2017年6月8日発売
「深山木薬店」を訪れた「潤」と名乗る依頼人は、七年ぶりに再会した従姉の音乎をめぐる奇妙な相談を薬屋探偵に持ちかける。二度と彼女に会えないと思っていた潤は喜びながらも戸惑いを隠せなかったという。音乎はもうこの世にいないはず。目の前の人物は誰なのか!?記憶がリセットされたように同じ思い出話を語る「一日を繰り返す死者」の謎に迫るたび、封じられた過去が明かされる。
ソーシャルワーカーのピートは問題のある家庭の面倒をみる仕事をしている。一方で彼自身もまた家族との関係がぎくしゃくしており、妻娘とは別居中だ。あるとき、彼が出会った栄養失調の少年は山中で世間から離れて生活をしていると語り…。ときは大統領選直前の一九八〇年。何かが変わりつつあるアメリカ社会で、どうしようもなくなってしまった様々な人々、少年少女、家庭、そして犯罪者たち。自分の妻子と向き合うこともできないダメ男は、彼らを救うことができるのか。英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作。
NGZ425年12月、テラにおけるポルレイターの専横ぶりは度をこしていた。ポルレイターの代表ラフサテル=コロ=ソスはペリー・ローダンに、自由テラナー連盟、宇宙ハンザ、GAV¨OKに所属する宇宙船を数十万隻擁する艦隊を準備するよう迫る。大艦隊をひきいて、超越知性体セト=アポフィスの補助種族が住む諸惑星に出動し、懲罰をくわえるというのだ。一方、子供たちをふくむ“虎の一味”はいまだに行方不明だった!
遠い未来、融合世界との意思疎通を拒んでいた孤高世界に、未知のDNA基盤の生命が存在する可能性が浮上。融合世界のラケシュは友人パランザムと共に、それを探すべく銀河系中心部を目指す。一方、“白熱光”からの熱い風が吹きこむ世界“スプリンター”の農場で働くロイは、老人ザックから奇妙な地図を見せられる…二つの物語の果てにあるものとは!?世界の法則を自ら発見する魅力溢れるハードSF。
1972年秋。父親の死とともに新宿歌舞伎町の探偵事務所を受け継いだ浜崎順一郎は、女子大生・栄子から生き別れの母親でバンプ女優と言われた神納絵里香を捜してほしいと依頼される。だが、やっと見つけ出して栄子と会わせる約束を取り付けた矢先、絵里香は何者かに毒殺されてしまった。直後、栄子は姿を消し、第一発見者として容疑者扱いされた浜崎は事件を調べ始めるが…直木賞・吉川賞作家が放つ正統派ハードボイルド。
女優毒殺事件を追う浜崎は、友人の記者・古谷野や歌手の福森里美らの協力で、殺された絵里香が映画会社元社長の愛人だったことを知る。元社長は消えた依頼人・栄子とも関係が?さらに調査を進めるうちに、女優殺しと、探偵だった亡父が調べていた現金輸送車強奪事件との間に奇妙な繋がりを発見した。だがまもなく、浜崎は何者かに襲われ…ジャズや映画が全盛の70年代を舞台に贈る極上の私立探偵小説。
それはパーティーの夜に起きた。だが、わたしの記憶はそこだけ消えている。何が起き、誰が死んだのか?-学生時代の友人だったクレアの独身さよならパーティーへの招待。かつてクレアとの間には色々なことがあったのに、わたしは誘い込まれるように招待に応じてしまった。森の奥に孤立した別荘に集まった六人。ぎくしゃくした奇妙な雰囲気のパーティーが始まった…悪夢のような週末と惨劇を描く、気鋭のサスペンス!
さまざまな民族が暮らすアフリカのちいさな国、ブルンジ。仲間たちとマンゴーをくすねたり、家族でドライブしたり、少年ガブリエルは幸せな日々を送っていた。しかし、大統領の暗殺をきっかけに内戦が勃発。親戚や知り合いが次々と消息を絶ち、平穏な生活は音を立てて崩れていく…フランスで活躍するラッパーが、自らの生い立ちをもとに綴った感動作。高校生が選ぶゴンクール賞受賞!
稀代の陰陽師・晴明と心優しき笛の名手・博雅が活躍する六百万部超の人気時代小説第14弾。今回は、晴明のライバルにして、シリーズ登場人物で人気第三位でもあり、酒をこよなく愛する播磨の蘆屋道満が大活躍。彼を主人公にした三本の短編が登場。通常のシリーズとは、ちと違う平安の幽玄とあわれの世界に読者を誘います。
Kは小噺のK。Kは簡潔のK。Kは奇態のK。つまりKなる体の掌編。これ即ち、“K体掌説”なり。21世紀の稲垣足穂か、はたまた星新一か。ショートショートに驚異の新人現る…。単行本刊行当時、一体この著者は何者?と評判となった話題作がついに文庫化。その謎めいた著者の正体がいま明かされる。
人間の代わりに八咫烏の一族が住まう世界「山内」のエリート武官を養成する全寮制の学校「勁草院」に入学した少年、雪哉。次の日嗣の御子たる若宮派と巻き返しを図る兄宮派との間で激化する対立の中で次々と起こる事件に雪哉は立ち向かう。競争の中で少年たちは友情を深めていくー。八咫烏シリーズの第四弾。
東京ー大阪間を9時間強で結ぶ寝台急行銀河。そのA寝台で女性の他殺体が見つかった。容疑をかけられたのは、乗り合わせたサラリーマン、井崎。十津川警部の旧友にして、被害者の愛人だったー。潔白を主張する井崎を、十津川は救えるか?今はなき寝台急行を舞台にした傑作が30年の時を経て新装版で登場!
バブル崩壊ですべてを失った彰洋。あれから10年、彼は敬愛する美千隆とともに再び動き出した。ターゲットはIT産業。関連企業を起こして株式公開し、株価をつり上げて売り抜けるー。だが夢を追うふたりの前に、かつて踏み台にした女たちが立ちはだかる。この狂ったゲームで最後に笑うのは、いったい誰か?
「トオリヌケ キンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流を描く表題作。ひきこもった部屋で俺が聞いた彼女の告白は「夢」なのだろうか?(「この出口の無い、閉ざされた部屋で」)。たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても、出口はある。かならず、どこかに。6つの奇跡の物語。
ひとりぼっちの高校生活を送る引っ込み思案の少女・志音。くじ引きで吹奏楽部部長となった大志。屋上でドラムのバチを手にリズムを刻む志音を見た大志は思わず部活に勧誘する。大志との二人きりの演奏を通して人と一緒に演じる楽しさを知った志音は入部を決意する。その夢は大きく「東日本大会」出場!
根来傀儡衆の頭領・左甚五郎がまたも動き出した。狙いは御家騒動が収束したばかりの会津藩。舫九郎は幡随院長兵衛、天竺徳兵衛、高尾太夫らと会津に乗り込むが、そこには売り出し中の軍学者・由比正雪や柳生十兵衛、天海大僧正までが集結していた。いずれが敵か味方か!?激闘の果てに明かされる真相は?
文政二年(1819)秋、野分(台風)一過。久慈屋の大番頭・観右衛門に誘われ、隅田川沿いの須崎村に赴いた小籐次。竹林に囲まれた絶景の地に建つ数寄屋こそ、久慈屋がおりょうに用意した住まいだった。おりょうの新生活のため奔走する小籐次。だが野分のさなかに直面した、千枚通しを用いた殺し事件も急展開を告げていた…。
盗賊の頭・長沼又兵衛は、かつて本所・高杉道場で、平蔵、岸井左馬之助とともに、三羽烏と呼ばれた男だった(「高杉道場・三羽烏」)。腕利きの密偵六人衆が集まり、盗賊だった頃の思い出話を肴に、飲んで飲んで、その挙句…(「密偵たちの宴」)。ほかに「いろおとこ」「見張りの見張り」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の全七篇を収録。