2018年12月発売
ピンク○-ターの発明によって貴族との対決に勝利したイツキ。念願のマイホームを手に入れ、ウェンディトシロと共にのんびりと日常を満喫するイツキに、領主様から霊薬入手の依頼がもたらされる。しかし、ダンジョン攻略の報酬として手に入るという霊薬は、戦闘能力が皆無なイツキにとって入手困難な代物だった。力不足を実感しつつ、いつも通りヤーシスからの依頼に応じて荷物を届けに行った帰り道。イツキが出会った少女は、アイナとソルテが所属するパーティ「紅い戦線」の最後の一人である、砂狼人族の少女・レンゲだった。一見、気さくで天真爛漫に見える彼女だが、実は重度の男嫌いでー!?さらに、レンゲがソルテから受け取った手紙が元で勘違いが生まれ、ついには街中で一触即発の事態にー!?スキルを駆使して美少女たちと送る賑やかな異世界スローライフ、第3幕!(願望)
高校の文化交流で日本から韓国へやってきたショウコは、私の家に一週間滞在した。帰国後に送り続けられた彼女の手紙は、高校卒業間近にぷっつり途絶えてしまう。約十年を経てショウコと再会した私は、彼女がつらい日々を過ごしていたと知る。表題作のほか、時代背景も舞台も異なる多彩な作品を収録。時と場を越え寄り添う七つの物語。
至高のチェス小説、究極の視点人物。「不死鳥のように甦った偉大なロシア文学」と讃えられた長篇の、初のロシア語原典訳。
パリのブラッスリーに置き忘れられた大統領の黒いフェルト帽。それは持ち主の運命を好転させる不思議な力を持っていた。洒脱な大人のおとぎ話。ランデルノー賞受賞ルレ・デ・ヴォワイヤジュール賞。
前衛的でときにラディカルな文体戦略を駆使して描かれたのは、分裂と融和、衝突と和解、否定と肯定、ボケとツッコミから成る「壮大な矛盾のかたまり」であった。『風と共に去りぬ』を新たに翻訳した著者ならではの精緻なテクスト批評に、作者ミッチェルとその一族のたどった道のりを重ね合わせ、現代をも照射する古典名作の「読み」を切り拓く画期的論考。
放蕩者の父の代わりにエミリーが切り盛りする社交クラブは、父が賭事で大負けしたせいで経営の危機に直面していた。もはやあの大富豪の買収話に応じるしか道はない。ラモン・デ・ラ・ベガースペイン公爵家の末裔で、公私ともにゴシップ誌を賑わせている美貌の辣腕実業家だ。彼は罪深い微笑みを浮かべた。「今日から君は僕の部下だ」傲慢なラモンに反感を抱きながらも彼の巧みな誘惑に負け、エミリーは熱に浮かされたようにわが身を捧げた。一夜限りの喜びが、小さな命をもたらすとは夢にも思わずに。
妹の結婚式だというのに、ケイトは祝福できずにいた。ずっと思い焦がれていた人を美人の妹に奪われ、あげく花嫁の付添人まで務めることになるなんて…。そんな彼女の深い悲しみを見抜いたかのように、花婿の付添人が青い瞳でこちらをじっと見つめてきた。ブレイク・ランドールー世界に名を知られた大富豪は、ケイトをダンスに誘い、笑わせ、体調や仕事の心配をし、あっという間に彼女の心を鷲づかみにしてしまう。無垢なケイトは気づきもしなかった。彼の本当の狙いさえも。
名門コンティ家の御曹司ルカと私が便宜結婚さえすれば、父の会社も家族も救われ、すべては丸く収まるのよ。ソフィアは呪文のように何度も自分にそう言い聞かせた。じつはルカは10年前、ソフィアが純潔を捧げた相手。そして彼女をベッドに置き去りにしたまま別の女性のもとへ消えた、とんでもない放蕩者なのだ。事務的な結婚式を挙げ、披露宴が始まってすぐに、ソフィアは夫の姿が見えないことに気づいて動揺する。しかも、ルカが女性と一緒にいるところにでくわして…。
クリーニング店で働くミリーは、金色のシーツの洗濯を任された。その依頼は、ハリーファ王室所有の豪奢なヨットから来たという。15歳のとき、私はハリドというハリーファの王子に恋をした。せめてもう一度だけ、彼と会って話せたら。王族であるハリドが、私を覚えているとは思わないけれど…。だがシーツを届けた際、ミリーは現れた男性の姿に仰天する。ハリド!今や王である彼が、なぜわざわざ平民の私の前へ?しかも大人になったミリーに、王は熱い視線で告げていた。“ここに来た以上、君は僕の愛人になる。これは運命だ”と。
母を早くに亡くしたセージは、父に愛されて育った。だがそれも、父が魔性の美女と再婚するまでの話だった。父の死後、継母は父の会社を奪い、セージを使用人並みにこき使って、あげくの果てに家から追い出した。以来、彼女は必死に生き、今は自分を拾ってくれた恩人の会社で身を粉にして働く日々だ。それでも、半年以内に結果を出さなければ仕事を失ってしまう。多忙をきわめるセージは秘書を募集し、トレイという男性を採用した。立派な経歴に、みごとな容姿、どこか謎めいた彼の正体を、そのときのセージはまだ知らなかったーじつのところトレイは、恩人の疎遠の息子、次期CEOで、彼女の成功を阻もうとしているとは!
赤ちゃんが欲しいと切望するジョージアは、ある日、心に願った。すてきな男性と一夜の恋におちて、運よく身ごもれたら…。そうしたら、独りで産んで、愛情をたっぷりそそぐつもりだ。父に手を上げられ、母と逃げ惑う日々を過ごしたジョージアは、恋人からも手ひどい扱いを受け、男性不信に陥っていたのだ。そんなとき、海外出張で魅力的なイタリア人マッテオと出会い、惹かれ合って結ばれたー意を決し、これは一夜の戯れよと伝えて。彼の目に浮かんだ蔑みの色に胸が押しつぶされそうになったが、こうするしかなかったのだと、ジョージアは自分に言い聞かせた。やがて彼女は願いどおり妊娠を知るが、消せない愛の記憶に苛まれ…。
海辺にある親戚の領地を取り仕切るタムシンには、秘密の日課があった。それは、人目を盗んで裸で泳ぐこと。ある日タムシンが泳いでいると、突然海の中から男性が現れて彼女の両肩をつかんだ。そして生気を求めるようにキスをした。男性はタムシンを抱き上げて砂地を横切り、そのまま意識を失った。大天使を彷彿とさせる、たくましく美しい金髪の男性ーどこか冷徹な雰囲気のある彼は、とびきりのハンサムだ。冷えきった彼を屋敷に運ばせ、風呂に入れて介抱していると、悪態をつきながら青い目を見開いた彼がふとタムシンを見つめた。そのときタムシンは恋に落ちた。彼が侯爵だとは夢にも思わずに。
アンボーン伯爵は旅先で、囚われの娘を買い取った。かわいい従妹をたぶらかして捨てた男への意趣返しの道具として。まったく口をきかないその娘をパーディタと名づけると、領地に連れ帰って、さっそくレディ教育を開始した。出会ったときには痩せ衰えていた彼女は今やすっかり回復したが、依然として言葉を発しないうえに、反抗的な態度を見せている。伯爵はいらだちを禁じえなかったーパーディタに、そして、彼女の美しい顔、魅力的な瞳、恍惚とさせる唇に気づいた自分に。ある夜、とうとうキスに及びながら、彼は悪魔のようにささやいた。「だが、わたしはおまえのすべてを軽蔑している」
苦境に追いつめられたCEO秘書のバージニアは今夜、ボスのマルコスのペントハウスを訪れていた。優秀な経営者だった父が妻に先立たれて身を持ち崩したため、バージニアはその借金を肩代わりしようと、密かに慕っているボスに、恥を忍んで給金の前借りと支援を願い出た。するとマルコスは見返りとして、1週間恋人役を演じるように求めてきた。復縁をもくろむ身勝手な元恋人に見せつけるために。わたしは小道具にすぎない。なのにそれでも、胸がきゅんとしてしまう。演技のキスが、やがて情熱に火をつけ…。でも、これは見せかけ…。しかし気づけば、バージニアはマルコスの子を、身ごもっていたー
ジョーは姉妹同然に育った親友の死に思いを馳せ、摩天楼を見上げた。わが子のように思う親友の忘れ形見を養女にしようと、ニューヨークにオフィスを構える親友の兄キャメロンを訪ねたのだ。養子縁組をするには、キャメロンの同意が必要なのだが、敏腕弁護士である彼は、おいそれと署名をしない。それどころか、自分の予定にジョーをつき合わせたあげく、明日会社で署名するからと、今夜は彼女を自宅に泊めると言いだした。わたしが養母にふさわしいか見極めるため?それとも…?最高級住宅街にあるキャメロンの自宅へ向かうエレベーターの中、ジョーは急上昇する脈拍を無視しようと、ぎゅっとまぶたを閉じた。
異国の小さな村で、ジュリアは看護師として慎ましく暮らしていた。かつての喧噪がまるで嘘のようだ。5年前、ジュリアは大病院で忙しく働きながら、恋人である優秀な外科医ネイサンとの結婚を目前にしていた。ところがジュリアの祖母が重病にかかり、彼女は悩んだ末に、さらなる飛躍を目指すネイサンの負担にならぬよう、真実を告げずに黙って彼のもとを去ったのだ。私の選択に間違いはなかったはず。強がるジュリアだったが、村で偶然彼の姿を見かけた瞬間、切ない想いがよみがえった。しかし、ネイサンはまるで人が変わったように彼女を責め…。
重い心臓病の娘のために、ベロニカは最後の手段に出ることに決めた。今や億万長者となったかつての想い人ジョーダンに手術費を援助してもらうのだー娘の、父親として。10年前、ジョーダンへの愛を伝えられずにいたベロニカは、高熱を出した彼を看病した夜、初めて彼と結ばれ、幸せを知った。ところが翌朝、ジョーダンが何もおぼえていないことにショックを受け、のちに妊娠が発覚したときも、告げられぬまま月日が過ぎてしまった。そして再会の時。彼はベロニカの唇を情熱的に奪い、喜びを表したが、彼女の話を聞いたとたん、背筋も凍るほど冷徹な言葉を吐き捨てた。「僕は君を抱いたことなどない。君はここまで身を落としたのか!」
ブルックはコンピューター会社の受付嬢。きわめて平凡な毎日だが、黒髪のハンサムな社長、ジャロッドのそばにいられるだけで幸せだったー美しい人妻と愛人関係にあるという噂の彼に、どんなに恋い焦がれても、報われないとわかっていたけれど。ところが、挨拶を交わすだけだった二人の関係が、ある日の新聞記事で大発展する。なぜか、ジャロッドとブルックの婚約が発表されたのだ。すると体面を重んじるジャロッドはブルックに迫った。当分の間、本当に婚約したように見せかけるしかない、と。
18歳年上の銀行家マークとダナが結婚して、2週間。冷静で思慮深く、大人の魅力をたたえた彼にひと目で心奪われ、周囲に祝福されて花嫁となった。でも、幸せの絶頂にいるはずのダナは無垢なままでいることに不満を募らせていた。結婚初夜、夫は17歳の妻とはベッドを共にしないと宣言したきり、ダナに指一本触れようとしない。わたしは身も心も彼と結ばれたいのに。どころが、マークがつい口にした言葉を聞いて、ダナは愕然とする。“脅迫”-この結婚はダナの父親に脅された結果にすぎない、と。打ちのめされたダナが、優しく慰めてくれる夫の弟に心を許すと、それに気づくや、マークは怒りを露わにし、妻を我が物にしようと…。