2018年5月31日発売
アトーリス王国の秘密兵器の影響か、世界中が異常な天候に見舞われていた。敵国ギルデアがその兵器を奪おうと画策するなか、王室の諜報員ステランは危機感を募らせ、王子ランドリアはある覚悟を胸にギルデアに赴く。一方、サラファーンの星の雫を預言の英雄に届ける途上、砲弾に倒れた義賊ジョーは…。戦乱に翻弄されながらも、精一杯生きる人びとを描く壮大な四部作ついに完結。
自らの宿命を悟ったルシタナは、ギルデア帝国の奥深くに隠された光の剣を求めて旅立つ。また、リーヴェイン王国の諜報員は、アトーリス王国の研究所に軟禁された“氷河”の開発者を救い、“氷河”を永遠に葬るべく動き出していた。預言は成就されるのか?平和を祈り続けるリーヴたち、そして最前線で戦うハーシュたちの運命は。人びとの思いを乗せて、物語は圧巻の結末を迎える。
18歳でクラリッサは、心から慕っていたロブと結婚した。 でも一回り近くも年上のロブが優しすぎて、ときどき不安になる。 富豪の夫は幼いクラリッサを愛しているわけではなく、 兄と父を亡くした彼女と母を救っただけではないか。 厳しい親に躾けられて、寝室の行為もほとんど無知に等しかった。 だからきっと彼を失望させているはずだと……。 妊娠が発覚した夜のこと、クラリッサの予感は的中する。 自分の母親とロブが熱く抱擁している姿を見てしまったのだ。 動揺した彼女は「私でごめんなさい」と謝り、すぐさま逃げた。
モルウェンナは、父カースレイク卿と兄を一時に失うと、爵位も領地もすべてを父の従弟に剥奪された。一文無しの彼女を親族は煙たがり、藁にもすがる想いで、亡き母がこよなく愛した故郷、トレヴェンノン一族が住む崖の館をモルウェンナは訪ねるのだった。ところが母の娘だと告げると、出てきた館の後継者ドミニクは、美しい唇を皮肉に歪ませ、何をしに来たと言い放ったのだ。モルウェンナはまだ知らなかった。この荒涼たる地で、母が禍を起こし、ドミニクから蔑まれているということを。
ケイトは、ある結婚式で、今や社長となったジョスと再会した。16歳だったケイトは21歳の青年ジョスと出会い、恋に落ちた。光あふれる日々。切ないほどに甘い至福の思い出ーそれが甘美であればあるほど、あとに続く絶望は底が見えない。ある人物から彼に妻子がいると聞かされ、愛は地に堕ちたのだ。なにもかも忘れたはずだった。それなのに長い時を経て、彼と再会してからというもの、ケイトは恋しくてたまらない。彼に会いたくてたまらない。だから、必死に消そうとした。この罪深い想いも。ふたりの間に娘がいることも。
弟が危篤状態だからイタリアへ来てほしい…。レインのもとに、イタリアの銀行頭取ザーレから電話があった。どうやらレインを弟の恋人と勘違いしているらしい。お金がないことを理由に断ると、今度はザーレ本人が現れ、レインをさらうようにして、イタリアへ連れ去ったのだ。だが、屋敷に彼の弟の姿は見当たらない。不審に思う彼女を見て、ザーレは完璧な美貌に黒い瞳を煌めかせながら、言い放った。「残念だが、まだ弟は君と戯れるまで回復してないんだ」そして、あっという間に唇は彼のものになっていた。
第五代ウィンダム男爵ジュリアン・アシュトン・カーライル。忘れもしない、ケイトの最初で最後の恋人だ。18歳だった。純粋な愛はすぐに二人を引き裂く悪意に巻き込まれ、身分違いだと思い知らされたケイトは、血を吐く思いで諦めた。きっと彼はもう伯爵令嬢と結婚し、子供もいるにちがいない…。つきまとう過去の痛みを、時は決して癒やしてくれない。ある朝、出社したケイトは言葉を失う。新しい顧客を紹介され、目の前に立っていたのはージュリアンだった。彼は屈託のない笑みを浮かべ、「はじめまして」と囁いた。
スペインの病院で目覚めたとき、アラベルは記憶を失っていた。見舞いに来たコルテスに夫だと言われても、何も思い出せない。それどころか、地元の名士だという尊大そうな夫の顔は、アラベルをひどく落ち着かない気持ちにさせるのだ。だれかほかに愛した人がいたような気がして…。連れて帰られた豪奢な屋敷で、コルテスに執拗に体を求められて、否応なく甘美な夢を与えられるけれど、なぜかむなしさが募る。ある日、夫の愛人と名乗る女性に、金の籠に入った鳥を見せられ、アラベルは思わず悲鳴を呑み込んだ。もしかしてこれが私なの?
異世界アザワルドに転移した無職の青年・楠一之丞(イチノジョウ)は、白狼族のハルワタート、半小人族のキャロル、仮面少女マリーナとともに旅を続け、ついに無職チートを極めることに!?謎のスキル発動で強制転移した島は、魔王ファミリス・ラリテイによって造られた人造迷宮を管理している機械人形の少女がいたー。「小説家になろう」開催「ネット小説大賞」金賞受賞作、シリーズ第6巻!