2018年5月22日発売
届けられた死者のメモ。主婦、託児所のオーナー、一流企業のOL、女優。彼女たちの共通点はたったひとつ。「売春島」で体を売っていたことだけ。ばれるかもしれないー。娼婦だった母への憎悪で、胸が張り裂けそうな男もまた、母を棄てた罪悪感と愛する者との未来への希望、ふたつの感情のあいだで、ゆれるー。最もむきだしに、最も正直に、性と欲望を、禁忌を、恍惚を、人間の尊さと愚かさを謳いあげた忘却不可能エンタメ小説。
ヴェネツィアから流れ着いた一枚の鏡。その鏡は持ち主の願いを現実のものにすると言い伝えられていた。脳病院に身を置く奥様と看護婦、昔気質な鏡研ぎ職人と美青年、人気舞台女優と財界の黒幕。禁断の鏡に魅入られた人々に訪れる、運命の行く末とは。戦前から終戦直後を舞台に、狂瀾の愛憎劇が幕を開ける。トラウマ絶対不可避。残酷で甘美なる連作短編集。
ホラー映画好きの優等生・智佳は、抑圧する父親に反発し、日帰りのひとり旅を決行するが、東京への長距離バスで同じ高校のお馬鹿なギャル・優亜と偶然乗り合わせてしまう。それまで話したこともなかった優亜のつらい過去を聞かされた智佳は、彼女のためにリベンジの計画を練るが…。R-18文学賞受賞作ほか、智佳と優亜がそれぞれの道を切り開くまでー希望への疾走を描く、鮮烈なデビュー作!偶然居合わせた女子高生ふたりの“たった一日の冒険”。
彼女は消えない炎のような人だった。この美しい年上の人に、僕は恋をしたー。炎は消えてもその来歴は残る。ひとりの男の人生を根底から動かして、海の向こうへ、燃えさかる炎へと向かわせた、崇高なその行為とは。二人の間を流れた電流とは何だったのだろうかー。戦後の日本とヴェトナムを舞台に描かれた激しくも美しい物語。
昭和十九年十一月、レイテ島最大の激戦地となるリモン峠での死闘が始まった。現地の苦戦に武藤方面軍参謀長は打切りを意見具申するが、八日の総理大臣小磯国昭の天王山発言により、レイテ戦続行は大本営方針となる。巻末にインタビュー「『レイテ戦記』を語る」(聞き手・古屋健三)を収録。(全四巻)
ゴールデンウィーク明けの朝、出勤した警視庁捜査一課・碓氷警部補の元に、都内で起こった二件の自殺と二件の殺人の報が入る。一見関連性がないように見える各事件だが、発生時刻はすべて同じ日の午後十一時だという。さらにその後、同日同時刻に別で三件の事件が起きていたことが判明。第五係と、再度捜査協力に訪れた心理調査官・藤森は、意外な共通点に気づくが。
「ねえ、お兄ちゃん、川は眠らないのかな」「川は眠らないよ。いつもいつも流れつづけているんだ」-せせらぎに守られた川辺の暮らしは、突然の工事で終わりを告げる。新天地を求め旅に出たネズミ一家は、やがて大冒険をすることにーチッチが跳ね、タータが走り、タミーが飛び出す!島津和子氏によるイラスト多数収録。
しまなみ海道沿いの中学に通う巧海、千佳、啓太の三人に、ある日、四台のロードバイクが届けられた。なんと世界的ロードレーサーからのプレゼントだという。これを機に「ツール・ド・しまなみ」に出場することを決意した三人は、地域おこしに来ていた女性の桜井にコーチを依頼。だが、しだいに桜井のつらい過去が明らかになりー。
浅見家の「坊っちゃん」光彦は、夏目漱石、正岡子規らの足跡を辿る取材のため松山へ向かう。途中、訪れた場所で何度もすれ違った美女から変質者扱いをされ、警察に目を付けられてしまう。後日、その女性が絞殺体で発見され、容疑者としてマークされる光彦。新たに発生した事件への関与も疑われた光彦は、事件を解決するため推理を働かせるがー。
大学生の樋口亜美は、ひょんなことから家事代行会社でアルバイトをすることに。初仕事は犬の散歩。当日、遅刻をしてしまう亜美だが、誠実な人柄から依頼主の信頼を勝ち取り事なきを得る。しかし後日、亜美が散歩させた犬が近所の子供に噛み付いたと苦情が寄せられー。派遣先で起こるトラブルに、亜美の鋭い勘が冴えわたる!心の掃除はおまかせあれー三つのハートウォーミングミステリー。
婚約者の中原が飛び降り自殺した。傷心の井岡あや子は、中原が死の直前に乗車した「のと恋路号」に乗り、恋路駅のノートに中原が書いた文章を見つける。が、数時間後にその頁は何者かに破り取られてしまう。さらにあや子を尾行していた刑事が消息を絶ち、中原が泊まった旅館の従業員が絞殺される。そして十津川の捜査には上からの圧力が…。
長く読み継がれている『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』に連なる物語が、ついに開幕! 舞台は、小さな映画館〈月舟シネマ〉。語りだすのは、ほら、いつもロビーにいる、彼。BGMは、優しい雨だれの音……。ゆるやかに呼応する〈月舟町〉三部作の完結編。
開戦間近の昭和16年9月に刊行された近藤いね子訳の『KOKORO』。渡部昇一氏が絶賛した名訳が、新装版としてよみがえりました。英語圏の方々はもとより、日本で英文学や国文学を学ぶ方々等、英語訳での夏目漱石の世界に興味を持たれる方におすすめしたい一冊。
牛スジ、葱鮪、トマト、蟹面といった名物おでんや、牡蛎のカレー煮、蒸しいちじくの甘味噌だれなどの美味しい小料理…東京・四谷の「めぐみ食堂」には、今宵も常連客が訪れる。バツイチ、歳の差、国際結婚…様々な恋の悩みを抱える男女を優しく包み込む、ハートフルストーリー。