2018年7月12日発売
「皮膚の下を小さな虫が這っている」と訴えながら死んだ男。その友人もホームから転落死し、死体から大量の虫が発見された。前代未聞の寄生虫症候群が進行しているのか?続発する噛みつき通り魔事件との関係は?散乱する謎に、天才毒物研究者・利根川由紀が挑む!
沖永良部島ー沖縄のすぐそばにある小さな島は、大戦末期、米軍機による激しい攻撃を受けた。戦況が厳しくなっていくなか、島のこどもたちは戦争を肌で感じつつも、いきいきと過ごしていた。そんなある日、島に特攻機が不時着するという事件が起きる。
十津川警部の捜査ミスを煽る、容疑者のどす黒い策謀とはー。絶景スポットで、“海の宝石”を撮影した父は、なぜ殺されたのか。
徳川綱吉の治世下、川越藩の領内では、牛馬のための飼料や堆肥のための草を採取する秣場で、農民同士の諍いが絶えなかった。百姓の倅・正蔵も十のとき、男五人に襲われ、父・吉二郎を亡くした。新たに川越藩主となった柳沢保明(のちの吉保)は、側近の筆頭家老・曾根権太夫、懐刀の荻生惣右衛門(徂徠)を送りこみ、その地を畑地として開拓するよう命じる。果たしてその狙いは、領民の生活を豊かにするためなのか、それとも年貢を徴収し将軍・綱吉の歓心を買うためなのかー。埼玉新聞連載の話題作!
大学病院から、在宅で最期を迎える患者専門の訪問クリニックへの“左遷”を命じられた三十七歳の倫子は、慣れない在宅医療にとまどう。けれども、乳癌、筋ジストロフィー、膵臓癌などを患う、様々な患者の死に秘められた切なすぎる謎を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けする医療の大切さに気づく。感涙の医療ミステリ。
海軍提督バロウズ卿が、“王国”周辺の海域を荒らす海賊連合“南十字星”を率いる謎の男リスターに誘拐された。提督救出の密命を受け、“南十字星”へ潜入したアラン・クリフォード大尉は、海賊たちの拠点の島で殺人事件に遭遇する。リスターに指名されて犯人捜しに乗りだしたアランだが、海賊たちは次々と殺されてゆく。若き大尉は己の剣と推理によって事件を解決できるのか?
ショッピングサイト“ほしがり堂”を経営する深町ユリオは、古い家電や顔ハメ看板など、ガラクタにしか見えないモノをほしがるマニアックなコレクター。しかしそれらに価値を見出しお宝として売り捌く彼は、名探偵でもあった!食品サンプルコレクターの告別式で食品サンプルがばらまかれた謎など、全5編を収録。謎解きもお宝にまつわる雑学も楽しい、ポップな連作ミステリ。
妖猫族の姫である王蜜の君が、太鼓長屋の弥助のところに居候することになった。弥助べったりの千弥がいい顔をするはずはなく、力の弱い玉雪に至っては、弥助の家に近づけなくなる始末。そんな中、弥助の周辺で猫絡みの事件が頻発、子猫を狙う不気味な女まで出現し、猫の守り手たる王蜜の君は放っておけず、事件の裏を探り始める。今回は猫尽くし、お江戸妖怪ファンタジー第六弾。
「人生とは和風の朝ごはんみたいなものなのよ」小柳奈ノ花は「人生とは〜」が口癖のちょっとおませな女の子。ある日、彼女は草むらで一匹の猫に出会う。そしてその出会いは、とても格好いい“アバズレさん”、手首に傷がある“南さん”といった、様々な過去を持つ女性たちとの不思議な出会いに繋がっていきー。大ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』の住野よるが贈る、幸せを探す物語。
便利屋でアルバイトをしている省吾はある日、古びたボクシングジムの前に佇む女性、優香に出くわす。ジムに立ち退きを迫っているという彼女の話を聞き、金儲けになるかもとその話に乗る。だが、若いボクサー・勇気と出会い、時をともに過ごすうちに省吾の中であることが…。-軽妙な筆致で描かれる熱いドラマ。それぞれの“過去”を背負った人間たちがちらりと見せる意地やプライドに心が揺れる、成長と再生の物語。待望の文庫化!
シバロクこと柴山緑郎は、母校である中学の校長に着任した。問題が頻発していた学校を立て直すために、異例の若さで抜擢されたのだ。だが着任早々、ひとりの女性教師が自殺未遂を起こし、校内からはタバコの吸い殻が見つかる。その背景には、前任校長の身勝手な振る舞いがあったー。情熱と愛情をもって、生徒や教師に体当たりでぶつかってゆく新米校長の奮闘を描く。
愛猫を亡くしてうちひしがれていた立花明海は古本屋で一冊の本を買った。中には「大滝あかね」と書かれた名刺が挟まっていて、自分が心を打たれたフレーズに傍線が引かれていた。気になった明海は思い切ってあかねにメールをすると、会うことになった。あかねは年上の明るい女性で、日常の物事を幸福に捉える「幸せの天才」だった。だが、あかねには病に伏し、余命宣告を受けている恋人がいてー。
昼寝とデートに明け暮れながらも、なぜか依頼人を次々と満足させる凄腕の復讐屋、成海慶介。婚約破棄されたお嬢様や暴走老人など、恨みを晴らしたい人々が今日もそのドアを叩く。押しかけ秘書の美菜代を従え、きょうも気怠く優雅な復讐劇が幕を開けるー。痛快リベンジコメディ!
緑川千春は広告代理店のデザイナーとして働く37歳。人手不足による残業、配慮のない上司たちに限界を感じ、なかば衝動的に会社を辞めることに。しかし、待っていたのは想像以上に厳しい現実だった。そんな千春を癒やしてくれたのは、音信不通のまま関係が途切れたかつての恋人が教えてくれた近所にある日本酒バー『drop』。マスターや、店で出会った人々との交流によって千春の人生は少しずつ変化していきー。人生の岐路に立つ女性の姿を丹念に描いた長編小説。
東京のアパレルメーカーに勤める浴衣デザイナーの宇佐美慎吾は、高校の美術部の部長だった清原早妃の誘いで、彼女が店長を務める郷里のセレクトショップで浴衣フェアを開催することに。高校卒業と同時に上京し十二年ぶりに地元に帰ってきた慎吾は、美術部の仲間と旧交を温めバツイチとなっていた早妃とは情まで交わすが、顧問の女教師で過去に恋心を打ち明けた雨宮響子の思わぬ事実を知るに至りー。書き下ろし長編性春エロス。