2019年3月8日発売
高校時代、映画同好会に所属し、いつかみんなで映画を撮って食べていくことを夢にしていた4人。自主制作映画のコンクールで入賞したり、ミニシアターで期間限定上映をしたりと、夢に向かって順風満帆に進んでいた、はずだった。しかし突然、中心メンバーの一人である石田サキは3人に何も告げず、消えてしまった。チームは解散、3人はそれぞれの道を歩き出し、12年が経った。そんなある時、サキの居場所を知らせる、暗号めいた電話が掛かってきてー。
植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは?毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた“平成”という時代の闇が露わになるー“平成”を生きる若者たちが背負う自滅と祈りの物語。
上空数千メートルを飛ぶ旅客機。そこに乗り込んだ飛行機恐怖症の精神科医クリューガー。彼を見舞ったのは想像を絶する悪夢だった。誘拐された娘を救いたければ、この飛行機を墜落させろ。それが犯人の要求だった。恐怖と苦悩にさいなまれるクリューガー。乗客乗員と娘の命を守るには、着陸までに無数の謎を解明しなくてはならない。ドイツでベストセラーを記録したタイムリミット航空サスペンス。
女子大生殺人事件の容疑者として逮捕されていた田岡勇太が、地裁でまさかの無罪となり、自宅に戻った。近所は不穏な空気に包まれ、田岡への嫌がらせも発生。そんな中、女子大生の恋人だった男が殺される。判決後も田岡に執拗に迫っていたため、返り討ちも疑われたが、一方で今度は田岡が襲われたー。これは復讐の連鎖なのか。
母国アルゼンチンで医師免許を取得したエルネストは中南米への新たな旅に出る。ボリビアで革命を目の当たりにし、さらにペルー、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、グアテマラなどを訪れ、大物とも遭遇。そこで見たのは米国の搾取や暴政に蹂躙される市民の姿だった。武装革命家を目指すゲバラを描く第2弾。
四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父。高度成長期の企業戦士として、専業主婦の妻に守られた家庭人として、幸せなはずの人生だった。死の間際に想ったのは愛した女なのか、それともー四国で父の足跡を辿った次女の碧は、ある事実を知る。家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。
大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。糊口をしのぐべく、直心影流の剣さばきで用心棒稼業に励む最中、再会したのは関前藩勘定方・上野伊織。藩を揺るがす疑惑を知った磐音に迫る影とは?巻末には本シリーズ愛読者の谷原章介氏と著者との特別対談を収録。
安永二年、深川の夏祭りをめぐって、地元の親分の間で起こった諍い。浪人暮らしを続ける坂崎磐音は権造親分への借りを返すために一働きすることになる。国許の豊後関前藩では、磐音と幼馴染たちを襲った悲劇の背後にうごめく陰謀がだんだんと明らかになる。父までもが窮地に陥ったことを知った磐音は、決意を胸に江戸を発つ。
敗戦に志を折られた物理波矢多は、九州で炭坑夫となる道を選ぶ。意気投合して共に働く美青年・合里光範もまた、朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。親交を深める二人だが、相次ぐ変死体と“黒い狐面の女”の出現で炭鉱は恐怖に覆われる。ホラーミステリーの名手、新シリーズ開幕!
夫に怪しい女がいるらしい、何か相談がなかったか、と友人の妻から詰め寄られた「ローマへ行こう」。書店の主人に依頼された、月一回、誰もいない家の鍵を開け、花を換え、テープレコーダーのスウィッチを入れるという奇妙なアルバイト「家族の風景」ほか、普通に生きる大人たちの大切な秘密を描く全十篇。
ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集まった。子、孫、ひ孫三十人あまり。縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。
ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのび寄り…。感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか?日本政府はある対策を講じる決断をする。近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル。
かつて日産自動車に君臨し“天皇”と畏怖された男・塩路一郎。組合員二十三万人の労働組合の総帥として、社長人事に影響を及ぼし、経営を歪め、社内紛争を長引かせる一方、豪華クルーザーで遊び、愛人を囲い、私利私欲を極めた。なぜ彼は権勢をほしいままにできたのか。大企業の病巣に切り込む迫真の実録小説。
明治3年春、渋谷栄一の義兄、尾高惇忠は渋沢に富岡製糸場の初代工場長に就任するよう懇願される。当時、日本の生糸は輸出量が急増した結果、悪徳業者がはびこり、粗製濫造が横行した。世界遺産富岡製糸場誕生には、上野・彰義隊の秘話が深く関わっていた。工場が軌道に乗るまでを赤裸々に描く傑作小説。
国立大学を卒業し、名門私立女子校で英語教師として働いていた十希子は、突然、母の死を知らされる。商社の男と心中したというのだ。男は資金課長で、鉄鋼会社との架空取引に関与したとして、検察に召喚される寸前だった。昭和30年、神武景気が始まり、社会が沸くなか、前年の造船疑獄など、汚職事件が頻発していた。母は事件に巻き込まれたのか?死の謎を解くため、十希子は母の勤めていた高級料亭に飛び込み、仲居として働き始める。真相を探る過程で見つけたのは…。愛と復讐のせめぎあい!事件の真相が明らかになるとき、愛は続くのか。衝撃のラスト!愛はサスペンス!書下し。
作家の霜月公輔は、大学時代からの腐れ縁のやり手女将・今村亜希子が経営する温泉旅館に誘われた。なんでも旅館経営に「官能作家の知恵」が必要なのだという。「この旅館を、ラブホに変えようと思うの」…。一癖も二癖もあるいわくありげな湯治客たちが南関東の温泉旅館「満開楼」で、しっぽりしっとりエロ事勝負。新感覚官能小説の旗手がおくる、温泉ハチャハチャ桃色小説。
上高地・穂高岳登頂を目指した五人のパーティのリーダー有馬英継が刺殺体で発見された。そして英継が山に出かけた日に、父の国明は京都府舞鶴に出かけたまま行方不明となっていたのだ!?長野県警安曇野署・道原伝吉の捜査で、二人の不可思議な過去が次第に明らかになってきたとき新たな殺人事件が!舞鶴で何が起きていたのか?人情刑事の活躍を描く長篇旅情ミステリー。
奇妙で可愛く、時におぞましい植物たちは、どこか人間と似ているー。他の植物にくっついて生きるコウモリランは、若い男性を家に住まわせる年配の女性と。条件に恵まれると繁殖するホテイアオイは、とある家に住みつき妊娠する少女たちと。日陰が必要なシッポゴケは、自身の女性性を憎む少女と。人間の不可思議な行動を植物の生態に仮託して描く、アサクラ版・植物誌全七作。
密室、容疑者全員アリバイ持ちー「不可能」犯罪を専門に捜査する巻き毛の男、御殿場倒理。ダイイングメッセージ、奇妙な遺留品ー「不可解」な事件の解明を得意とするスーツの男、片無氷雨。相棒だけどライバル(?)なふたりが経営する探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」には、今日も珍妙な依頼が舞い込む…。新時代の本格ミステリ作家が贈るダブル探偵物語、開幕!