2017年7月発売
新世紀最初の日食。世界中の人々が黒い太陽から放たれるフレアに見とれていたそのとき、巨大地震が太平洋全域を襲う。中部太平洋で沈没船探査をしていたジャックのもとには米海軍からの救援要請が届いた。米大統領を乗せたエアフォース・ワンが太平洋上空で姿を消したのだ。軍に遺恨のあるジャックは渋りながらも捜索に乗り出す。一方そのころ人類学者のカレンは与那国島沖に沈むという“ドラゴン”と呼ばれる遺跡へ向かっていた。そこで彼女が目にしたのは地震で隆起した古代都市だった!
サルベージ船“ディープ・ファゾム”を駆ってエアフォース・ワンの捜索に乗り出したジャックだったが、海中では正体不明の物体と“力”が彼を待ち受けていた。これはいったい?大地震や大統領専用機の失踪に関連があるのか?一方カレンは沖縄の遺跡で、別のさらに大きな存在があることを示唆する証拠を手に入れる。そして太平洋上では、アメリカと中国がいまにも核戦争の惨劇へと突き進もうと策動していた…。業師ロリンズの筆が最高速度で爆走するアクション・アドベンチャー巨編!
パラノーマル・ロマンス“超能力者=動物に変身する種族”シリーズ第13弾!“アロー部隊”に所属する瞬間移動者のヴァシックは、暗殺者としての過酷な任務を果たすなか、いつしか死の安らぎを望むようになっていた。そんな彼に、実験のため集められた共感能力者たちの護衛という新たな任務が与えられる。ヴァシックが担当することになったアイビーは、能力の高まりのせいで再度の条件づけを経験しながらも自我を保ってみせた強い女性だった。その輝きに触れて、彼の凍てついた心は溶け始める。
“サイネット”をむしばみ壊滅的な被害を引き起こす感染。それを食いとめる鍵が、共感能力者たちの封じ込められていた能力にあることが改めて確認され、“アロー部隊”のメンバーとEサイたちは、感染の影響で生じる大規模な集団発症事件と“サイネット”崩壊の危機に力を合わせて立ち向かう。命を懸けた作戦のなかで、ヴァシックとアイビーはその精神的な絆をしだいに深めてゆくが、一方でアイビーはヴァシックの身体に生命に関わる問題が潜んでいることを知る…巻末には特別短編を収録!
大手製薬会社「誠南メディシン」に勤める藤井賢一は、会社の不祥事の責任を一方的に取らされ、東京から山形の片田舎にある関連会社「東誠薬品」に飛ばされた。それから八か月ほど経ったある夜、東京で娘・母と暮らす妻の倫子から、不可解なメールを受け取る。賢一の単身赴任中に、一体何が起きていたのか。その背景には、壮絶な真相があった。
埼玉県のリハビリテーション病院で働く玲子はやる気に欠ける看護師2年目。新しく赴任してきた若い医師小塚太一に、「リハビリってどんな意味?」と問いかけられて答えられずー。医師と療法士と看護師と患者、チーム医療の中で成長していく玲子。爽やかで新しい医療小説!
テレビで岩井志麻子を見るたび、私は姉である本間切美を思い出す。生前、姉は芸術家になりたかった。ネットではカルト的な人気があった姉だが、芸術家としては凡庸で素人目でも稚拙とわかる作品は、見る者を不快にさせ不気味で狂気に満ちあふれていた。そして願いは死をもって成就した。切断された姉の首は、彼女の住んでいたマンションの一室で、子供たちに人気のヒョウのぬいぐるみの首にくるまれて転がっていた。この猟奇的な殺され方は、なぜかQ国で起きた「ガオちゃん殺人事件」に酷似していた…。
日本最大の繁華街・銀座で死体遺棄事件が発生!遺体はショーウインドーに吊るされ、現場には、黒いアルミホイルと蓄光テープという不可解な手掛かりが遺されていた。臨場した如月塔子と十一係は捜査を開始するが、世間に見せつけるような残酷な犯行は続き、次なる被害者が拉致されてしまう。閃きを武器に活躍を重ねる女性刑事・如月、卓抜した捜査能力を持つ鷹野、熱血漢・門脇、最年長の人情派・徳重、情報収集に優れた尾留川ー捜査一課十一係“殺人分析班”は卑劣な犯人に辿り着くことができるのか!?
ポーランド北部オルシュティン市の工事現場で、白骨死体が見つかった。検察官テオドル・シャツキは、現場が病院に続く地下の防空壕だったことから、戦時中のドイツ人の遺体と考えていた。ところが検死の結果、遺体の男は十日前には生きていたことが判明、この短期間で白骨化することはあり得ないという。さらに調査を続けると、複数の人間の骨が入り交じっていた。やがて、この男は生きたまま大量の配水管洗浄剤で溶かされて死んだことがわかるが…。こんなミステリーがあったのかー「ポーランドのルメートル」が描く衝撃の傑作クライムノベルが日本初上陸!
新宿区市ヶ谷にある防衛省統合幕僚監部会議室のモニターに、一人の東洋人が映し出されたー通称ゴルゴ13。この伝説的スナイパーを脅迫し、日本政府との専属契約を迫るという計画が浮上していた。「わが国の自衛隊は憲法上、攻撃的なことは何も出来ません。それをやらせる、強引に」脅迫材料は、ゴルゴ出生の秘密。一つの仮説を立証するため、政府の調査員が各国へ飛んだ。血なまぐさい惨劇は、そこから始まった。直木賞作家・船戸与一が、作家デビュー前に脚本を担当した『ゴルゴ13』作品から選りすぐりの三話を自ら小説家。魂が震える読み切り第三弾!
先生、これから連続側転するから見ててくださいー。そういって、大学研究室で働く女性秘書は、高層ホテルの最上階のバーで、結構なスピードで部屋の隅から隅までくるくるとまわり始めた。そんな奇怪ながらも有能な彼女に惹かれた准教授はある日、求婚を申し出るのだが、彼女は研究室に珍奇な両生類の水槽を設置したまま、行方知らずとなってしまう(「あほろーとる」)。ほかにも、馬、河童、蟋蟀、猫など様々な生き物をモチーフに、日常と非日常の境界線をのびやかな筆致で揺るがす、読めば読むほどクセになる11の物語たち。
芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした女性騎手。配属先は「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめたポンコツ集団だった。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から徐々に皆の心は一つとなり、ついには大きな夢、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、行く手には様々な試練が。温かな絆でつながった彼らの運命は…?競馬に興味がない人も、競馬好きも大満足の爽やかな感動を呼ぶ人間ドラマの大傑作、待望の文庫化。巻末に騎手・藤田菜七子氏の特別寄稿つき。
偽造紙幣“スーパーK”の運び屋と目される北朝鮮工作員が日本に入国した。来日前、ソウルで激しい銃撃戦を起こした工作員・チョンは、現場にメモを残していた。米国国防総省直轄の情報機関に所属する葉山隆に与えられた任務は、その文書の解読と、日本での潜伏先を探ることだった。上司・エディからの命令にしぶしぶ調査を進めていた葉山は、やがてある日本人女性とその息子の存在に行きあたる。同時期、北朝鮮では対外情報調査部に勤める夫を持つ女性・李光朱と、その娘・春花が、平壌から北へ向かっていた。二人は白頭山を望む国境の町・茂山にたどり着いた。第三回大藪春彦賞受賞作。
米国国防総省直轄の情報機関に所属する葉山隆は、北朝鮮工作員・チョンの足取りを追ううち、チョンが日本で杉川春子と家庭を持ち、息子をもうけていたと知る。同じ頃、チョンが祖国に残した妻・光朱と娘・春花は、国境を流れる豆満江を越えようとしていた。だが、渡渉の途中に北朝鮮の警備隊に銃撃され、光朱は命を落とす。チョンが二つの家族に抱く愛情はどちらも本物だと確信した葉山は、彼を亡命させる決意を固める。祖国とは何か?家族とは何か?工作員の行為にひそむ、凄絶な悲しみが読む者の胸を打つ。ラストは感涙必至。第三回大藪春彦賞受賞作!
防空壕跡から見つかった白骨死体の事件を捜査する検察官シャツキ。身元は判明するものの、犯人に繋がる手がかりは一向に得られない。プライベートでは高校生の娘との衝突をくり返し、苛立ちが募るさなか、検察局を訪れた女性から「夫が怖い」と相談を受けるが、虐待の証拠はなく、すげなく追い返してしまった。部下ファルクにその対応を責められ、不安から彼女の家を訪れてみると、そこには瀕死の女が横たわっていた。そして事件の真相に手が届こうとした時、シャツキ自身の身に思いもよらぬ事件がー。衝撃過ぎるポーラスドミステリー、完結編。