2017年8月25日発売
駿州沼里藩の江戸留守居役を務める深貝文太郎は妻殺しの犯人を見つけられず、忸怩たる思いを抱いていた。ある日、家中の賄頭が自殺する。遺書で公金横領を告白していた。半月後、今度は留守居役の同輩が乱心して通行人を次々に斬り殺すという事件が勃発。お家取り潰しもあり得るほどの大事件である。文太郎は殿直々にこの事件を解明するよう命じられるー。持ち前の粘り強さと機転を武器に、文太郎が事件の真相を暴く!
応募条件は獅子座であることー突如学校に掲示された怪しげなバイトの求人。稀音イズミは、奇妙な面接を経て採用されるも、仕事は不可解な漢字の筆写。なぜ獅子座?求人の真の目的とは?(「獅子座連盟」)。雨中の自転車事故。堤防を転げ落ちる巨大スイカに隠された意外な陰謀とは!?(「赤いルピア」)など、ホームズを素材にした4つの事件を、ドSな女子高生探偵が軽やかに推理。遊び心たっぷりのホームズ・オマージュミステリ!
赤坂の高級クラブで日本最大の組織暴力団・三矢組組長が狙撃された。三矢組は直ちに狙撃犯への報復を企て、棟居刑事は一連の事件を追うことになった。一方、多摩川河川敷で1人の青年の死体が発見される。それはかつて棟居が偶然知り合った人物だった。棟居の執念の捜査によって、2つの事件は思わぬ接点を持ち、隠された悲しい真実が露わにされるー。国民的人気シリーズ第3弾!「棟居刑事の占術」併録。
宇宙船コヴェナント号は、15名の乗組員と長期睡眠中の2000名もの入植者とともに、惑星オリガエ6を目指し、宇宙を航行していた。しかしその最中、衝撃波に襲われた彼らの前に、歌声を示す謎の信号とともに、未知の惑星が出現した。調べるとそこは、入植の条件が揃った“楽園”とも言える完璧な惑星。ダニエルズたち乗組員は、意を決し降り立つが、“楽園”とは真逆の絶望が待ち受けていた。名作「エイリアン」衝撃の前日譚。
将軍綱吉の命により、長崎での医術遊学から戻った御広敷番医師の矢切良衛。将軍の寵姫を懐妊へと導くため、大奥の担当医となった良衛に、様々な障害が立ちはだかる。良衛が持ち帰ったとされる和蘭陀の秘術を奪おうと、大奥内外に潜む黒幕たちは、手段を選ばぬ行動に出たのだ。そしてついに、良衛が想いを寄せる患者の伊田美絵にも魔手が忍び寄るー。美絵を人質に取られた良衛は、捨て身の賭けに打って出るが…。
銃後の子供はとにかく体が丈夫でないとあかんのだ。在郷軍人の小父ちゃんが台に上って号令をかけるラジオ体操。歌う唱歌は「敵の将軍ステッセル」。千人針と慰問袋のある戦時下、トキコは高等女学校の入学試験を受ける。出征した男たちは、桜のように散り、人生の花を独り占めし、女はカスの部分をつかまされる。中原淳一の絵を見ては、ちぢれ毛をまっすぐにして下さいと祈る、ささやかな日常の中に戦争が描き込まれた、名連作短篇集。
「ハッピーエンドのお話はないの?」「だってこれはロシアの話だからね」サンクトペテルブルクに生まれ育ち、ロシア革命にともなってオランダに帰国した祖父が「ぼく」だけに語ってくれたこと。ゴーゴリの『外套』より悲惨、どこにも救いはないのに、なぜか可笑しく滑稽な人生の悲喜劇。『ハリネズミの願い』の作家テレヘン自身がもっとも愛する宝箱のような掌篇集。
学校の先生になりたかった父と、キャンディ屋さんを夢見る娘。謎と矛盾だらけのこの世界で、もうひとつの本当を探し求めて、ともに考え、悩み、笑い…。未知なる記憶をめぐる大冒険がはじまった!演劇界の鬼才が描く、異色のドキュメント小説。
明治・大正・昭和の四文豪の幻想ーー優雅の化身とあがめられる美貌の御息所と高徳の老僧の恋の物語「志賀寺上人の恋」。死後の霊とのかかわりを描く「死者の書」。妖しいラヴレターが次々と波瀾を巻き起す恐怖小説「人生恐怖図」。金魚と老作家の会話でできた超現実的な小説「蜜のあはれ」。他全31編。 三島由紀夫 橋本治編 中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃 志賀寺上人の恋 大障碍 手長姫 女方 憂国 鴉 ミランダ 百万円煎餅 解説 幸福な鴉 川端康成 橋本治編 十六歳の日記 篝火 白い満月 死者の書 死体紹介人 解説 生という半身を欠いて 正宗白鳥 松山俊太郎編 妖怪画 冷涙 人生恐怖図 解説 レシチンの滋味 室生犀星 矢川澄子編 蜜のあはれ 愛魚詩篇 寂しき魚界 凍えたる魚 七つの魚 寂しき魚 魚になつた興義 鮠の子 三本の鉤 魚 鯉 青き魚を釣る人 火の魚 老いたるえびのうた 解説 森茉莉への手紙 年譜
生誕130年を迎えた、ポーランド随一の狂気的恐怖小説作家グラビンスキによる怪奇幻想作品集。病み憑きの陶酔と惑乱の書。 赤いマグダ 白いメガネザル 四大精霊の復讐 火事場 花火師 ゲブルたち 煉獄の魂の博物館 炎の結婚式 有毒ガス [エッセイ] 私の仕事場から 告白 [インタビュー] ステファン・グラビンスキとの三つの対話 一九二七年/一九三〇年/一九三一年
幼き日々を懐かしみ、愛する妹との絆の回復を望む判事の女と、 その思いを拒絶して、乱脈な生活の果てに恋人に裏切られる妹。 先人の足跡を追い、ペトラの町の遺跡へ辿り着く冒険家の男と、 名も知らぬ西欧の女性に憧れて、夢想の母と重ね合わせる少年。 ノーベル文学賞作家による珠玉の一冊! ペルヴァンシュはまたもかたくなになっていた。クレマンスが表しているものすべてを、社会的地位だの、責任だの、権威だのを憎んでいた。ある瞬間、こんなあばら家を出て、あんなひどい人たちから遠く離れたところに行けるようにあなたを助けてあげられるわ、お金を貸してあげられるわと、ぎこちなく口にした。ペルヴァンシュは猛然と反発した。(「心は燃える」より) きっと、アリがひとこと頼みさえしたら、サマウェインは自分の宝物を見せただろう。手紙の束を、何枚もの黄ばんだ写真を、そしてなによりも、女性の腕に抱かれた赤ん坊がうっすらと写っている写真を。海の向こうからやってきた金髪の女性、父を連れて行ったその女性を、サマウェインは母と呼んでいる。(「宝物殿」より) 心は燃える 冒険を探す 孤独という名のホテル 三つの冒険 カリマ 南の風 宝物殿 各篇解題 訳者あとがき