2018年10月発売
人生最後の恋愛がこんなに初々しいなんてー。それぞれ伴侶に先立たれた男と女が、互いの孤独を埋めるため話をしながら一緒に眠る。ただそれだけでも、新しい愛が始まるには十分だった。世界22か国でベストセラー『夜が明けるまで』原作。
ー太陽が消えてしまうという忌まわしい予言に恐れおののく村人たち。第二次世界大戦前夜のヨーロッパの不穏な空気を漂わせる表題作『もし太陽が戻らなければ』(本邦初訳)のほか、長編『フランス・サヴォワの若者』(本邦初訳)と短編6編を収録。
ひとりの男と小さな少年の、心あたたまる物語…妻と一人息子を事故で失ったジョンは、生きる気力をなくし自殺を考える。そんな彼に親友ビルは、リトルリーグの監督を依頼。そこでジョンは、チームのお荷物ティモシーに出会う。ヘマばかりだけど野球が大好きで、「うまくなりたい」「あきらめない」という気持ちでいつも精一杯プレーをするティモシー。いつしか少年の思いはチームを変え、ジョンを変えていく。しかしティモシーには、ぜったい人に知られたくない秘密があった…。
ぼくはまだ決めかねてた。アーサーはぼくに背中をむけて歩きだした。そのとたん、エギーやママやパパや友だち、ぼくが知ってる人たちの顔が次々に浮かんで、どうしてももう一度会いたくなった。みんながいなきゃ生きていけない。死んでることだってできない。すぐにぼくは決心した。アーサーの後を追いながら呼びかけた。「待って、アーサー。ぼくも行く」アーサーは立ち止まってぼくを待った。それからふたりで駆けだした。“生者の国”を目指して。
多くの理想を抱えた作家であり知識人だった横光利一の今読んでも眩しいぐらいの傑作群!溢れんばかりの新しさ、純粋知性、真心、清廉、高潔が、現代仮名遣いによって甦る!横光利一の名前は新感覚派というレッテルと共に語られることが多く、日本の文壇、文学史では異端の刻印という側面もあった。モダニズム文学は当時の文壇文学の重鎮たちからは若者による奇を衒った一時的流行と見られがちだった一方、プロレタリア文学派からはブルジョワ的であると非難された。横光はそうした両面の無理解を真正面から受けて立ち、真に新しい文学の王道を拓くべく、実作と文学理論の双方で苦闘していたのである。
2人の兄弟、アリョーシャとディミトリには、1つの望みがあった。映画を作ることだ。彼らは映画学校の学生で、一文なしで、ちょっとしたワルだった。どん底で生まれて、そこに戻る気はなかった。2人はスマホと大胆さだけを武器に、カンヌ映画祭に乗りこみ、大ばくちを打つ。共犯に引きずりこまれたのは、2大国際スターのカトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドバルデュー。それに謎の監督ジャン=リュック・ゴダール。2人の兄弟がただのサギ師に終わるか、それとも若き天才になるか?この物語が教えてくれる。
「自分の思うとおりの人生を生きたい」暑い暑い夏、逃げるようにオハイオの片田舎から大都会ニューヨークへとやってきた22歳のテス。職を求めて飛び込んだユニオンスクエア近くの有名レストランで運よく“サーバー”(ウェイトレス)として働くことになる。個性的すぎる仕事仲間や人生の師匠となる謎めいたカリスマ・サーバーとの出会い、そして激しく刺激的な恋。複雑に絡みあう人間関係に翻弄される、激動の日々が始まった。さまざまな思惑が交錯するレストラン・ビジネスを背景に、美しい四季の移ろいや旬の食材の深い味わい、ワインの芳醇な薫りをスパイスに効かせて、一人の女性の成長と等身大の恋愛を見事に描ききった、女流作家の自伝的デビュー作!!
恋と進路に悩むヨミに、まほろば屋書店の店主・ナラブは語りだす。それは、不器用な少年が、とある美しい「旅人」と出会う物語だったー。時を越えて、巡りあう「想い」を描く、書店ファンタジー第三弾。
芝居小屋で起きた人気役者の謎めいた自殺と、その驚くべき顛末を描く「赤姫」。絵画をこよなく愛した父の死後、母の中に巣くう狂気に意外な形で気づく「陽射し」。女性の秘めた復讐心を静謐な筆致で浮かび上がらせる「紡ぎ唄」。中川多理氏が制作した球体関節人形から想を得た「そこは、わたしの人形の」など24篇。初期の作品から現在までの単行本未収録作品を精選して収録。短くも濃密な物語の数々に、著者の物語世界の多彩さと奥深さを堪能できる贅沢な作品集。
大学生で作家のぼくは、入院した遠縁のおばあさんの家…白い桜の木がある、アニメに出てきそうな洋館・「白桜館」の管理を任された。そこに突然、“りりな”と称する謎の多い10歳の女の子が現れた。わがままなりりなの世話と執筆に追われつつ、ぼくは今まで味わったことのない満たされた日々を感じていた。しかしそんな二人の日々は唐突に終わりを告げたー。二人が向かった先とは?りりなの本当の姿は?愛することを見失ってしまったすべての年齢の人たちに届けたい、愛と希望と感動の物語。
7年余りを雌兎として生きた前世の記憶を持ち、常に交尾を欲し、数々の奇行に走る女。かつてつがいだった男と再会した女が遭遇した、恐ろしい出来事とはー(前世は兎)。36歳、休職中の独身女が日々「ヌッセン総合カタログ」を詳細に書き写す訳は、「スティレス」を解消する為だった。同僚が次々と部屋を訪れ、職場復帰を促すのだがー(宗教)。破滅を迎えた世界で、国が開催するマラソン競技大会の選手に選ばれた姉。労働力として認められない者が手にできる唯一の栄誉だったが、選手村への出発を翌朝に控えた夜、姉がとった行動は…(ランナー)ほか、全7話。
モンゴル族の覇権を懸け、テムジン率いる二千騎が、トドエン・ギルテとタルグダイのタイチウト軍六千騎と対峙し、闘いが始まった。テムジンへの助勢を考えたジャムカは二百五十騎を率い、戦の様子を見守る。数の上では劣勢のテムジン軍が、タイチウト軍の半数を滑走に追い込もうとしたその時、黒い旗を掲げた少数の騎馬隊が新たに出現した。その隊は、テムジン軍を断ち割り、ジャムカのほうに向かってくるー。
文房具メーカーで派遣社員として働いていた26歳の女性は、正社員になれず、家賃が払えなくなりあっという間に貧困になだれこんでいく。漫画喫茶で寝泊りして、菓子パンで腹を満たす生活から抜け出すために、彼女が選んだのは「出会い喫茶」でお金を稼ぐことだった。生きるために「ワリキリ=売春」をしなくてはいけないのか。
男尊国にっほんで側室奴隷の子として生まれ、女尊国ウラミズモに移民した市川房代は、男性保護牧場歴史資料館の責任者となり、館内で「保護」する性犯罪者たちの生死を委ねられていた。請願、要求も房代に集中する激務の中、警視総監、法務大臣を輩出する白梅高等学院の少女たちに銃で脅され、にっほんの少女遊廓からの訴えをきき、死者のメールに耐え…。そんなある日、齢数千年の石の女神が訪れ…。自由か、死かー女性たちの存亡を賭けた闘いが、いま幕を開ける!