小説むすび | 2019年1月25日発売

2019年1月25日発売

人間界の諸相人間界の諸相

謎に満ちた女・菱野時江とは何者なのかーー。 突如、連絡が取れなくなった時江の消息を追う二人の友人、渋崎咲子と古河内栗美は、携帯端末のSNSを頼りに彼女の居場所を突きとめた。 そこには「あの国は暮らすにはいいが、生きるのは窮屈すぎる」という一文が……。 「幻の淑女」より 作品の全貌は、読んでみてのお楽しみ。 文学界の異才・木下古栗が挑んだ、なんともトリッキーなエンタメ風小説! (菱野時江を取り巻く人びと) 稲松叶夢(集英社社員) 渋崎咲子(友人) 古河内栗美(友人) 早乙女アキラ(カリスマ全裸公然わいせつナンパ師) 平尾正樹(平日在宅が多く、何をしているのか分からない男) バラク(前大統領) 城之内健作(経営者兼精神科医) 山森正太郎(精神科看護師) 【著者略歴】 木下古栗(きのした・ふるくり) 1981年、埼玉県生まれ。神奈川県在住。2006年「無限のしもべ」で第49回群像新人賞を受賞。著書に『ポジティヴシンキングの末裔』『いい女vsいい女』『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』(第5回ツイッター文学賞第1位)『グローバライズ』『生成不純文学』がある。独特の言語センスを持ち、異色の作風で知られる覆面作家。

涙は隠して涙は隠して

再会したのは、かつての継兄。 私の初恋を傷だらけにした男性。 母の恋人に関係を迫られ、ローレルは高級ホテル内を走って逃げていた。 間一髪駆けこんだペントハウスにいたのは……クリスティアーノ! ヨーロッパ各地にホテルを持つ億万長者の彼は、 10年前までローレルの継兄で、彼女の淡い初恋の相手でもあった。 クリスティアーノはローレルの破れた派手なドレスを無遠慮に見ている。 そしてすがるような目をしたローレルに、冷酷にもこう言い放った。 「ここにいさせてやる代わりに、君にはその体を差し出してもらう」 彼は私の格好を見て、お金のためならなんでもする女と決めつけている。 母に勧められた服を着て、恋人だという男性の部屋に行っただけで、 本当の私はクリスティアーノを忘れられず、一度も男性経験がないのに。 愛する男性に金目当てと侮辱され、看護師のヒロインはバージンだと言い出せないまま、彼とベッドをともにします。そして待っていたのは、妊娠がわかるまでの2週間限定の恋人という役割でした。惹かれ合えば惹かれ合うほど、短い関係の終わりは近づき……。

心なき侯爵の花嫁心なき侯爵の花嫁

長年の密かな片思いが突然、 愛なき結婚へと突き進み……。 父亡きあと住まいを追われ、老婦人の話し相手の職を得たクレアは、 仕事へ向かう途中、地元の名士ロウクリフ侯爵とでくわした。 幼いころから、会うたび彼にからかわれてきたが、 このときは父のことを言われて腹を立て、思わず手を上げてしまった。 すると、騒ぎを聞きつけて集まってきた人々の前で、 侯爵が突然、彼女は婚約者だと宣言したうえ、唇を重ねてきた。 なんて恥知らずなの! こんな横暴は許されないはず。なのに……。 彼の唇の熱さを知り、長年ひた隠しにしてきた感情がかき立てられる。 いったんはその場を収めたロウクリフはしかし、 公衆の面前で侯爵を殴るような女など誰も雇わないと脅し、 さらなる醜聞を避けるには自分と結婚するしかないと言い放った! 絶大なる人気を誇るリージェンシー作家アニー・バロウズの3連作、米読者絶賛の〈神々の悪戯〉シリーズ第2話がHQヒストリカル・スペシャルの200号記念作を飾ります! 続く最終話は、どこか陰のある脇役“アトラス”と壁の花ヒロインが主人公を務めます。

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