2018年9月発売
天才絵師「写楽」を売り出すー。それは知られざる“絵師”を中心にした空前のプロデュースだった。関わる者をわずかにとどめ、世間を欺く大仕掛け。正体不明の絵師は、噂が噂を呼んで大評判に。だが、気づいた者がいた…。思わぬ窮地に陥った仕掛人は、まさかの“禁じ手”を打つ。写楽は、なぜ謎のまま姿を消したのか。それが「写楽事件」を解く鍵だー。傑作時代小説。
はじまりは一九六七年のニューヨーク。文学を志す二十歳の青年の人生は、突然の暴力と禁断の愛に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、不可視の領域の存在を読む者に突きつけるー。新境地を拓く長篇小説。
15世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの21世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗り替えていく。そして再読したとき、物語はまったく別の顔を見せるー。未だかつてない楽しさと驚きに満ちた長篇小説。コスタ賞、ベイリーズ賞、ゴールドスミス賞受賞作。
みんな、一人で生まれて一人で死ぬ。だから今は一緒にいよう。鬼才ビートたけしが贈る冴えない男と愛犬の、笑いと涙の物語。たけし節全開のネタに笑い、とつとつとした語りに泣き、最後は胸があたたかくなる。大人のための、孤独と慈しみの寓話。画才溢れる挿絵17点を収録!
NFLのフットボール・スタジアム4カ所で同時爆弾テロが発生、1000人規模の死者が出た。ワシントンDCでは各省庁で善後策が講じられたが、有効な方策は見いだせなかった。アメリカ大統領ワイアット・ミドキフは、ふたたび攻撃にさらされた本土を守るため、前政権の予算削減のあおりを受けて廃止に追い込まれていた国家危機に即応する諜報機関「オプ・センター」を再び立ち上げることを決意する。元オプ・センター長官が新長官として推挙したのは、チェイス・ウィリアムズ海軍大将だった。国際謀略サスペンス新シリーズ第一弾!
新生オプ・センターは、全米を震撼させた同時爆弾テロ事件を10ヶ月で解決に導き、順調な船出を飾った。一方、サウジアラビアの地では、新たなる謀略がアリー・アル=ワンディー王子の手で実行に移されようとしていた。ペルシア湾に展開する空母打撃群を狙うキラー・ミサイルの秘密とは?究極の選択を迫られた大統領の決断は如何に?ウィリアムズ長官率いる機関のメンバーは、現地で事件に直面した兵士たちとともに巨大な陰謀に立ち向かう。あの“オプ・センター”シリーズ、待望の再始動!
神罰に抗い、人間と竜が結託して神様を殺してしまった世界。創造者を失った世界は次第に崩壊しはじめ、大地は汚染し“腐れ神”と呼ばれる神の呪いが跋扈。人々は竜の遺物で創られた武器“竜具”でかろうじてそれに抗っていた。クラウ・タラニスは、ガラティア王国の第3王子だが、母が庶民の出の側室のため王族とは見なされないばかりか、触れるだけで竜具を壊すため“ガラクタ王子”と蔑まれる日々を送っていた。そんなクラウが、自らを王を予言する者と言い張る、竜族の生き残りの少女“リア・ファール”と出会い、自らの運命を変えてゆくーのちに英雄となるクラウが、心強い仲間達と出会い、人々のために世界を変えてゆく、王道ファンタジーが今幕を開ける!
火山島を望む温泉町・根倶の老舗旅館に婿入りした鵜乃吉。妻の亜津子はつれないけれど超美人。徴兵逃れのための婿入り、なんて声は気にしない。この地で小噴火は日常だけど、今日のはちょいと様子が違った。旅館組合連中がひそひそする「真耶子さんが戻ってくる」。なんで義妹が戻ってくるのが関係あるんだい?皆が信じている噂を知らぬは鵜乃吉ばかり。この島の噴火は、美しき姉妹の所為。え、心が揺れると火山が噴火してしまう特異体質?そんな馬鹿な!さらに旅館に、密偵やら逃亡中のテロリストやらが潜んでいるという疑いも湧き出てきて。過去が折りたたまれた不思議な温泉旅館で、徐々に明らかになる歴史と真実とは…!?姉妹愛と夫婦愛のスラップスティック・温泉地奇譚。
日本最大の広告代理店「連広」の常務に就任した城田毅は、その存在感を示すべく、さまざまな事業の指揮をとる。各業界のトップ企業の広告扱い独占、広告第二位「弘朋社」への圧力など、手段を選ばず強行した。一方、過労死した連広社員の妻だった真美は、「思いやり雇用」制度によって連広に入社し、城田の秘書となった。真美は「夫は連広に殺されたのだ」と憎悪の心を持って、夫の死の真相解明に乗り出す。しかし城田の間近で働くうち、やがて彼の魅力にも惹かれていく。城田は「帝王」として君臨し、やがて社長に就任するが、後継者として育てた腹心の裏切りに直面する…。すべての企業人に捧げる傑作ビジネス小説。
“退屈病”に冒された青年が、引っ越し先の部屋で感じた異変の数々(「屋根裏の同居者」)。ある日突然届いたのは、猟奇を楽しむ、特別な倶楽部の招待状だった(「赤過ぎる部屋」)。G坂に住むミステリ作家志望の“私”は、ある殺人現場に遭遇しー(「G坂の殺人事件」)。精神分析研究所を訪ねた男が語った、夢遊病をめぐる学生時代の体験(「夢遊病者の手」)。今は亡き祖父が、倒れる前に覗き込んだ鏡台。その中に見たものとは?(「魔鏡と旅する男」)。さらに「骸骨坊主の話」「影が来る」を収録した、珠玉のミステリ集!
母と病気の妹と暮らす葉山は、彼が生まれる前に死んだという父を知る男・クロエと出会う。妹の治療費のため、クロエからの「仕事」の誘いに乗った葉山。二人はヤクザの弓庭からの金塊強奪に成功するが、葉山が待ち合わせ場所に着いたとき、クロエは殺されており、金塊は何者かに持ち去られていた。弓庭に脅され、命がけで金塊の行方を追うことになった葉山だがー。青春クライムミステリー。
結婚十年目に離婚し、老父母の暮らす実家に戻った香子。フードコーディネーターとしての新たな人生を歩み出した矢先、母・琴子に認知症の症状が現れはじめる。弟夫婦は頼りにならず、仕事と介護を両立させようと覚悟を決めるが…。年とともに変わりゆく親子の関係を、ユーモアと人情たっぷりに描き出す!
時は、平家が繁栄を極める平安末期。高貴な出自でありながら、悪僧(僧兵)として南都興福寺に身を置く範長は、都からやって来るという国検非違使別当らに危惧をいだいていた。検非違使が来るということは、興福寺がある南都をも、平家が支配するという目論みだからだ。検非違使の南都入りを阻止するため、仲間の僧兵たちとともに、般若坂へ向かう範長。だが、検非違使らとの小競り合いが思わぬ乱戦となってしまった。激しい戦いの最中、検非違使別当を殺めた範長は、己の犯した罪の大きさをまだ知らなかったー平家が南都を火の海にし、復讐の連鎖を生もうとしていることを。
「チャットでみんなと話したい」-そんなカノの思いつきから始まった、メカクシ団のチャットルーム。個性豊かな団員たちが続々と集い、好き勝手に話し始めたはいいものの、“キラキラSNSライフ”には程遠く、何かと事件が絶えなくて…!?少年少女の日常と非日常が交錯するポップ&キュートなトーキングライフの幕開け!
享保の改革のころ、15歳の男がどでかい罪と科を犯して大坂から京へ逃れていった。河原で乞食をしたのち、僧・弁空のもとで寺男になる。寺で画と俳諧に興味を持ち始めた男は、京を発ち江戸へと向かう決意をする。江戸では俳諧の師匠・宋阿に弟子入りし、宰鳥と名乗る。だが間もなくして宋阿が亡くなり、下総の結城へ。そこを拠点に奥州や北関東への旅を繰り返す。29歳で俳号を蕪村に改め、いよいよ画と句と書に力を注ぎこみ…。蕪村の内面の闇を解き明かす、長編歴史小説。
「それでは第十二号議案、『猫君の暴虐に関しての対策案について』ですが、この件についてご意見のある方はおられますか」-諧話会議。はやく魔法がとけるといいですね。いつとけるかはわかりませんけれども。-猫とねずみのともぐらし。こんな眼で私を見るものはこの世にひとりしかいなかった。私方に二十二年間住まった錆猫、ココアである。-ココア。でもそれでいいのだいったん死んでこの世に帰還したエルは生きてるだけで儲けだからー猫のエルは。「私はできれば犬になりたい。犬になって元の家に戻りたいんです。可能でしょうか」-とりあえずこのままいこう。猫の眼で、世界はこんなふうに見えている。文章と絵で贈る、5つの猫の物語。
越王・句践が囚われの身となって二年余。その間、范蠡は越国で王がいつ帰ってもよいように準備を整えていた。呉が陳を攻めていることを知った諸稽郢は、呉王・夫差を見舞う使者を出すべしとの提言を受け、范蠡とともに呉へ向かう。すると夫差より思いもかけぬことを范蠡らは命じられるー呉へそのままとどまれというのだ。王が帰ってきた際に万全の体制を整えるべく、秘密裡に楚と外交していたことが露顕したのかと肝を冷やした范蠡らだったが、彼らの拘束のかわりに句践を解放するという。夫差の思惑は、いったい何なのか。呉の伍子胥は、そして越の范蠡の運命はどうなるのか。第九巻堂々の完結!