2018年5月31日発売
突如天空に現れた<未知なるもの>。 世界で増殖する不定形生物プーニー。 抵抗値の低い者はプーニーを見るだけで倒れ、長く活動することはできない。 混迷を極める世界を救う可能性のある作戦は、ただ一つーー。
別荘から帰ってきた少女たちは、新鮮な気持ちで魔法学校の生活を楽しむ。レポートを発表したり、賑やかなランチタイムを過ごしたり、先生との親睦を深めたり。そんなフェリスたちが新たに挑むのは、魔術師としての将来を考えるための職場体験だった。いろんなことを経験したいフェリスに、フェリスが行くところならどこへでもついて行きたいジャネット、なぜか生徒に危険なことをさせたがらないイライザ先生。フェリスは最初の職場体験にトレイユの街のレストランを選び、仲間と一緒にウェイトレスとして頑張る。お嬢様のジャネットは慣れないお仕事に戸惑うが、アリシアはそつなくこなし、テテルは縦横無尽に飛び回る。フェリス目当てのお客さんが殺到して、レストランは大繁盛するのだがー。
五百年前の過去を話したシドを元気づけるために、春澄はミストの実を採りに行くことに。その途中、霧のためにシドとはぐれてしまう春澄。さらに、突然襲ってきたナイフが腕を掠めたことで、春澄の身体に異常が訪れる。力の入らない身体と耐えがたい眩暈や吐き気。手足の冷たい痺れや霞む視界と狂う平衡感覚。そこへ水色の髪をした十五歳程の少年が現れた。拷問でも受けているかのような最悪の体調の中、春澄は戦いに挑む。そして、ユキの身体にも異変が起こるのだがー。
だあれも知らないが麻薬中毒のおれと盲目の〆太は世の正義を守る戦友なんだ。まともなつもりで正気を失った20世紀末の日本で人間のクズを自認するおれと純粋無垢な盲目の青年〆太は本物の友情で結ばれる。究極の遊び人にしておれの麻薬の師匠や性交を作品と心得るおれの中学時代の女神との交歓の果て〆太とおれはある邪悪な陰謀に挑むことに……。構想20年。己れが己れであることをめぐる冒険の物語。
わたしは逆さまになって、ある女のなかにいるーー。胎児が語る人間たちの世界。誕生の日を待ちながら、母親のお腹のなかにいる「わたし」。その耳に届く、愛の囁き、ラジオの音、そして犯罪の気配ーー。胎内から窺い知る、まだ見ぬ外の世界。美しい母、詩を愛する父、父の強欲な弟が繰り広げる、まったく新しい『ハムレット』。サスペンスと鋭い洞察、苦い笑いに満ちた、英国の名匠による極上の最新作。
入院した祖母を元気づけるため、32歳になった杉山未來は祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れる。優しくてなぜか懐かしい国。そこで未來は戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。そしてようやくたどり着いた祖母の生家は、地獄の家へと変わり果てていた。「わたしは誰も愛さないなんて生き方はしたくない!」そのとき未來が下した人生の決断とはー。
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか? 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
中学生のあかりは、祖母の家で「二ツ蝶」の家紋に出会い、自分のルーツに興味を抱く。残っていた資料を調べたあかりは、滋賀の高宮神社、兵庫の生石神社、京都の下御霊神社を訪ね、その場でスケッチをしながら先祖に思いをはせると……。戦国時代の徳川家康と少女、古墳時代の石工職人と巫女、幕末から明治にかけての坂本龍馬と菓子屋の孫娘と、時空を超えた先祖たちの三つの物語を、子孫である主人公のあかりがつなげていく。
大西洋をイギリスに向かう豪華客船クイーン・ヴィクトリア号のなかでふたつの重大な盗難事件が、さらには奇怪な殺人事件が発生する。なくなったはずのエメラルドがいつの間にか持ち主の手にもどったり、死体が消えたあとに〈盲目の理髪師〉が柄に描かれた、血まみれの剃刀が残っていたり。すれ違いと酔っ払いのどんちゃん騒ぎに織り込まれる、不気味なサスペンスと意表を突くトリック。フェル博士が安楽椅子探偵を務める名長編!
「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」そう話した翌日、女性はシェトランドのアンスト島で失踪し、ペレス警部たちが捜索を開始してまもなく死体で発見された。彼女はテレビ番組制作者で、親友の結婚式のため夫や友人と島を訪れていた最中の悲劇だった。彼女の見た“少女”と事件との関わりは……CWA最優秀長編賞の栄誉に輝いた現代英国本格ミステリの名シリーズ、新たなる傑作長編。解説=松浦正人
夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒。その手紙を見つけたときから、セシリアの家庭に暗雲がたれこめ始める。そのころテスも、夫と従妹が愛し合っているとの告白に動顛していた。テスは息子を連れ実家へ帰るが、そこで出会ったのは殺された娘を忘れられない老婦人レイチェルだった。開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまった女性たちを描くトリッキイなミステリ。
夫の秘密を知ってしまったセシリアは、普段どおりの生活を続けようと苦闘する。一方故郷へと帰ってきたテスは、夫や子供には言えない秘密を持つことになってしまった。そして老婦人レイチェルは、ついに最愛の娘の殺人犯と思われる男を示す新しい証拠を手に入れるが…。秘密を胸に、懸命に生きようとする三人の女をあざ笑うかのように、運命は衝撃の事件へと彼女たちを導く!