2017年9月発売
人間より偉い猫サバが仕切る「鯖猫長屋」で事件が!店子たちに愛されているおはまに、サバが毛を逆立て、飛びかかったのだ。その日おはまは奉公先で、ある大店へ届け物を頼まれたという。しかしそれが「出戻り文箱」と噂のものだった。元盗人で、今はサバの飼い主である画描きの拾楽は事情を探るが…。江戸の根津宮永町を舞台に、謎解きと人情が絡みあう、好評シリーズ第三弾。文庫書き下ろし。
大好きだった芸術が戦争によってなくなってきたことに嫌気がさした女魔導士は、時間凍結魔法によって戦争後の世界に行くことを決意。2000年後に目覚めてみると、周りは未開の地になっていた。生体ゴーレムのメイド人形と原始生活を始める女魔導士。やがて村人との出会いによって、女魔導士の立場は一変していく。芸術に囲まれたスローライフを求める女魔導士の夢は、果たして叶うのかー。女魔導士の開拓記、いま開幕!
日常から遠く隔たった土地の悠久の歴史を物語る遺構や人を寄せ付けない奥深い自然の中に身を置いた主人公が自らの経験を通じて「私」を超えていこうとする試みは、やがて若者や女性といった身近な他者の異質な感性に刺激されて一層深化した世界感覚によって変貌を遂げる。後に高い評価を受ける都市を舞台にした作品群の嚆矢となった表題作を始め、転形期のスリルに満ちた傑作短篇集。
両親を失い、伯父の家に引き取られた綾乃。村祭の夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた彼女は、危ういところを箒に乗った魔女に助けられる。魔女の正体は、村に来ていた女性民俗学者。怪我を負った綾乃は、救い主の母校で治療を受け、そのまま入学することに。だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校だった。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
「モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった」-肌が宇宙服に変わって飛んでいってしまう人々、恋人に贈られた手編みセーターの中で迷子になる男、自分の寝言を録音しようとした男が耳にする知らない男女の会話…。とびきり奇妙だけれど優しく切ない、奇想に充ち満ちた短編集。2001年度フィリップ・K・ディック賞候補作の33編に、本邦初訳の短編1編を追加した、待望の文庫化。
ギルガメシュ叙事詩ほか、旧約聖書やホメロスの叙事詩よりもはるか以前、四千年前に近東で語られていた物語。遺跡の粘土板上に残されたそれらを復元・解説し、わかりやすく語り直す。
戦艦ターチンと戦艦メークロンは、タイ王国の依頼により日本海軍が建造。マレー半島侵攻と同時に2戦艦には日本海軍陸戦隊が乗り込み、イギリスZ艦隊と交戦、レパルスとプリンス・オブ・ウェールズの撃沈に成功した。その後、両艦は日本政府に売却され、ターチンは戦艦丹後に、メークロンは戦艦相模と改称され、日本海軍に編入された。米豪遮断を目論む日本軍は戦艦丹後と相模の活躍もあり、珊瑚海海戦で空母ヨークタウンを沈め、ポートモレスビーも完全制圧する。しかし、老朽商船を改造した米空母の反撃により戦闘は激化していく…。
中国武侠小説の最大傑作にして「中国四大奇書」の一つ。北宋末期の乱世を舞台に、好漢百八人が暴力・知力・胆力を発揮し、戦いを繰り広げながら、「梁山泊」へと集結。窃盗、殺人、痛飲、奸計、忠義、友情…。善悪が渾然一体となる物語世界を、よみやすく、勢いのある文体で、完全新訳。本巻は冒頭の「引首」から「第二十二回」までを収録(全5巻)。
もうすぐナージャは、16歳。長い旅を終え、夢にまでみた母コレットとの再会を果たし、ウィーンで楽しい日々を送る。誕生日には、盛大なお祝いの舞踏会も開かれる。ナージャはとても幸せだった。しかし、そんなナージャの胸の中にはもう一つの思いがあった。私だけがこんなに幸せでいいはずがない。アップルフィールドで一緒だった仲間たちは…。運命の女性ナージャは、大きな決心をしたー。
20歳で童貞の宏明は、ジムの水泳インストラクター。そこに通う美華子は30歳で人妻だが抜群のプロポーション。その魅惑的な水着姿に刺激された宏明は、思わず股間をふくらませてしまう。美華子に気づかれ更衣室に逃げこむが、ロッカーの陰で股間にいたずらされ、あえなく昇天ー。なんとか仕事を終えて外に出た宏明は、そこで自身の今後を大きく左右する運命の女性と出会う。その女性の名は涼乃。美華子のひとつ下の後輩だという。宏明は清楚な雰囲気の涼乃にひとめぼれ。彼女が17年間、十字架を背負って生きてきたとは知らずに…。
親の命で訳アリ母娘の問題を解決するため、宿さえない島・うえず島から上京した翔平。色香漂う母・由里江とひきこもりの娘・玲奈に会うが、面倒ごとを引き受けたと後悔していた。だが、その夜、寝室に由里江が現れた!豊満な躯をおしげもなくさらす彼女に思わずむらむらしてしまう翔平。その様子に気づいた由里江が甘えるように誘惑してきてー!?後日、うえず島へ母娘を招待すると、都会では感じることのできない解放感から、ふたりはしだいに心も躯も変化してゆく。海中で始まる斬新で官能的な行為に翔平の好奇心はとまらないー。そのうえ、沖合の孤島には、たった一人の巫女がいるようで…。
強さを求めて戦い続け、竜殺しを果たした冒険者アルド。しかし、最強種である竜を討伐してしまったことで生き方を見失ってしまう。人生に悩むアルドの脳裏に浮かんだのは過去に訪れた村で見た、どこまでも続く色とりどりの花畑だった。あの美しい風景を見ながらゆっくり暮らすのもいいかもしれない。そう思ったアルドは冒険者を引退し村人となった。花に囲まれた木陰でお昼寝、仲間たちとの川遊び、可愛い女の子との畑づくりなど、豊かな自然と温かい村人たちに囲まれながらアルドはスローライフを謳歌する。そして、いつしか戦うためとなった人生から楽しむための人生を歩みはじめるー戦い続けるだけが人生じゃない!?自由で気ままな幸せいっぱいのスローライフファンタジー!
34歳の子持ち男、柴田元。作家を目指すも全く芽が出ず、編集者である妻のヒモ同然。4歳の娘の面倒をみながら妻の帰りを待つ日々だった。そんな柴田は突然思い立つ。「おれは東大を目指すぞ」妻が突きつけた条件は、絶対に一年で合格すること。さもなくば実家に帰るという。34歳無職父さんの東大受験日記。
宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ。勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は、この息子にどう接するべきか、苦悩したー。生涯夢を追い続けた賢治と、父でありすぎた父政次郎との対立と慈愛の月日。