2018年6月発売
藤田しぐさは、突然末期ガンと告げられた父の現実に戸惑いながら、家族という形に改めて向き合う…。ガンの発覚から最期に至るまでの父と家族の姿を記録し、国内外で高く評価されたドキュメンタリー映画『エンディングノート』の監督が描く、父を見送る娘の物語。
突如億万長者となった男の、お金をめぐる30日間の大冒険。宝くじで3億円を当てた図書館司書の一男。不安に襲われた一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを15年ぶりに訪ねる。だがその直後、九十九が3億円と共に失踪したー。人間にとってお金とは何か?「億男」になった一男にとっての幸せとは何か?九十九が抱える秘密と「お金と幸せの答え」とは?
ママチャリたちが所属する心霊研究会は、本来の活動をそっちのけで、駐在さんとのイタズラ合戦を繰り広げていました。しかし、「心霊現象」にも、かかわっていたのです。今回の主人公は、騒がしいメンバーの中では寡黙なキャラの村山君。身長、年齢、車の運転技術、停学回数、モテモテ度はナンバー1。そんな村山君が、雨の日にジェミーを車で送っていったことから、怪奇現象の連鎖がはじまった。そして、ついに真夜中、村山君はスポーツカーとバトルし、事故に遭ってしまう。その事件の、おもしろくも切ない顛末を、ママチャリがホラータッチでレポートしちゃいます。
中学校の職員室を舞台に、14歳という繊細で多感な年齢の子どもたちと日々真剣に向きあう中学教師たちの、リアルな姿を描いた連作集。その中学校には代々語り継がれる伝説のヒーロー「エンドーくん」がいる。校内のあちらこちらに残された「エンドーくん」にまつわる落書きの言葉が、それを目にした悩みや葛藤を抱える教師や生徒の一歩踏み出すきっかけとなった。なぜ「エンドーくん」が伝説となったのか?その謎がラストで明かされるー。坪田譲治文学賞受賞作家の傑作が待望の文庫化。巻末に文庫版のために書き下ろした「エンドーくん」のその後の物語を収載。
父親と弟との三人暮らしを始めた女子高生の香月は、転校先になじめず孤独な毎日。ある時、隣に座る男子生徒のノートを間違えて開くと、そこにはたくさんのスイーツレシピが。「あの間宮くんが、ケーキ作り?」間宮立海は洗練された男の子。そんな彼の意外な秘密に驚く香月だが…。夜だけ開く喫茶店で、立海とたくさんのデザートを作りながら、祖母と母の手作りおやつを思い出す香月。ホットケーキ、プリン、いちご大福。誰かにおいしいと言ってもらうために。自分の居場所を見つけるためにー。思い出の味は、きっと幸せの味。あたたかい涙を誘う青春ストーリー!
古アパートに引っ越してきた青年・大央炎真の正体は、休暇をとって現世へやってきた地獄の大王閻魔様。日頃働き詰めの炎真の願いは、だらだら過ごす癒やしの休日。ところが成仏できない霊を見かけて説教してしまったり、犯罪を見逃せず生者を成敗してしまったり。そのたび「またうっかり裁いてしまった!」と秘書の小野篁に嘆く炎真。大家の地蔵菩薩からも霊がらみの案件を押しつけられ…。駅の自動改札機に冷や汗をかき、人混みに目を回し、コンビニスイーツに舌鼓をうちながら、炎真が現代日本を駆け回る。にぎやかに繰り広げられる地獄行き事件解決録!
人形修理工房“浮世堂”を営む城戸利市は、ある日“死神”が顔見知りの少女を襲う現場に遭遇する。それはかつて、利市の幼い弟が殺されたときとよく似た光景だった。利市が知る“死神”は、怪しげな人形を道具にして他者の命を奪う者だ。そして“死神”に殺されると、なぜか周囲の記憶からその存在を抹消されてしまう。だが、利市は忘れなかった。母親さえも我が子を忘れてゆく中、兄の利市だけが憶えていた。以来十五年、弟の理不尽な死の真相をずっと探っていたのだ。利市は“死神”を追う。しかし、そこへ新たな殺人事件が発生して…。
家庭の事情で住むところに困っていた大学生の僕・遠城寺廉は、尊敬する教授の紹介で田園調布に下宿することになった。ここは東京のはじっこにある、都会のような田舎のような、ちょっと不思議な町だ。下宿先は、ご近所から「おばけ屋敷」と呼ばれるレトロな豪邸で、大家の宝来碧さんは正体不明の美人だった。家事をしない宝来さんの代わりに料理や掃除を担当し、家賃は食費二万円のみ。破格の条件につられて住み始めたが、宝来さんの日常は謎に包まれたまま。そんなある夜、僕は宝来さんが電話で「死体の件は、問題ない」と話しているのを盗み聞いてしまい!?
平凡な公園ランナーであるインテリア会社「ワンダーケース」の社長・高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間たちと行なっている賭けレースにハマっていた。ある日、高木のもとに「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれた一通の郵便が届く。そして翌日、高木がレースに勝つと、さっきまで走っていた公園内で本当に男の死体が発見される。しかもその男は大学時代の同級生だったー。これは偶然なのか、それとも…。走れば走るほど、日常は壊れ、運命は狂っていくー。江戸川乱歩賞作家が放つ、戦慄のランニングミステリー!
はは、生まれた瞬間からの逃亡、流浪。千年の時を超え、私は、私の物語を、語ろうと思うー私の名は源義経。打倒平家を胸に、都会的なファッションに身を包み、早業を駆使。鞍馬での幼年期から奥州への旅、メンヘラ気味な最強の家臣弁慶との出会い、そして兄頼朝への思い…。古典『義経記』が超絶文体で現代に甦る!激烈に滑稽で悲痛な、超娯楽大作小説、ここに開幕。
人生の大半をイケメンに振り回されてきた陽子は、できちゃった結婚し実家を飛び出す。しかし、夫の浮気で離婚、さらに家も仕事も失い、6歳の娘と仕方なく、宇都宮で餃子店を営む父の元に帰る。知らない間に閉店していた店を復活させようと奮闘する陽子の前に、新たなイケメンが現れ…監督&脚本・秦建日子の映画、小説版。
謎の男・麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。だが彼はほどなく姿を消す。三年後、東京に引っ越した朝子は、麦に生き写しの男と出会う…そっくりだから好きになったのか?好きになったから、そっくりに見えるのか?野間文芸新人賞受賞作。森泉岳土のマンガとコラボした魅惑の書き下ろし小説を増補。
天才的犯罪者トム・リプリーが若き日に殺した男、ディッキー・グリーンリーフの名を名乗る者から電話が来た。これは最近引っ越してきた妙なアメリカ人、プリチャード夫妻の仕業か。だが、何のために?敵の正体が見えないままに、トムの過去が暴かれようとしていた…トム・リプリーの物語、最終編。
自分探しの旅に出かけたボクちゃんは、旅先の村の住人から悪質なコンサルタント・斑井満に騙された話を聞く。斑井は「地方再生計画」と称して近隣の土地を安く買い上げたが、産業廃棄物処理場の建設地として転売したというのだ。ダー子とリチャードは斑井をはめるための計画を練りはじめるが…。3人の詐欺師と強欲な人間たちが大金をめぐって騙し合いを繰り広げる!先の読めない展開からページをめくる手が止まらなくなる5話を収録。
違法捜査の数々で交番勤務に配置換えされていた公安警察の来栖惟臣は、警備部長の厚川から呼び出しを受ける。対立が激化している米中両国の動向を探ってほしいという。調査を始めた来栖は、一連の事件の背後に、違法ドラッグで荒稼ぎをしている横浜の半グレ組織の存在があることに気付く。一方、“マトリの疫病”と呼ばれる女性麻薬取締官もまた、組織を摘発するため内情を探っていたー。
古びた学校、曰くつきの遊園地、山奥の病院、誰も居なくなった集合住宅。…人々に打ち捨てられ、時代の流れと共に世間から忘れ去られた“廃墟”。そこに足を踏み入れた人間が遭遇するものとはー?Web小説投稿サイト「小説家になろう」のホラージャンル約11,000作品から厳選した『首をはねられた君とすり潰された僕』『鬼ごっこ』ほか、書き下ろしを加えた計7作品を収録。様々な廃墟にまつわるホラー短篇集の決定版!