2019年5月27日発売
老中の駕籠行列は、登城の際、走るのが慣例だ。事件が起きたときだけ走れば、人々に異変を知られる。いつも走っていれば、気づかれようがない。そのために走ることが定着し、飛駕籠と呼ばれる。その飛駕籠に六人の百姓衆が駆け込んで直訴した。郡上藩からの者であった。御庭番の加門がそれを目撃していた。加門は本丸中奥の将軍家重の御用取次・田沼意次の部屋を訪ねた。
旗本武田作之介家の門前に行き倒れがあった。まだ前髪も取れぬ侍姿の子ども。小袖も袴もぼろぼろで土や泥塗れ、腹が空いているらしく息も絶え絶えの薄汚い小僧。津軽藩士・鹿取真之助の一子、寒九郎と名乗り、叔母の早苗様にお目通りしたいという。父が切腹して果て、母も後を追ったので、津軽からひとり出てきたと叔母に告げた。こうして寒九郎の孤独の闘いが始まった。
昇介は、会社の倉庫を使って女性社員を相手に快感を貪っていた。ある日、社長である夫を亡くして新社長となった貴梨子から、倉庫の件を問題にしない代わりに、夫の浮気相手だった女を捜せとの命が。手がかりは、録音されていた女の喘ぎ声のみ。疑わしい女性に接近し、声から特定しようとするが、意外な真実がー。巨匠の傑作官能!
この世でいちばん哀しいのは、一度も語られることのなかった物語と、一度も奏でられることのなかった音楽だ。吉田篤弘のデビュー作、待望の復刊。書き下ろし解説を含む最新リマスター版!
事業に失敗し、妻とも離婚した尾崎周一郎は、あてのない傷心の旅に出る。旅の途中、昔ながらの銭湯に惹かれて入るも、湯あたりで倒れてしまう周一郎。気がつくと、番台にいた清楚な美女に優しく介抱されていた。彼女の名は鶴本美佳、この「鶴の湯」の看板娘であった。周一郎は美佳への恩返しに、人手不足の鶴の湯で働き、彼女の力になろうと決意する。そんな周一郎だったが、お客の未亡人や美佳の義姉の由布子などから次々と淫らな誘いを掛けられて…!?レトロな銭湯を舞台に聖女と淫女の官能美を圧倒的な筆致で描く、絶品回春エロス!
1枚の美しい切手をめぐり、すれちがい、めぐりあう人間模様。ささやかでいとおしい一度きりの旅を、だれもが懸命に生きている。『100万回生きたねこ』の佐野洋子が贈る奇跡のラブストーリー。幻の名作、待望の新装復刊。大切な人へのプレゼントにも!