小説むすび | 2018年5月発売

2018年5月発売

奥のほそ道奥のほそ道

ブッカー賞受賞作品  1943年、タスマニア出身のドリゴは、オーストラリア軍の軍医として太平洋戦争に従軍するが、日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」(「死の鉄路」)建設の過酷な重労働につく。そこへ一通の手紙が届き、すべてが変わってしまう……。  本書は、ドリゴの戦前・戦中・戦後の生涯を中心に、俳句を吟じ斬首する日本人将校たち、泥の海を這う骨と皮ばかりのオーストラリア人捕虜たち、戦争で人生の歯車を狂わされた者たち……かれらの生き様を鮮烈に描き、2014年度ブッカー賞を受賞した長篇だ。  作家は、「泰緬鉄道」から生還した父親の捕虜経験を題材にして、12年の歳月をかけて書き上げたという。東西の詩人の言葉を刻みながら、人間性の複雑さ、戦争や世界の多層性を織り上げていく。時と場所を交差させ、登場人物の心情を丹念にたどり、読者の胸に強く迫ってくる。  「戦争小説の最高傑作。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』以来、こんなに心揺さぶられた作品はない」(『ワシントン・ポスト』)と、世界の主要メディアも「傑作のなかの傑作」と激賞している。

白墨人形白墨人形

スティーヴン・キング強力推薦。 少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。 最終ページに待ち受けるおそるべき真相。 世界36か国で刊行決定、叙情とたくらみに満ちた新鋭の傑作サスペンス。 あの日。僕たちが見つけた死体。そのはじまりは何だったのか。僕たちにもわからない。みんなで遊園地に出かけ、あの悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりをはじめたときかーー あの夏。僕には四人の友達がいた。太り気味のギャヴ、不良を兄に持つミッキー、シングルマザーの息子ホッポ、そして牧師の娘ニッキー。不良たちに襲撃されることも、僕がニッキーへの恋に胸を焦がすこともあったが、この日々が終わるなんて考えたこともなかった。でも町では悲劇に至る不和が広がりはじめていたのだ。僕の母の診療所への反対運動をニッキーの父が煽り、ミッキーの兄に悲劇が降りかかり、少女の妊娠騒ぎが起こり、大人たちのあいだにも僕たちのあいだにもヒビが入りはじめた。そして、あの事件が起きた。あの子が殺された。森で。バラバラになって。見つけたのは僕たちだった。頭部はいまも見つかっていない。 そして現在。白墨人形の絵とともに、あの事件が甦る。あの人が死んだことで、事件は解決したはずなのに。僕はかつての友人たちとともに、あの夏の秘密を探りはじめる…… 光に満ちた少年の物語と、痛ましい犯罪悲劇とが交錯し、最終ページに待ち受ける最後の一撃。

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