2018年10月18日発売
スポーツ紙で働く記者・笠間に、販売部への辞令が下った。記者職への断ち切れない思いを抱えながらも、それまでの人脈を活かし、販売部でも存在感を発揮し始める。だが会社の根幹を揺るがす事件を解決した矢先、悲劇が彼を襲うー。一方、新聞社で忙しく働く父との関係に悩む長男の翔馬と次男の翼。彼らの人生もまた、大きな岐路に立たされる。
“ちぐさ台団地の星”と呼ばれたかつての甲子園球児、要介護の親を田舎に抱えるキャプテン、謎多き老人・カントク、そして夫に“捨てられた”洋子と娘の香織ー草野球チームを通して交錯する「ふつうの人々」の人生を鮮やかに描ききった傑作長編小説。
専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテクニックと仕事仲間と正義感。郭瀬と汪の3人でチーム開発した、広告ブロッカーアプリ“ブランケン”が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出した。“ブランケン”だけが消せる広告は政府広報だ。東南アジアの島国で何が起こっているのかー。果たして彼らはとんでもない情報を掴んでしまった。文椎は、第二のエドワード・スノーデンなるか?
未解決事件を取り上げるため『継続捜査ゼミ』と呼ばれる小早川ゼミの5人の女子大生は、冤罪をテーマにしようとする。小早川は、授業で学内ミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶に会うが、後日高樹は小早川と話をした直後、何者かに襲われ救急車で運ばれた。その後、高樹に対する傷害容疑で小早川が任意同行させられることにー警察に疑われ続ける教授に代わり、ゼミ生たちが協力して事件の真相を明らかにしていく。
遠い昔、オルドバンの一方的強制に反発するアルマダ種族のメンバーが集まり、アルマダ反乱軍を結成した。それをひきいるのは赤いひとつ目を持つローランドレのナコール、通称“アルマダ王子”である。オルドバンが沈黙しているいま、アルマダ反乱軍の敵は銀色人すなわちアルマダ工兵だ。ナコールと反乱軍メンバーは銀色人の本拠地であるアルマダ工廠“モゴドン”に侵入し、攻撃を開始。そこへ“バジス”も近づいてきた!
ブル、シド、スーらはファンタン星人の宇宙船内に軟禁されるが、シドはテレポートで脱出を試み、宇宙船のエネルギー・シールドに阻まれ意識を失ってしまった。地球では、金星のアルコン基地から来た謎のロボットのリコが、海中にある何かに自分は呼ばれていると確信し探索を続けている。ヴェガ星系では、フェロルでトプシダーに捕まりフェロリアの捕虜収容所へ移管されたタコ、アンネらに過酷な試練が待ち受けていた…。
準惑星天涯でガイナスに辛勝した人類。しかしその勝利は、出雲と壱岐の政治・軍事各所に微妙な軋轢を生みだした。コンソーシアム艦隊の作戦行動が政治主導で制限されることを危惧する左近健一大将は、腹心の香椎士郎中将を司令長官とする壱岐方面艦隊を編組。一方、壱岐の軍需工場を巡り、タオ迫水筆頭執政官と火伏礼二兵站監は攻防を繰り広げる。さらに天涯の探査システムが正体不明の小惑星を発見しーシリーズ第2弾。
独立を目前にしたモロッコのタンジール。夫とともにアメリカから移住していたアリスの家に、突然大学時代のルームメイトのルーシーが現われる。ある「事故」以来、離れていた二人だったが、彼女はアリスの家に滞在し、友情を復活させようとする。だがアリスは疑念にとらわれてゆく。ルーシーの真の狙いは何なのか?…異国の地を舞台に二人の女性の心理が織りなす強烈なサスペンス。
軍用ヘリが空を駆け、警察署はテロの標的となる。フォークランド紛争の余波でさらなる治安の悪化が懸念される北アイルランドで、切断された死体が発見された。胴体が詰められたスーツケースの出処を探ったショーン警部補は、持ち主だった軍人も何者かに殺されたことを突き止める。ふたつの事件の繋がりを追うショーン。混沌の渦へと足を踏み入れた彼に、謎の組織が接触を図り…新たな局面を見せる紛争×警察小説第二弾。
63歳のブリット=マリーはとてつもないきれい好き。長年にわたり自宅を完璧に磨き上げていたが、このたび浮気した夫を置いて家を出た。数十年ぶりに見つけた外での仕事は、さびれた田舎町にある閉鎖予定のユースセンターの管理人。持ち前の頑固さで住民たちとぶつかりつつも、ブリット=マリーはなぜか子供たちにサッカーチームのコーチになるよう頼まれて…。『幸せなひとりぼっち』著者による新たな感動作!
分限者の薬種問屋に拾われた女、スイ。並外れて美しく豊饒な肉体を持つ彼女は、人の形をして人にあらざる「観音様」だった。-穀潰しの惣領息子と出戻りの老媼。-男を好む旦那様と忠節を尽くす石女。-姦淫された箱入り娘と不器量な妹。スイと因縁関わり合う男たち、女たちは、少しずつ、人倫を踏み外していく…。そして彼女自身も、奈落へ向けて堕ちていく。
はるかな未来、特種楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクと相棒シェリュバンは、大富豪のパウル・フェアフーフェンの誘いで惑星“美縟”に赴く。そこでは首都“磐記”全体に配置された古の巨大楽器“美玉鐘”の500年ぶりの再建を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。やがて来たる上演の夜、秘曲“零號琴”が暴露する美縟の真実とは?飛浩隆、16年ぶりとなる第二長篇。
ベティ・トラスク賞(英)フェミナ賞外国小説賞(仏)など数々の栄誉に輝く、“パトリック・メルローズ”シリーズ開幕!ベネディクト・カンバーバッチ主演ドラマ原作。優雅で退廃的な、英国貴族的生活の中で、両親がぼくにくれたのは耐えがたい苦痛と、冷酷な無関心ー英国を代表する作家の半自伝的小説(全5巻)
トム・ハザードは約400年ぶりにロンドンへ還ってきた。歴史教師として。以前に彼がロンドンで暮らしていたのは16世紀末ー彼は400年以上生きている「遅老症」なのだ。思い出のこの地でトムはこれまでの人生を回顧する。生まれた地での魔女狩り、シェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、-そして遅老症の人々による謎の組織「アルバトロス・ソサエティ」への加入。この組織に加入させられてから、トムの状況は一変した。ある秘密の責務を負うこととなったのだ。自身の安全と、生き別れの娘マリオンに会う代償として…。悠久のごとく長い時間を生きる男の孤独と愛を描いた物語。