2018年発売
宇宙から人体へ。次なる部隊は大地。佃製作所の新たな戦いの幕が上がる。倒産の危機や幾多の困難を、社長の佃航平や社員たちの、熱き思いと諦めない姿勢で切り抜けてきた大田区の町工場「佃製作所」。高い技術に支えられ経営は安定していたかに思えたが、主力であるロケットエンジン用バルブシステムの納入先である帝国重工の業績悪化、大口取引先からの非情な通告、そして、番頭・殿村の父が倒れ、一気に危機に直面する。ある日、父の代わりに栃木で農作業する殿村のもとを訪れた佃。その光景を眺めているうちに、佃はひとつの秘策を見出だす。それは、意外な部品の開発だった。ノウハウを求めて伝手を探すうち、佃はベンチャー企業にたどり着く。彼らは佃にとって敵か味方か。大きな挫折を味わってもなお、前に進もうとする者たちの不屈の闘志とプライドが胸を打つ!大人気シリーズ第三弾!!
炎上する大坂城で、死期を悟った豊臣秀頼に、密かに奏上する影があった。その名は明石掃部。脱出の手筈は万端だった。調達された舟で大坂湾を離れた秀頼は、一路九州・薩摩の地へ…。捲土重来を期した雌伏の四半世紀。あえなく秀頼は逝ったが、その遺志を継ぐ軍団が起つ時を窺っていた。寛永御前試合が齎した一瞬の政治的空白を衝いて、軍団の要として島原に現れた天草四郎。その横顔は、さる貴人に瓜二つだった…。
お手つきにならずとも、栄達の道ありーー。知られざる大奥の女たちを描く、江戸のお仕事小説! 己を磨きたて、美しく着飾り、上様の目にとまって寵愛を受け、子を授かるーー。それこそが本望とされてきた大奥。だが、三千人を有するとも言われた大所帯には、文書係、衣装係、日用品の差配役など様々な職種があり、仕事に生きた女たちがいた。大奥に“就職〞した女たちの葛藤と情熱、苦楽を描く連作時代短編集。
天保の改革から二十年。闕所物奉行を辞した扇太郎は、天満屋幸吉のもと、用心棒として平穏な日々を暮らしていた。だが、次第に混乱する幕末の世で、深川のとある家屋の財産処分を頼まれたことから、次第に大きな陰謀に巻き込まれていく……。 大人気書き下ろし時代小説シリーズ、待望の新作!
了潤が主命により張り込んでいた男が、一心不乱に書き上げた手記には「秘めおくべし」の表書きが……。手記を奪おうとする二人の侍や毒矢を用いて彼らを襲う正体不明の隠密。そして、町奉行所同心の変死体……。謎が謎を呼び、男の手記にあったという「蝦夷地ニ、草アリ、イシヤマに、砦アリ」の文言に誘われるように、了潤たち忍び組は蝦夷地へと旅立つ。文庫書き下ろし。
レイテ島の土はその声を聞こうとする者には聞える声で、語り続けているのであるーー八万の兵力を投じながら、生還者は僅かに二五〇〇人。太平洋戦争最悪の戦場を鎮魂の祈りを込めて描きつくす。巻末に「連載後記」、エッセイ「『レイテ戦記』を直す」を付す。 全四巻、堂々完結。〈解説〉加藤陽子
「あの日」から四年。青葉木菟の啼き声や合歓の香り、月の満ち欠け。移りゆく自然とめぐり来る季節が、さりげなく前を向かせてくれるー。東北地方に住む作家の早瀬と染色家の柚子、夫婦のある一年を描く。
永井荷風は大正九年五月、東京・麻布市兵衛町に居を移し、以来、洋館「偏奇館」に二十五年暮らした。本書は彼の地で執筆した短篇小説「雨瀟瀟」「雪解」、随筆「花火」「偏奇館漫録」「隠居のこごと」など全十四編を収める。抒情的散文の美しさを伝える作品集。「自選荷風百句」を併録する。
あの子がさらわれた! 囚われの身となったゴールデン・レトリーバーのタミーを奪還するべく、 クマネズミのタータとチッチをはじめとする大小7匹の動物混成部隊が、東京大横断の旅に出たーー 大人気を博した「小さなネズミ一家の大きな冒険譚」、 あの『川の光』の仲間たちが、今度はまさかの事件に巻き込まれる。 フリスビー盤での川下り、ベランダを伝った高層マンションからの脱出、 地下ギャングとの闘い……ある時はタワーに昇り、ある時は空を飛び、 友だちのために何ができるかだけを考え、にわか救出チームは東京中を駆け巡る! 本書で大奮闘する“7匹のサムライ” マクダフ:チームリーダーの小型雑種犬 、キッド:誇り高い、若きクマタカ、タータ&チッチ:川に住むクマネズミの兄弟、ビス丸:おっちょこちょいのシェパード 、リル:気の強いおきゃんなスズメ、マルコ:酒に目のないドブネズミ
あの子がさらわれた! 囚われの身となったゴールデン・レトリーバーのタミーを奪還するべく、 クマネズミのタータとチッチをはじめとする大小7匹の動物混成部隊が、東京大横断の旅に出たーー 大人気を博した「小さなネズミ一家の大きな冒険譚」、 あの『川の光』の仲間たちが、今度はまさかの事件に巻き込まれる。 フリスビー盤での川下り、ベランダを伝った高層マンションからの脱出、 地下ギャングとの闘い……ある時はタワーに昇り、ある時は空を飛び、 友だちのために何ができるかだけを考え、にわか救出チームは東京中を駆け巡る! 本書で大奮闘する“7匹のサムライ” マクダフ:チームリーダーの小型雑種犬 、キッド:誇り高い、若きクマタカ、タータ&チッチ:川に住むクマネズミの兄弟、ビス丸:おっちょこちょいのシェパード 、リル:気の強いおきゃんなスズメ、マルコ:酒に目のないドブネズミ
二十年前に発生したある殺人事件の真犯人と名乗る男が現れた。だが、当時犯人として捕まった男は、すでに十五年の刑期を終えている。冤罪事件として調査を進める弁護士は、次々と不可解な事態に遭遇し……。(「殺意のまつり」)時刻表トリック、アリバイトリック、心理トリックが光る傑作短篇集。〈解説〉千街晶之
私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの? 深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の書き下ろし「非さわやか100%青春小説」! 横浜市郊外のごくふつうの家庭で育った神立美咲は女子大に進学する。渋谷区広尾の申し分のない環境で育った竹内つばさは、東京大学理科1類に進学した。横浜のオクフェスの夜、ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。しかし、人々の妬み、劣等感、格差意識が交錯し、東大生5人によるおぞましい事件につながってゆく。 被害者の美咲がなぜ、「前途ある東大生より、バカ大学のおまえが逮捕されたほうが日本に有益」「この女、被害者がじゃなくて、自称被害者です。尻軽の勘違い女です」とまで、ネットで叩かれなければならなかったのか。 「わいせつ事件」の背景に隠された、学歴格差、スクールカースト、男女のコンプレックス、理系VS文系……。内なる日本人の差別意識をえぐり、とことん切なくて胸が苦しくなる「事実を越えた真実」。すべての東大関係者と、東大生や東大OBOGによって嫌な思いをした人々に。娘や息子を悲惨な事件から守りたいすべての保護者に。スクールカーストに苦しんだことがある人に。恋人ができなくて悩む女性と男性に。 この作品は彼女と彼らの物語であると同時に、私たちの物語です。
最後まで彼女に嘘の笑顔を作らせたことを、僕はずっと後悔して生きている。 恋人と与那国島へ旅行に来た須藤周二は、問題を抱えた未成年のための「島留学」中の美しい少女・久遠花と出会う。何かを探しているという花の姿が、周二には遠い昔不幸な事件で亡くした従姉妹・美羽に重なって見えた。数日後、花が姿を消してしまい行方を追うがーー。
母子家庭で育った聖太郎と、大宮製菓の御曹司・光博は、共通の趣味であるお菓子作りを通して親友となる。ある日、聖太郎は光博から、幼馴染みが出場するというピアノコンクールに誘われ、凛々花を紹介される。凛々花のピアニストとしての才能と、奔放な性格に惹かれてゆく聖太郎。光博や凛々花との貧富の差も、なぜだか気になり始める。そして、些細な出来事をきっかけに、ふたりは疎遠となってしまう。月日は流れ、大人になったふたりは、それぞれの道を歩み出し、聖太郎はショコラティエとして類い稀なる才能を発揮していくが…。
マスター、工藤、山内のヤクドシトリオと、酔えば酔うほど推理の冴える桜川東子さんに、アルバイト店員(でも店での立場はマスターより上)のいるかちゃん。最近顔を出すようになった警視庁捜査一課の刑事に、「推理的中率一〇〇%」を自称するイケメン映写技師も加わって、今夜も酩酊推理は過熱中!しかし、変化の兆しが…。
鋭い直感とすぐれた決断力に定評がある弁護士・阿礼沙英子。でも、沖縄独特の方言と因習、ささやかな嘘や隠し事に、今日もやや苦戦中。彼女を尊敬してやまない、方言通訳担当の事務員・大城が、意外な人脈と行動力で、縺れたトラブルを解く手がかりを見つけ出す!
電車を乗り間違え、見知らぬ町に降り立った島本。部下の矢崎は「すぐに離れたほうがいいですよ。ここは漠市です」と訳のわからぬことを言う。しかし先を急ぐ島本は、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。するとその後、次々と幸運が舞いこみだした。大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり…。上機嫌で家に帰れば、玄関の前に元カノののぞみが座りこんでいる。復縁かと喜んだ島本はのぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。そして翌日、のぞみを家に残したまま出社した島本がバッタリ出会ったのは、本物ののぞみ。では、家にいるあの女は誰なのかー。いや、何なのかー。
巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展しー警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とはー大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!