2017年2月発売
途方もない博識と巧緻をきわめたプロット、極度に凝縮された文体ゆえに、“知の工匠”“迷宮の作家”と呼ばれるボルヘス。その全仕事の核となる、『伝奇集』と並ぶ代表作。表題作のほか、「不死の人」「神の書跡」「アヴェロエスの探求」などを収録。
白昼、老人は渋谷の交差点で何もない空を指して絶命した。死の間際、老人はあの空に何を見ていたのか。突き止めれば一千万円の報酬を支払う。興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。老人が死んだ同じ日、一人の公安警察官が忽然と姿を消した。その捜索を極秘裏に命じられる刑事・相馬。廃屋に残された夥しい血痕、老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、遠い過去から届いた一枚の葉書、そして闇の中の孔雀。二つの事件がひとつに結ばれた先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた。鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。
失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の小島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。-君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。
アルバイトをしながら、自分を見つめ直している佐多くんは、あるお屋敷で、突然やってきた一匹の猫とその秘書だという男に出会う。実業家のA・ニャンと紹介されたその猫が、過去に屋敷で起こった変死事件を解き明かす?!って、ニャーニャー鳴くのを通訳しているようだが本当?次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわす青年の姿を描いた連作ミステリ。文庫オリジナルだニャ。
書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。今夜はその授賞式。杏子と多絵は初めての参加に華やいだ気分でいっぱいだ。二人が働く成風堂に、福岡の書店員、花乃が訪れる。書店大賞の事務局に届いたFAXの謎を解いて欲しいというのだ。一方、明林書房の営業部に勤める智紀も授賞式の準備に大忙し。しかし真柴から呼び出され、書店大賞実行委員長から、同じく不審なFAXについて相談を受ける。授賞式の開始は午後七時。無事に幕は上がるのか?! 〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉、両シリーズのキャラクターが勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。
夏休みを迎えた美心国際学園(BIS)ビブリオバトル部は、造り酒屋を営む武人の家で夏合宿を開催する。夜、武人の両親や祖母を招待して行われたビブリオバトルのテーマは“恐怖”。部員たちはロウソク一本の明かりのなか、それぞれ得意ジャンルを生かしてとっておきの怖い本を紹介するが、投票段階にはある不思議な出来事が…。本格的ビブリオバトル青春小説シリーズ第二弾!
強力な特殊能力を持って生まれ、少年期を共に過ごした三人の“在色者”。彼らは別々の道を歩み、やがて途鎖の山中で再会する。ひとりは傭兵、ひとりは入国管理官、そしてもう一人は稀代の犯罪者となって。『夜の底は柔らかな幻』で凄絶な殺し合いを演じた男たちの過去が今、明らかになる。
夢窓とは、虚無から円覚に開かれている目覚めの窓。その名を持つ禅僧・夢窓疎石は、武士の子でありながら九歳で出家し、南北朝の動乱の時代を生きた。両陣営のリーダーである足利尊氏や後醍醐天皇、さらには七代の天皇から師と仰がれた男の生涯を通して、謎多き時代を俯瞰する長編歴小説。
文庫書きおろし!廣瀬知剛は、政治家も利用する大手病院で働く警視庁公安総務課OB。モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、果ては暴力団関係者、薬物反応の出た患者の対応まで、ありとあらゆるトラブルの処理に追われている。ある日、脳梗塞で倒れた財務大臣がICUに運ばれてきた。どうやら何者かに一服盛られたらしいーー院内刑事の秘密捜査がはじまる! 文庫書きおろし! 廣瀬知剛は、政治家も利用する大手病院で働く警視庁公安総務課OB。モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、果ては暴力団関係者、薬物反応の出た患者の対応まで、ありとあらゆるトラブルの処理に追われている。 ある日、脳梗塞で倒れた財務大臣がICUに運ばれてきた。どうやら何者かに一服盛られたらしいーー院内刑事の秘密捜査がはじまる! 第一章 政治生命 第二章 情報収集 第三章 院内交番 第四章 福岡の動き 第五章 院内暴力 第六章 原因不明の病 第七章 追及
「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが"せかい"を変容させるーー。 いびつで、怖く、そして切ない座敷牢のボーイ・ミーツ・ガール! ーー宮内悠介 前人未踏の実話怪談ホラー。傑作! ーー大森望 天才が紡ぎ出す黄泉の視界(ビジョン)に恐れ、畏れよーー。 「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが"せかい"を変容させるーー。 零 ふたり 一 繰り返しの十年 二 新聞販売店 三 うまれおちたるかうけうのひとつめざめたること 四 余所者 五 失せ物探し 六 脅威の捏造 七 旦那様 八 凪の終わり 九 おのれをさだめたるかうけうかすがみをわたること 十 決断の代償 十一 しろてぶくろちのとととまじわりかすがみをしること 十二 巫覡の座 十三 しろてぶくろとんをしりえんをたぐること 十四 屋敷の主 十五 みっつのかうけうおわりのけつだんをくだすこと 十六 嵐のあと 十七 そしてこれから
脱走したウォーカロンたちが潜んでいるというアフリカにあるコミューンへやって来たハギリたち。彼らはそこで、新しい生命のあり方を体験する。 富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが、潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。 富の谷にある巨大な岩を穿って作られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実存の物語。 プロローグ 第1章 生きているもの Living things 第2章 生きている卵 Living spawn 第3章 生きている希望 Living hope 第4章 生きている神 Living God エピローグ
中年探偵・佐藤秀之進から「相棒になろうぜ」と勧誘されて埼玉県警を辞め、新宿のバー兼探偵事務所で働き始めた佐藤龍二は、警視庁キャリア・八木が持ち込んだ依頼から、殺しを愉しむ「悪魔」の周辺を探ることになりー。探偵事務所「ダブルシュガー」最初の事件!
日本列島を震撼させた「歌舞伎町封鎖事件」から七年。伝説となった犯罪者“ジウ”に自らを重ねる新たな怪物“ダムド”が現れた。吹き荒れる殺戮の嵐、再び動き出す「新世界秩序」の陰謀、新宿署の東弘樹警部補に迫る危険…謎の男と対峙するのは、アナーキーなダークヒーロー“歌舞伎町セブン”!
旅姿の侍が内藤新宿で殺された。北町奉行所同心・河上惣三郎が探索を進めると、重兵衛の住む白金村へ向かう途中だったらしい。一方、堀井道場の師範代である左馬助は、訪ねてきた若侍の腕前に瞠目していた。その天才の名は、松山輔之進。兄の仇を討つために江戸へ出て来たというー。因縁に結ばれし男たちが江戸を奔る、人気シリーズ第三弾。
芸術家の卵が集う帝都芸術大学剣道部。部長の壮介は、道場に現れた金髪の天才画家・唯の指導をすることになる。有名ギャラリーとの契約を賭け、「半年で初段を取りたい!」と語る唯。彼女の笑顔の裏には、悲しい過去が秘められていたー。アート系剣士たちの恋と友情、そして夢が交錯する。芸術×武士道青春小説!『藍のエチュード』を改題。
ヤマトの大王の想われびと、女鳥姫と恋におちた隼別王子は大王の宮殿を襲う。愛と権力を賭けた血なまぐさい叛乱の夢は、大王の前にあっけなく破れるが…。「日本書紀」「古事記」の世界を舞台に紡がれる、恋と陰謀と幻想が渦巻く濃密な物語。