2019年6月発売
ショコラティエールの麗子は、銀座の人気チョコレート専門店『ララ・オランジェット』を辞めた。転職活動を続けるが彼女のもとに届くのは不採用通知ばかり。そんな折、息抜きで訪れた喫茶店で前のお店で常連だったギルバートと出会う。彼の雇い主である理人が麗子の作るチョコレートのファンで、会いたがっていると聞き、一度だけなら、と会うことに。待ち合わせの場所に訪れるとそこには、和服の似合う青年がいた。そして、彼から「僕の店で、働かない?」と予想外の提案が持ちかけられるー。
ある日、突然妹の都湖子が交通事故で亡くなった。寂しさで落ち込んでいた博史の前に、死んだはずの妹が現れる。彼女にはやり残したことがあり、それを叶えるために数日間だけ生き返ることに。一週間という限られた日々の中で妹の願いを叶えるために兄が選びとる決断とはー?切なくも温かい兄妹の絆の物語。
アンチ・フランクリン型の主人公(リップ)のアメリカ版「浦島太郎」物語、田舎教師(イカボッド)の儚い恋と「首なし騎士」伝説。ドイツの民話を素材に、アメリカ的なフォークロアの息吹を巧みに導入した、アーヴィングの代表的短編2編。
現世とは別にある、あやかしが跋扈するもうひとつの世界“幽世”。幼い頃に迷い込んだ幽世で、貸本屋を営む変わり者のあやかし・東雲に拾われ、人の身でありながら、あやかし達と暮らす夏織は、ある日、行き倒れていた少年・水明と出会う。現世で祓い屋を生業としているという彼の目的は「あやかし捜し」。あやかしに仇なす存在とはいえ、困っている人を放っておけない夏織は、ある事情で力を失っている彼に手を貸すのだがー。笑いと涙と人情の、どこか優しい幽世の物語。
楽器職人としてドイツに暮らすグアトの元に金髪で碧眼、長身の男が訪れた。日本の古いカタナを背負い、デミアンと名乗る彼は、グアトに「ロイディ」というロボットを探していると語った。彼は軍事用に開発された特殊ウォーカロンで、プロジェクトが頓挫した際、廃棄を免れて逃走。ドイツ情報局によって追われる存在だった。知性を持った兵器・デミアンは、何を求めるのか?
警視庁捜査一課の百成完は、確定死刑囚を収監した陸の孤島、脳科学医療刑務所を訪れた。そこにはホテルのスイートルームのような独房が一つだけあり、快適に過ごす囚人がいた。未解決事件を次々に解決し「闇探偵」と呼ばれる月澤凌士その人だ。百成は月澤に団地の二階の天井から聞こえてくる奇妙な声の謎を解いてほしいと依頼する。それは連鎖する怪奇事件の序章だった。
闇夜に現れる屋台「ほたる食堂」は、過去の記憶を一切持たない店主の神宗吾と、学生アルバイトの鈴井遙太が営む美味しいお店。今夜の一品、ビーフストロガノフの芳醇な香りに包まれ、いつもの平和な夜が始まろうとしていた矢先、一見客の紳士がもたらした「駆け落ちした一人娘の行方不明」事件によって、食堂は大騒動!大切な思い出のレシピに隠された、甘くてしょっぱい家族の物語。
「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、大富豪の老人に告白される。彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが!琴子はいかにして、妖怪の存在を伏せたまま、富豪一族に嘘の真実を推理させるのか!?虚実が反転する衝撃ミステリ最新長編!
嵐はマーキス島の農作物や建築物、人々に大きな爪痕を残していった。復興に必要な労働力確保のため、ロデリック王は遊馬の進言を受け入れ、囚人たちの更生に取り組む決意をする。また、復興にかかる資金調達のため、遊馬はマーキス島のある「資源」を有効に使うべきと提案してロデリック王やクリストファーを驚かせるのだが…!?法医学者が描くタイムスリップ法医学ミステリー第8巻!
就職活動をはじめて3カ月、碧はついに私立高から内定をもらうことができた!教師だった亡き母に同じ道を歩むことを報告し、その後「ゆきうさぎ」のアルバイトに復帰。大樹との穏やかな時間が戻ってくる。そんなある日、大樹の祖母・葉月が突然店にあらわれる。老舗旅館の女将だった葉月の気品あふれるたたずまいに、碧はすっかり萎縮してしまうが…!?第8巻!
雪媛が貴妃として皇宮に入ってから半年、皇帝・碧成は体調を崩しがちになっていた。実は雪媛が碧成を殺そうと毒を盛っているのだが、碧成は飲むと一時的に体調が上向くことから雪媛が煎じる薬を飲み続け、神女としての名声は高まるばかり。一方、碧成の娘を産み、後宮を掌握していた寵姫・芙蓉の影響力は健在だった。芙蓉のもとには、雪媛を忌々しく思う者達が集まり…?
箱根で温泉を満喫していた凛子。ところが狗神・京之介の窮地に、凛子の力が必要だといわれ、またしても不思議な温泉郷に連れてこられてしまった。京之介との結婚も、どうやら継続している模様。手切れ金を貯めるために下働きを始める凛子だったが、京之介の過去について気になることがあり…?だが、湯屋・高天原を狙う何者かによって凛子が攫われてしまい!?
埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。それは、伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、素材探し、開発力不足…数々の難問が立ちはだかるなか、従業員20名の地方零細企業が、一世一代の勝負に打って出る。ドラマ化もされた超話題作、ついに文庫化!
戦争は、人々の人生をどのように変えてしまったのか。帰るべき家を失くした帰還兵。ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工。戦後できた遊園地で働く、父が戦死し、その後母が再婚した息子…。戦争に巻き込まれた市井の人々により語られる戦中、そして戦後。時代が移り変わっても、風化させずに語り継ぐべき反戦のこころ。戦争文学を次の世代へつなぐ記念碑的小説集。第43回大佛次郎賞受賞作。
1954年、大分の小鹿田を訪れたイギリス人陶芸家バーナード・リーチと出会った高市は、亡父・亀乃介がかつて彼に師事していたと知る。-時は遡り1909年、芸術に憧れる亀乃介は、日本の美を学ぼうと来日した青年リーチの助手になる。柳宗悦、濱田庄司ら若き芸術家と熱い友情を交わし、才能を開花させるリーチ。東洋と西洋の架け橋となったその生涯を、陶工父子の視点から描く感動のアート小説。
「お前は記録世界の住人だ」本好きで内気な男子高校生、直実は、現れた「未来の自分」ナオミから衝撃の事実を知らされる。世界の記録に刻まれていたのは未来の恋人・瑠璃の存在と、彼女が事故死する運命だった。悲劇の記録を書き換えるため、協力する二人。しかし、未来を変える代償は小さくなかった。世界が転回する衝撃。初めての感動があなたを襲う。新時代の到来を告げる青春恋愛SF小説。
“ガンの巣”と噂される高級老人ホーム「メゾンメトセラ」。その噂を幼馴染みの千足から聞き、フリーライターの小暮アキは興味を抱く。がんの最新研究をしている併設の病院でアルバイトを始めた千足が不慮の死を遂げた。特殊なウイルスに感染したためだというがー。そこには人類の未来を左右する重大な秘密が隠されていた。人はどこまで倫理を踏み越えられるのか。怒涛のサイエンス・ミステリー!
「眠狂四郎殿、とお見受けいたす」-佐渡の金銀山の不正を探っていた隠密が次々と姿を消した。真相究明に乗り出した狂四郎に襲いかかる刺客。少林寺拳法の使い手・陳孫らの助けを借りて罠をかいくぐりつつ、見えてきたのは加賀の豪商・銭屋五兵衛らによる恐るべき陰謀だった!大奥の秘事や柳生との御前試合など、アップテンポに押し寄せる興奮。原点にして至高、これぞ昭和エンタメの斬れ味。
加賀の豪商・銭屋五兵衛の陰謀を阻止すべく、北陸路へと踏み入る狂四郎。入国を阻止せんと加賀の剣士が挑みかかる。若き千葉周作との邂逅を経て、忍法五派との技競べと、戦いは続く。やがて争いは狂四郎、五兵衛、謎の忍者「影」の三つ巴の様相を呈する。能登沖に沈む佐渡船の砂金を得るのは!?長い旅に終止符を打つべく、地摺り下段の無想正宗が音もなく弧を描くー。圧巻の展開、色褪せぬ傑作。