小説むすび | 2019年11月発売

2019年11月発売

ポルトガル短篇小説傑作選ポルトガル短篇小説傑作選

ジョゼ・ルイス・ペイショット、ドゥルセ・マリア・カルドーゾ、リカルド・アドルフォ、ジョルジュ・デ・セナなど重鎮から新鋭まで、ポルトガル現代文学の魅力を存分に示す12人の作家たちによる珠玉の掌篇集。 本書に訳出されているのは、いずれもポルトガルの現代のフィクションの傾向をよく表す、価値ある豊かな作品である。選ばれた作家たちに祝福の言葉を贈りたい。そして、これから本書を読む日本の読者にも。これらの美しい短篇を発見する特権はあなたの手にある。-ルイ・ズィンク 「少尉の災難 遠いはるかな地で」マリオ・デ・カルバーリョ 「ヨーロッパの幸せ」ヴァルテル・ウーゴ・マイン 「ヴァルザー氏と森」ゴンサロ・M・タヴァレス 「美容師」イネス・ペドローザ 「図書室」ドゥルセ・マリア・カルドーゾ 「バビロンの川のほとりで」ジョルジュ・デ・セナ 「植民地のあとに残ったもの」 テレーザ・ヴェイガ 「汝の隣人」テオリンダ・ジェルサン 「犬の夢」ルイザ・コスタ・ゴメス 「定理」エルベルト・エルテデル 「川辺の寡婦」ジョゼ・ ルイス・ペイショット 「東京は地球より遠く」リカルド・アドルフォ

かかかか

うーちゃん、19歳。 母(かか)も自分も、もう抱えきれん。 選考委員・町田康、村田沙耶香、震撼。 痛みと切なさを描く20歳の才器、第56回文藝賞受賞作。 19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。 脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位……自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へと旅立つーー。 未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。 痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。 人間の気分、気持ちが恐ろしいほど正確に文章化されている。そしてそれが何度も人間存在そのものに迫って胸を衝かれる。 ーー町田康 この作者は、書くことの呪いにかかっている。それは、信頼できる、「作家」としての呪いだ。 ーー村田沙耶香 <著者略歴> 1999年、静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生。2019年、第56回文藝賞を受賞。

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