。『鬼夜叉』と剣一郎の、父と子の、因縁が絡む戦いの行方は!?
僧侶天蓋に引き取られた少年一亮には特殊な能力があった。人が鬼と化す兆候を察知できるのだ。一亮の感覚に導かれて訪れた麻布桜田町で、天蓋率いる「討魔衆」の小組は新たな鬼と闘う。同じ頃、南町の臨時廻り同心小磯も現場に急行していた。敏腕同心に存在を気取られかけた天蓋らは姿をくらまし奥州へ。北の大地では、飢饉に喘ぐ民が「涅槃の村」に縋っていた…。
天正四年、織田信長は城を築くために安土の地に入った。上杉謙信に備え、石山本願寺への攻撃拠点とし、さらに京に上る足掛りに、この地を選んだのだ。そしてもう一人この地に立った者がいた。戦によって両親を殺され、“騙し人”と呼ばれる詐欺師になった娘・鶴である。鶴は欲望渦巻く乱世の中で騙しの腕を磨き、戦の元凶、信長に壮大な罠を仕掛けるが…。
誰からも顧みられることのない孤独な人生を送った男が亡くなったとき、町は突如として夢幻的な祝祭の場に変貌し、彼は一転して世界の主役になる「勝利」、一匹の奇妙な動物が引き起こす破滅的な事態「あるペットの恐るべき復讐」、謎めいた男に一生を通じて追いかけられる「個人的な付き添い」、美味しそうな不思議な匂いを放つリンゴに翻弄される画家の姿を描く「屋根裏部屋」…。現実と幻想が奇妙に入り混じった物語から、寓話風の物語、あるいはアイロニーやユーモアに味付けられたお話まで、バラエティに富んだ20篇。
涌井和沙は、気がつくと病院のベッドにいた。戸惑ううちに、「モリさん、目が覚めたんですね」と看護師から声をかけられる。鏡をのぞいた和沙は驚愕する。そこに映っていたのは赤の他人ー森千鶴だった。パニックになった和沙は、恋人の早田慎介を頼ろうとするも、彼は自分に気づいてくれない…。胸が押し潰される中、追い打ちをかけるように新たな事実が判明する。一年前、和沙は何者かに殺害されたというのだ。千鶴の弟・潤の力を借り、少しずつ事態を把握していく和沙だったが、慎介が不穏な動きを見せ始め…。カップルに訪れた奇跡の十日間。真相に思わず“震える”再読必至のミステリー!
自殺未遂した少女、消えた絵…。鈴蘭学園美術部で起こった複数の事件には、図像術につながる何かが感じられる。そんななか鈴子の提案で、千景は生徒の一人を装って、学園の潜入調査を決行することになって…!?矛盾する少女たちの証言に翻弄されながらも、千景と透磨は、事件と…呪われた絵画「ユディト」の謎を追うー。話題の美術ミステリー、第五弾!!