2019年6月14日発売
私の名前はホープ・アーデン。人は私を記憶することができない。特性を生かし泥棒を生業とする私は、或るダイヤモンドを盗んだがために、完璧な人生の提供を謳うアプリ「パーフェクション」の開発元プロメテウス社に追われることに。逃走劇の最中、「記憶される人間」に戻る可能性を見出す私だが、すでに恐るべき計画の一部となっていることに気づくー。他者に記憶されない人生の意味とは。圧巻の世界幻想文学大賞受賞作。
結婚詐欺容疑で介護士の円藤冬香が逮捕された。婚活サイトで彼女と知り合った複数の男性が相次いで死亡していたのだ。しかし冬香は容疑を否認。アリバイも完璧だった。美貌の冬香の身にいったい何があったのか。関心を抱いたフリーライターの今林由美が冬香の過去を追い北陸に向かうと、30年前に起きたある未成年事件にたどり着く。由美は、父親を刺した少女と冬香との関連を疑うが、証拠がなく暗礁に乗り上げてしまう…。
法律事務所を経営する北見貴秋は、薬物依存症の入院療養から戻った日、同級生の服部奈津から、幼馴染の今川出流の死を知らされる。今川は作家としてデビューを飾り、期待されていた矢先の出来事だった。彼は本当に自殺したのか。北見は、死の真相を確かめようと行動を起こす。一方、北見の父の親友だった刑事の藤代もまた、今川の死と北見の行動に疑問を抱いていたー。衝撃の結末が最後に待ち受ける長編ミステリー。
恋人との別れ話を見ていてー幼馴染に頼まれた僕に訪れた出会い(「ポケット」加藤シゲアキ)。私の家に毎夜違う知らない「友達」がやってくる。ある時から、同じ人が何度も現れるようになり(「コンピレーション」住野よる)。加藤シゲアキ、阿川せんり、渡辺優、小嶋陽太郎、奥田亜希子、住野よるが夢の競演。誰だって「行きたくない」時がある。そんな所在なさにそっと寄り添う、一瞬のきらめきを切り取った書き下ろし短編集。
度重なる刺客との戦いに疲れ果てた織江。彦馬をあきらめれば、一人で逃げ切れるかもしれないー。思いに揺れる織江にはしかし、新たな刺客が迫っていた。一方、彦馬は松浦静山に諸外国を巡るよう命じられ、長崎へ向かった。そこで彦馬は、一緒に日本を脱出するため織江を待ち続ける。果たして二人に安住の地はあるのか?そして長崎での最終決戦の行方は?著者代表シリーズ完全版、遂に完結!最後の特別新作収録。
インドで両親を亡くし、イギリスに住む親戚に引き取られたメアリ。広い屋敷のなかで一人ぼっちの彼女は、庭を散策するうちに、閉ざされた庭園を見つける。ひょんなことから鍵を手に入れ、世話係のマーサの弟、ディコンと一緒に、その庭の手入れを始めることに。さらに、屋敷内で存在が隠されていたいとこのコリンも加わり、庭の再生に熱中していく。3人が体験した奇跡とはー。世界中で愛される、児童文学の最高傑作。
日本の誇る情報機関。そこには使役される猟犬がいる。ある者は望んで、ある者は脅され、その身を捧げている。外国人にもかかわらず猟犬となった男が休暇を取ったその日、日本のまどろみは崩壊したー。関西国際空港に新宿駅、日本の主要都市で起きる爆弾テロに銃撃テロ。“敵”はいったい何者か?入り乱れる各国の諜報機関、内部分裂する猟犬。男はどの国旗に忠誠を誓うのか。スパイ小説の究極形!
“地獄代行業”の皓と助手・青児は、不可解な過去の通り魔殺人を調べるため奥飛騨の旅館へ向かう。紅葉燃ゆる山宿で2人を迎えたのは、闇に蠢く蛇と、前夜に急死した女将の亡骸だった。時を経て再び起こった不審な死。“蛇の祟り”が仄めかされるが、皓が見抜く本当の罪人と、悲しき動機とは…。そして事件の終わりと共に、皓と青児を引き裂く新たな地獄が幕を開ける!美しき少年探偵とペット扱い助手の事件簿、第3弾。
ドラッグとして日本の若者に流れた『ナイトメア90』。それは米軍が極秘に開発した、人間の戦闘能力を極限まで高める新薬だった。しかしその薬にはある作用が。服用すると人ならざる姿に変態してしまうのだ。薬を巡り工作員が暗躍するなか、フリーランスの軍事顧問・牧原は当局から事態収拾の依頼を受け、情報収集のために高校に教師として潜入する。しかし、「悪夢」はすでに牧原のすぐそこにまで迫っていた…。
三島屋の黒白の間で行われている変わり百物語。語り手の年齢や身分は様々で、彼らは正しいことも過ちもすべてを語り捨てていく。十三歳の少女は亡者の集う家の哀しき顛末を、絶品の弁当屋の店主は夏場に休業する理由を、そして山陰の小藩の元江戸家老は寒村に潜む鬼の秘密を語る。聞き役に従兄の富次郎も加わり、怪異を聞き積んでいく中でおちかにも新たな出逢いと別れがありー恐ろしいけど面白い三島屋シリーズ第四弾!
高校2年生になった武井遼介は、Aチーム入りが叶わず、Bチームでもがいていた。インターハイでは、スタンドで応援役にまわるBチーム。遼介の中で、このままでは終われないという気持ちが強くなっていた。
緑の液体が飛び散る惨殺死体にベイカー街の名探偵が挑む「翠色の習作」、女性が忽然と失踪した、いかがわしく謎めいたサーカスへと誘われる「ミス・フィンチ失踪事件の真相」、ナルニア国物語に登場する美少女のその後に驚く「スーザンの問題」、女の子に声をかけようと奮闘する少年の純真を描く「パーティで女の子に話しかけるには」など、儚く美しくグロテスクな31編を収録。空前絶後の想像力に満ちた短編集。
人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。そこには「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。しかしアリスが部屋に泊まった翌日、白布施のアシスタントがかつて住んでいた家で、右手首のない女性の死体が発見されて…。「俺が撃つのは、人間だけだ」臨床犯罪学者火村英生と相棒のミステリ作家アリスが、悪夢のような事件の謎を解く傑作長編!!
運命の相手と知り、自分の分身のように感じる相手と結ばれたり、結ばれない運命だったり。悲しい恋やコミカルな恋、ロマンティックな恋など「運命」に翻弄される人間の、さまざまな姿を味わえる。男女がかくも違い、だから惹かれあうのだ、ということがよくわかる物語の数々。村上春樹、角田光代、山白朝子、中島京子、池上永一、唯川恵という恋愛小説の名手たちによる傑作短編集。あなたにも「運命の赤い糸」が見えていますか?
故人より託されたデータを極秘に削除する会社『dele.LIFE』。その所長、坂上圭司が姿を消した。真柴祐太郎はかつての雇い主を捜し始めるが、手がかりと思しきファイルは得体の知れぬ陰謀へと繋がっていきー(「リターン・ジャーニー」)。誰からも愛された女子中学生が自殺した。彼女の死と、遺されたデータの謎に迫る「スタンド・アローン」を含む全2篇。データに込められた秘密や想いが胸を震わすミステリ、待望の第3弾。
恋人に騙され、仕事もお金も居場所さえも失った25歳のエミリ。15年ぶりに再会した祖父の家に逃げ込んだものの、寂れた田舎の海辺の暮らしに馴染めない。そんな傷だらけのエミリの心を救ったのは祖父の手料理と町の人々の優しさだった。カサゴの味噌汁、サバの炊かず飯。家族と食卓を囲むというふつうの幸せに触れるうちに、エミリにも小さな変化が起こり始め…胃袋からじんわり癒やされる、心の再生を描いた感動作!
至上の美を体現する、双子の黄金姫と白銀姫。そのお披露目で起きた殺人事件は、アトラム・ガリアスタ、冠位の魔術師・蒼崎橙子の乱入により混迷を極めることとなる。エルメロイ教室の弟子・フラットとスヴィンは師の制止を振り切り、これらに対抗すべく魔術戦を開始する。激しい戦いの中、エルメロイ2世はライネスにかけられた殺人の疑いを晴らすことはできるのか。陰謀と闘争が交錯する美しき殺人劇に、決着の時が迫る。
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた“古典部”部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田はいま、どんな思いでどこにいるのかー会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、謎解きを通し“古典部”メンバーの新たな一面に出会う全6編。シリーズ第6弾!
石久藩の上士の子弟が通う藩学で虐げられ心身に深い傷を負った鳥羽新吾。庶民も通う薫風館に学舎を転じ、友を得た事で救われる。ある日父の兵馬之介が、突然帰宅する。家を出て正妻である母依子とは違う女と暮らす謎の多い父から、薫風館を探るよう命じられる。親友の栄太が襲われ、実行犯とみられた藩校のかつての学友たちが斬殺される。学舎にどんな闇が巣くっているのか。若き剣士たちの節義を描く時代小説の新しい風。