2018年発売
中国の双慶市で打ち出された「EV(電気自動車)タウン計画」。プロジェクトを担う運営会社の座をかけて、入札闘争の火ぶたが切って落とされる。東都五和銀行北京支店の小野寺静香、韓国の大財閥・パルスンの林麗香、中国国家改革委員会の張美香の3人は、この入札闘争のためにそれぞれ奮闘するが、組織の陰謀や裏切りによって思わぬ方向へ追いやられることに。
熾烈な攻防戦が繰り広げられる双慶市「EVタウン計画」の入札闘争。東都五和銀行の上司の陰謀で、大阪の飛鳥化学に出向を命じられた小野寺静香は、経営危機に陥ったこの会社の価値を見いだし、起死回生の逆転を狙う。一方、韓国・パルスンの林麗香は大胆なアイデアで勝負に出る。しかし、そこに暗躍する中国国家改革委員会の張美香の陰。複雑な利害の糸が絡み合う乱戦の勝者はー。
ある偶然が引き起こした、痛ましい死亡事故。突然の悲劇に翻弄される人間模様を、映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』の監督が独自の視点から描き出した連作短編集。「本の雑誌」2016上半期ベスト1に輝くなど話題騒然の傑作を文庫化。
大きな銀杏の木に支えられるように建つ、オンボロな「銀杏アパート」で暮らすのは、それぞれの悩みを抱えるワケアリ住人ばかり。次々に巻き起こる小さな事件の秘密と、そこに詰まった「優しさ」とはー。人のつながりに心あたたまる、感動の連作短編集。
世界一華麗な怪盗「ルパン」。鮮やかに美術品を盗み出しながら、弱きものを守り、女性を愛する紳士ー。その優雅かつ誇り高き姿に憧れ、胸を躍らせた過去を持つ人気作家陣が集結し、当時のときめきを筆に込めて書き上げた、オマージュ小説アンソロジー!
かつて天才詐欺師としてその名を馳せた夏目は、突然目の前に現れた女子中学生・小春から、とある依頼を受ける。自分の娘だという小春からの頼みごととあって、久しぶりに動き始めた夏目だったが、次々と訳ありな依頼者たちが訪ねてきて…。ある時はYouTuberと大人気ゲーム機の不正抽選の謎に迫り、またある時は闇カジノで結婚詐欺師を懲らしめる。己のポリシーに忠実な天才詐欺師が大活躍!笑って泣ける、父と娘の連作短編ミステリー。
北宇治高校吹奏楽部の活躍を描く人気青春シリーズの短編集。あすか、香織らの卒業後や、夏休みの久美子たち、一年生部員の休日の様子など、北宇治吹部の楽しくてちょっぴり切ない日常を13編収録。優子の置き土産「アンサンブルコンテスト」では、チーム編成でまたもやひと波乱!?優子や夏紀、みぞれ、希美の卒業式の日や、滝や新山たちの音大時代のほか、卓也が東京に旅立つ日を描いた感動の一編も必読!
あやかし絵の専門画家・富嶽北斗は奇妙な力を持っている。それは怪異を“見て”、“触れ”、描くことで封じるー“吸印”出来る力。そんな北斗は、浅草の街並みとグルメを愛する腐れ縁の小説家・多喜沢と、今日も一風変わった事象に巻き込まれ…!?「デンキブランと高女」「ホッピー通りの狐者異」「浅草寺と骨女」ほか、5篇を収録。祓い屋画家×下町グルメのあやかしミステリー、ここに開幕!
とがった屋根が峰のようにいくつもあり…大きな裳階屋根がそう見せているらしく、それが一部四階のように見えた…屋根には三角窓があり、屋根裏部屋がある。角度を変えて近づくにつれ、形の変わった窓や大小のベランダが現れたり消えたりし、屋敷にはまだ煙突やら小さなたくさんの裳階屋根やら彫刻やらさまざまな出っぱりがあって、建物を複雑にしていた。「山崎の鬼」より。代表的作品を収めるアンソロジー。
東日本大震災を経て、刻々と変貌していく“東京”を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者K”は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。スピンオフ小説「悪い春」を特別収録。
昭和49年夏。結婚52年目を迎えた画家・熊谷守一(モリ)と妻・秀子のある1日を描いた映画『モリのいる場所』の小説版。94歳の画家が愛する庭と、そこに住まう無数の小さな生命、老夫婦のお茶の間に集う人々-さまざまな視点から、軽やかに「モリ」の日常があふれだす。
さまざまな思惑を抱く客を乗せて、旅客機が“北部辺境区”へ向けて離陸した。だが、安穏の空の旅とはならない。“西部辺境区”で大殺戮を行い罪人として護送中のハイランド公爵の眠る棺が乗っていたのだ。公爵をめぐる貴族たちの毒牙がさらには残虐無比の空賊が、飛行体に乗り合わせたDと乗客に襲いかかる!
梅雨のある日、小学生のすばるは学校の近くで、未来からきたという若い女性の幽霊と出会う。アイハラコトナと名乗る彼女は、なぜかすばるのことをよく知っていて、「今日転校してくる相原琴奈と仲良くしないでほしいの」と言った。だが、同じ飼育委員になったことで、すばるは転校生の琴奈と親しくなっていく。その後も、中学、高校、大学と、成長していくすばるの前に時々現れる幽霊の彼女。彼女が未来の琴奈だとしたら、琴奈はもうすぐ死んでしまうのだろうかー?青春小説の旗手による青春ミステリーにして、どこまでも透明なラブストーリー!
体力自慢の新米編集者、陽菜子の異動先は、着物雑誌の編集部。アンチ着物派の陽菜子は思いがけない事態に戸惑うばかり。さっそく任された取材で和裁士の桐彦にインタビューをするも、案の定大失敗!桐彦にからかわれ、「ねこちゃん」呼ばわりされてしまう。気にくわない男と思いながらも、桐彦の助言を受けるうちに着物の魅力を知っていく陽菜子。ある日、祖母の着物への態度に疑問を抱いた陽菜子は、違和感の正体を突き止めようと桐彦に相談するがー。着物にまつわる謎と秘密が、鮮やかに解き明かされる。じれったい恋の行方も気になる浅草着物ミステリー!
入学式の朝。中学生の一色恭夜は、例によって霊にからまれていた。恭夜は代々女だけが生まれ、会話によって「霊を説得」し成仏させる役目をもつ一色家に、初めて誕生した男の子だ。そんな恭夜の前に颯爽と現れたのはひとりの少女。自分の体内から日本刀を出して霊と対峙する望月冴子だ。彼女は代々男だけが生まれ、武器によって「霊を斬る」ことで成仏させる役目をもつ望月家初の娘だった。これまで面識のなかったふたりは、同じ三日月中学に通うことになったその日から、協力しあうことに…。中学生コンビの痛快&ほっこり霊障解決ストーリー!