2018年3月発売
実和子(37)は大手不動産会社に勤めるキャリアウーマン。あるとき、海外赴任中の夫の浮気の証拠を、妹の古都子(32)に突きつけられる。Fカップの三十路妻は、夫に復讐とばかり、ジムのインストラクター・杉本にアバンチュールを仕掛けた。刺激的な交歓は実和子を官能の虜にしてゆく。だが杉本の狙いは実は妹の古都子のほうだった…。人妻たちの奔放な性愛を描くエロティック長篇。
今、京都にいる。僕は、間違いなく、ここで、あいつに殺されるー十津川班の西本刑事の友人・本田悟から手紙を受け取った恋人の白井みずえが西本に助けを求めてきた。しかし、西本が京都に着いたとたん、不可思議な殺人事件が起きた。被害者は本田のコートを着て、本田のキャッシュカードを所持していたのだ。そしてさらに、第二の殺人事件が…。十津川警部の活躍を描いた傑作集!
桑名藩から飛び地・越後柏崎へ赴任してきた若い夫婦。二人を待っていたのは、厳しい陣屋の暮らし、海鳴り止まぬ過酷な環境だった。勘定や検見の仕事に忙殺される夫、渡部鉄之助。そして古着の着物さえ買う余裕のない妻、紀久。桑名に長男を残してきた夫婦は、故郷から持ち込んで番神堂に植えた梅の苗木に望郷の念を募らせていく。子を想いながら、日々を懸命に生きた女の一生が胸を衝く!
鞍馬民雄は東京大空襲で母親、弟と生き別れた。父親も戦争で行方知れずとなっており、奇跡的に残った自宅の防空壕でひとり、家族を待ち続けることを決意。しかし、民雄のもとには、家を奪おうとする孤児、人さらい、狡い大人などがいつしか集うようになり……。まだ幼い民雄は、戦争の爪痕が残る東京で生き残ることはできるのか。GHQが日本を占領する過酷な時代を描いた戦争孤児文学。
警察のあきれた怠慢のせいでストーカー被害者は殺された!? 警察不祥事のスクープ記事。新聞記者である親友に裏切られた……口止めした森口泉は愕然とする。情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が遺体となって発見された。警察広報職員の泉は、警察学校の同期・磯川刑事と独自に調査を始める。次第に核心に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。事件の裏には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた……。(解説:村上貴史)
事件を科学的に解明すべく設けられた警視庁行動科学課。所属する一柳清香は、己の知力を武器に数々の難事件を解決してきた検屍官だ。この度、現場のジオラマを製作し、事件解明に向けて新たな視点を取り入れる3D捜査を得意とする浦島孝太郎が配属されてきた。その初日、スーパー銭湯で変死体が発見されたとの一報が入る。その後、孝太郎がジオラマを作ると、現場には孝太郎しか見ていない青いタオルがあったことが判明して。圧巻の新シリーズ開幕!
安曇野のホテルで、東京在住のイラストレーター・早見有希世の他殺体が発見された。彼女を支援する地元企業の笛木社長は、彼女の死亡推定時には京都の出張所にいたはずだというのだが、出張所を訪れた様子はなく、行方不明となっていた。道原らの捜査によって、笛木は、京都の愛人・長尾松美の故郷である高野山に行った可能性が…。事件は予想外の展開を見せ始めた!?傑作長篇推理。
彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。 大反響5刷! あなたたちがいるから本が読めるーー。 作家が物語を紡ぐ。編集者が編み、印刷営業が伴走する。完成した作品はオペレーターにレイアウトされ、版に刷られ、紙に転写される。製本所が紙の束を綴じ、"本"となって書店に搬入され、ようやく、私たちに届く。廃れゆく業界で、自分に一体何ができるのか。印刷会社の営業・浦本は、本の「可能性」を信じ続けることで苦難を乗り越えていく。奥付に載らない、裏方たちの活躍と葛藤を描く、感動長編。 【『本のエンドロール』ができるまで】の動画公開中! https://www.youtube.com/watch?v=586VXDPwowQ 印刷・製本等業界で働く人々から大絶賛! 本ができた感動は携わった人の思いが読者に届けられたときに得られるもの。ひとりでも多くの本好きに読んでほしい本だと確信しています。【印刷営業 男】 組版って、バランスよく、美しく並べて、読みやすい状態にすること、PCやスマホで文字を打つときは気にしないですよね。この本を読むときに少し気にしてもらえたら嬉しいです。【DTP組版 女】 「本」に関わる全ての人の姿を見せてやろうというタイトルに偽り無しの本でした。この中の一つに関わってるのだと思うと不思議な感じです。【印刷機オペレーター 男】 組版、校正、印刷、製本担当者は職人です! 組版の奥深さ、校正の大切さ、職人のこだわりをお楽しみください!【生産管理部 男】 世間的に出版不況と騒がれる我が業界の縁の下を、インキ臭く描いた、異色の小説が生まれました。ヤバい本を生み出すドラマは、きっと湿し水をあなたに与えてくれます。出版社と読者の真ん中で、日夜汗まみれパウダーまみれな僕達には、いつだって刷らなければならない本がある。閉塞感の強い時代に、ちょうしよく、空気を入れたい。仕事を探す若者に、仕事に疲れたつくり手たちに、僕ら現場からオススメします。【印刷営業 男】 小口側の扇のような丸みを見てやってください……。そこに私の奥義があります。【製本工場勤務 男】 実は1枚1枚、均一な印刷される前の白紙用紙を作って届けるのにもドラマがあります!! 用紙会社の思いも届け!!【用紙代理店 男】 第一章 『スロウスタート』 --早く刷れ! 第二章 『長篠の風』 --美しく刷れ! 第三章『ペーパーバック・ライター』-- 安く刷れ! 第四章『サイバー・ドラッグ』 --電子も作れ! 第五章『本の宝箱』 --本を造れ!
30代半ば、カフェで副店長をしているメイ。彼氏も好きな人もいないが、それなりに充実した日々を送っている。でも、結婚や出産、仕事の昇進試験から目を逸らしつづけてはいけないのもわかっていて…。人生の基本問題は解けても応用問題が解けないメイを、恋が大きく変えていく!ときめく気持ちを取り戻す恋愛小説。
「貴様に絵を頼みたい」。織田信長からの依頼は、計百枚にも及ぶ安土城障壁画だった。信長の機嫌を少しでも損ねたら、自分の首が飛び、家が絶えかねない。狩野派の行く末を案じ逡巡する永徳だったが、すべてを捨てて安土に向かうことを決意する。一世一代の大仕事。己の魂を筆にのせた迫真の絵は、覇王を納得させることができたのか? 天才絵師の孤独な闘いを描いた、絵師小説の決定版!
「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。 たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。 解説:大森望