2018年1月12日発売
スクールカウンセラーとして、日々生徒の悩みに寄り添う日向は、自身も母親の過干渉に苦しみ続けていた。そして、不可解な死を遂げた生徒・吉岡圭吾の母もまた、自身の母と重なるような“毒親”だった。恋人の突然の暴力、“毒親”との対峙、同僚教師の恐ろしい闇…幾多の苦しみを乗り越え、日向は、この事件にかかわったすべての人に語りかける。“耐えて、心が壊れて、命を失ってしまったら、なんの意味もないんです。つらかったら、逃げてください。生きることから逃げさえしなければ…生きていれば、人はやり直せるから”学校や家族を取り巻く現代の闇に切り込んだ重厚ミステリー、感動のクライマックス!
「あたしは羽衣お炎。こう見えても、江戸じゃあちっとは知られた稼業人さ」四年前に佐渡へと送られた無宿人。嘘か真か、それが想い人の青峰信三郎らしい。“羽衣”の異名を持つ女渡世人のお炎はそんな噂を聞きつけ、アメリカ製の最新式六連発銃・コルトM1847を携え信三郎を探す旅に出た。しかし佐渡の金山には、「オドロ様」なる奇怪な像を信仰する邪教が広がっていた。オドロ様一党と対立し、追い詰められたお炎はコルトを抜くが、やがて恐るべき陰謀に巻き込まれるー。濁流のようにうねる物語。圧倒的なリーダビリティを誇る時代長編!
バツイチ子持ちの編集者柴田直太朗は、再婚を望む両親に娘の世話を頼み、多忙な日々を送っている。婚活がうまくいかず恋に臆病な独身書店員山内百恵は、子宮筋腫を患い、子どもを産めなくなる不安に慄いている。ともに三十九歳。仕事を通じて知り合った二人は、不器用にもおずおずと手を取り合うが…。じっくりと温めながら育む大人の恋と、家族の再生への第一歩。
東京で働く姉の聡美が突然田舎に帰ってきた。実家暮らしの妹の愛美はこの機会に都会暮らしをしようと、聡美の部屋を借りることに。そこで聡美の恋人と遭遇、昔から成績優秀で負けず嫌いの姉の秘密を探ろうとする。一方、聡美は人懐こくて要領がいい愛美が恋人と親しくなったことに動揺、自分も愛美の婚約者と出かけることに…。正反対な姉妹が見つけた新たな自分とは?
織田信長の重臣だった丹羽長秀の死後、丹羽家に対する豊臣秀吉の仕打ちは苛烈を極めた。一二三万石から四万石への大減封、家臣団難散の中で命じられた、北条攻めの小田原出兵。窮地に陥った城好きの若殿長重と、空論屋と呆れられた新米家老の江口正吉は、命を賭して御家再興に挑むー。秀吉を畏怖させ大谷吉継ら大名を驚嘆させたうつろ屋の、起死回生の策とは!
織田信長の比叡山焼き討ちが噂される京都で、豪商邸に忍んでは金品を奪い「穢れし銭の一分をいただきます 比叡の風」と残す女怪盗がいた。名は乱蝶。叡山のお抱え商人だった父母を濡衣で処刑されていた。乱蝶は父の宝を奪い返すため、盗みを繰り返すが、忍び込んだ邸の主が殺されていて…。やがて浮かんだ強大な敵に、乱蝶は織田軍団を利用した復讐を企てる!
どうやら、人類は滅亡するらしい。最後の撤収便に乗らず、北極圏の天文台に残ることを選んだ孤独な老学者オーガスティンは、取り残された見知らぬ幼い少女とふたりきりの奇妙な同居生活を始める。一方、帰還途中だった木星探査船の乗組員サリーは、地球からの通信が途絶えて不安に駆られながらも、仲間たちと航行を続ける。終末を迎える惑星の片隅で、孤独な宇宙の大海の中で、長い旅路の果てにふたりは何を失い、何を見つけるのか?終わりゆく世界を生きる人々のSF感動作。
スコットランドの出版社に、半年前に失踪したギデオン・マック牧師の手記が持ち込まれた。彼は実直な人間として知られていたが、失踪する直前に、神を信じないまま牧師になったことや悪魔と親しく語らったことを告白し、教区の信徒たちから非難されていた。手記には彼の生い立ちから、自分以外には見えない立石を発見したことや悪魔との出会い、そしてなぜそれを大衆の前で語ったのかがすべて記されていた。-出版者による序文、マック牧師の手記、そしてまた出版者が執筆したエピローグという独特の構成で描かれる、一人の牧師の数奇な生涯。スコットランドを代表する作家が、歴史、風俗、伝説、父子の物語などさまざまな要素を織り込んで綴ったブッカー賞候補作。
ロンドン郊外の空港のラウンジで、秘書のナタリーは悩んでいた。傲慢な億万長者のボスに仕えて5年。心身ともにもう限界だった。すると突然、背後から声がかかり、彼女は振り返って仰天した。そこにはナタリーと瓜二つの、身なりのよい女性が佇んでいた。異国の王女だという彼女とナタリーはすぐさま意気投合し、互いの悩みまで打ち明け合ったが、ふと王女が意外な提案をした。45日間だけ、密かに立場を入れ替わってみないかというのだ。私が王女に?承諾したのも束の間、すぐに後悔に襲われる。あろうことか王女の許婚ロドルフォに惹かれ、唇を奪われて…。
妹の夫に懇願され、セレナは2年ぶりにリムノス島を訪れた。重病のはずの妹は元気だったが、彼らの軽食堂の経営権をある有力者に奪われそうになっているので助けてほしいという。その人物とは、かつて愛したギリシア富豪アレクシスだった。愛をささやく低い声、生まれて初めて知る愛の喜び…。鮮やかによみがえる甘美な記憶を振り払いながら、セレナは勇気をかき集めてアレクシスのもとへと向かった。密かに産んだ子どもの存在を知られているとはー自分がすでに彼の罠にかかっているとは夢にも思わずに。
「政略結婚ですか?」「ルイス王子はいつプロポーズを?」大混乱のなか力強い腕で高級車に押しこまれたサブリナは、救い主の顔を見て驚いた。隣国の皇太子ルイスの弟、セブーあまたの女性と浮き名を流す“王家の黒い羊”だったからだ。さらに驚くことに、彼はいきなりサブリナの唇を奪った。生まれて初めて感じた甘いおののきに戸惑いながらも、祖国のために政略結婚を受け入れた彼女は夢想だにしなかった。品行方正なルイスが恋人と駆け落ちして結婚式に現れず、代わりにセブと結婚させられることになろうとは。
ロンドンに出てきたソフィーは派遣メイドとして働きながら、デザイナーになる夢をかなえようと懸命に努力している。ある夜、豪華なパーティでのウエイトレスの仕事を終えたあと、不運にも帰宅するためのバスに乗り遅れ、大雪が降ってきた。そのとき、凍える彼女に上等なコートを貸してくれたのは、魅力的な瞳をした、はっとするほど美しいイタリア人マルコだった。彼に誘われるまま一夜を明かした翌朝、恋に不慣れな彼女は自分らしからぬ行動が急に怖くなり、書き置きひとつ残さず逃げだした。数日後、友人が催す舞踏会に出席したソフィーは鋭い視線を感じとる。ああ、マルコ!恥ずかしさに、彼女は再び逃げようとするが…。
17歳で父を亡くし天涯孤独となったリスは、生まれ故郷を離れ、後見人である父の親友ナッソスが住むギリシアの島で暮らしてきた。今、急死したナッソスの葬儀を終え、悲しみに暮れるリスのもとに、弁護士が故人からの手紙を2通届けに来た。1通は彼女に宛てたもの、もう1通は、名前は知っているが面識はないギリシア人大富豪ターキス・マノリス宛てで、リスが直接手渡すようにと書いてある。そして、ナッソスのものだったホテルを二人に遺贈するので、最低でも半年間、手に手をたずさえ経営しなければならない、と。リスはターキスと会い、古代ギリシアの王子のような姿に我を忘れた。自分のもたらした手紙が、彼に罵りの言葉を吐かせるとも知らず…。
亡き妹が産んだ赤ん坊を女手一つで育てているグレースのもとを、悪名高きプレイボーイの大富豪エミリオ・サンタナが突然訪れた。亡くなった兄の遺品から、赤ん坊は兄の息子と判明したというのだ。だからグレースとの養子縁組をやめさせ、赤ん坊を母国に連れ帰ると。彼は独身主義者で、このままでは一族の血が絶えてしまうらしい。「きみはナニーとして同行してくれ」あまりに一方的な言い分にグレースは憤るが、やむなく条件をのむ。今やわが子同然のいとしいこの子を手放すわけにはいかないわ。それに、エミリオにはどうしても逆らえない男らしい魅力がある…。グレースは機上の人となった。やがて彼に身も心も奪われるとも知らずに。
インテリアデザイナーとして働くメーガンは、オフィスに入ってきた男性を見て、驚愕のあまり目を見開いた。スティーブン・ギャリソンーマイアミ一のプレイボーイと噂される、かつてメーガンが心底愛した男性だ。どうやらスティーブンはメーガンがマイアミに帰ってきたと知り、わざわざ彼女を指名して仕事を依頼してきたらしい。苦い別れの記憶が脳裏によみがえり、メーガンは彼女をにらみつけた。彼が何を企んでいるのかは知らないけれど、再びかかわるつもりはない。もちろん教えるつもりもなかったー3年前、こっそり彼の娘を産んだことは。