2019年7月11日発売
公事宿「巴屋」の出入物吟味人となった、もと秩父忍びの日暮左近。ある日、左近が手裏剣で襲われた。出入物吟味人として狙われたのか、それとも秩父忍びの過去に関わりがあるのか。探ると、かつて秩父忍びの仲間で許嫁でもあった陽炎たちも襲われていた。怒る左近を、権力亡者と凋落した忍びたちの暗闘が待ち受けていた。大好評を博したシリーズ待望の続編、第六弾。
大坂夏の陣。劣勢に立つ豊臣秀頼は、一縷の望みをかけ自ら出陣することを決意する。だが、母の淀殿はそれを頑なに阻むのだったー。衝撃の結末に息を呑む珠玉の傑作「お拾い様」ほか、山本勘助、今川義元、徳川家康ら名高き武将たちが死を迎える最期の二十四時間を、濃密に描く全六編を収録する。斬新な歴史解釈と鮮やかなどんでん返しに彩られた奇跡の作品集。
女性たちの才能は「呪い」であった。朝鮮王朝時代の女流画家師任堂が残した絹の包みに隠された過去とは。良妻賢母であれという束縛から主人公の魂を解き放ち、女性たちの内面の葛藤を描いて話題となったクォン・ジエの力作を初邦訳。 朝鮮王朝時代の村。官僚の娘として生まれた主人公は豊かな芸術的才能をもっていた。祝宴の席で文才に溢れる少女、踊りの得意な少女と出会い、三人は友人となった。ある日、主人公の目の前に、知性とたくましさを兼ね備えた少年が現れる。彼は官僚の妾の子だった。少年に惹かれながらも、身分違いの結婚を許されない主人公は芸術の世界に没頭する。やがて少女三人はそれぞれの運命にむけて歩き始める。 招魂 光と影 カササギ凧 私は、恒我(ハンア) 月影 紅梅花 草籠(チョロン) 佳然(カヨン) 紅花 俊瑞(ジュンソ) 東海(トンヘ)の海 連理の木 二人でのったブランコ 同心結 百年佳約 大関嶺(テグァルリョン) 種まき 独守空房 白丁の刀 贈り物 恋しい人 真紅の絹の包み 火花 真実 遺品 黎明
バツイチ、アラサー、犬森祥子の職業は“見守り屋”。依頼が入ると、夜から朝までひたすら人やものを見守る。彼女の唯一の贅沢は、夜勤明けの晩酌ならぬ「ランチ酒」。街で出会ったグルメを堪能しながら思うのは、一人娘のこと。別れた夫とその再婚相手のもとで暮らす娘に会えぬまま半年が経っていた。独り思い悩むが、ワケありな客たちと過ごす時間が徐々に祥子を変えていき…。恋(?)の予感の半生ハンバーグとビール、母心のスパゲッティーグラタンとレモンハイ、復活のからあげ丼とハイボール…疲れた心にじーんと沁みる珠玉の人間ドラマ×絶品グルメの五つ星小説!
扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記されることで、なんとか“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物”、ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていくー。怪物と呼ばれた少年が愛によって変わるまで。
彼女をそこから出してはいけないー老夫婦惨殺現場で保護された身元不明の少女、十九年前、ダムに沈んだ町を精密に描く天才画家、その絵に魅入られる女性フリーライター。三人が出会うとき、開くはずのなかった扉が開く。
はじまりは孤高の女性小説家殺しーー余命半年の探偵が挑む最後の事件。犯人捜しは新たな悲劇を呼び、ついに驚愕のラストが!? 茅ヶ崎のホスピス篤志館を、ひとりの青年ーー永山櫻登が訪ねた。俳優桜崎真吾との面会だ。桜崎は「リア王」の道化師を当たり役にしながら、素人探偵としても名を馳せ、いくつもの事件を解決していたが、末期の膵臓癌で余命半年を宣告されていた。 前年の夏、小説家来宮萠子が自宅で殺害され、容疑者として櫻登の母春佳が連行された。春佳は「彼女の死に対して、わたしに責任がある」の言葉を遺し謎の自殺。母の無実を信じる櫻登は、桜崎に真相究明の助けを求めたのだ。桜崎の指示で、萠子の担当編集者や、創作のために棄てた家族を訪ねて真相を追う櫻登。だがその先に新たな惨劇が待ち受けていたーー!
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第1巻には「星ねずみ」「天使ミミズ」など初期の傑作12編を収録。
高校生になった滝本望は変わらず祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。お蔦さんと呼ばれる祖母はご近所衆から頼られる人気者だ。その日、お蔦さんが踊りの稽古をみている、若手芸妓・都姐さんが寿退職することに。けれど「これ以上迷惑はかけられないし」と都姐さんの表情は冴えなくて……。神楽坂を騒がす事件をお蔦さんが痛快に解決していく! 人情と粋、望が作る美味しい料理がたっぷり味わえる、大好評シリーズ第三弾。
死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。名付け師が居を構える霊昇山に、死者の代弁機関、夢無鵡予言院から使者が訪れる。二十四大鬼の一体に不穏な動きがあり、退魔を要請したいというのだ。名乗りをあげたのは百人の御子のひとり、才はあるが病弱な千魘神だった。同行するのは、牢から放たれ、霊昇山に身を寄せる王族殺しの大罪人・曇龍。果たして大鬼退治は成功するのか。
青梅の精神科病院で殺人未遂事件が発生。その後、容疑者として浮上した男性が、松島海岸近くで遺体で発見された。殺人事件の捜査を進めていくと、東日本大震災で沈没し、海底から引き揚げられた豪華客船・グズマン二世号の客室から大量のプラチナが見つかった事件と繋がり、十津川警部はそこに潜む闇資金の謎を追う。
豪華執筆陣による警察小説アンソロジー。父親と同じく警察官になった男が、父の起こしたある事件の真相を知る「汚名」(五十嵐貴久)、大好評の萩尾警部補シリーズから「消えたホトケ」(今野敏)、事件解決の端緒に不審な……「裏切りの日」(誉田哲也)、かつてない逃走方法で逃げる犯人を追う「シェパード」(三羽省吾)の4編を収録。
全世界で聴かれているNHK WORLD-JAPANのラジオ番組で、世界17言語に翻訳して放送された、人気作家8名の短編を収録。几帳面な上司の秘められた過去。独り暮らしする娘に母親が贈ったもの。夫を亡くした妻が綴る日記……。海の向こうに暮らす人々に、私たち日本人の愛すべき姿を細やかに伝えた好編が、オリジナル文庫として登場!
一家の大黒柱・花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、『レンタル家族』という商売。行く先々で依頼人の理想の家族を演じるものの、失敗につぐ失敗で借金はかさみ、家計は火の車に。やがて住む家すら失った花菱家の六人は、それぞれ別の道を歩み始めるが…。笑いと涙が詰まった荻原作品の“原点”ともいえる傑作家族小説。
じめじめと降りしきる長雨、闇にすだく虫の声、おかっぱ頭の市松人形──四季の移ろいを背景に、日本人だからこそ感じる恐怖や夢と現実のあわいを描く七つの短篇。これぞホラージャパネスク、これぞ怪談文芸の神髄!
夏休みも終わった9月。清貴は、最後の修業先である「小松勝也探偵事務所」で働き始めた。相棒は、なんと永遠のライバル、円生。最初の依頼は「私を殺した人物を知りたいんです」という奇妙なものだった。同じ頃、祇園では、舞妓へのストーカーと祗園の幽霊騒動が起きていたーー小松と円生、清貴の、なんだか危うい3人組が、事件解決のために、京都の街をところ狭しと駆け回る! 大人気シリーズ、最新作。
道後温泉にたたずむ、神様だけが訪れることができる宿「湯築屋」。湯築九十九は、そこの若女将にして現役女子高生。ときには気難しい神様や、人に害をなす鬼まで温泉宿に来ることもあるけれど、宿のオーナー兼夫でもある稲荷神のシロ、いつもやさしく彼女を見守る両親、何ごとにも一生懸命なもふもふ子狐のコマをはじめ、個性豊かな仲間に囲まれながら、九十九は持ち前の明るさで、今日も元気にお客様をお出迎え!
東京・吉祥寺にある『さくらい動物病院』。院長・亜希には、動物の言葉が理解できるという不思議な力があるーー大学院生の手塚が通う大学で飼育されているミニブタが、人に懐かず困っていると聞いた亜希。心を開かせることを目的に、亜希はミニブタの世話を申し出た。徐々にミニブタの気持ちに寄り添っていく亜希は、ミニブタの抱える”記憶”に気づくがーー不思議な力を持つ獣医と動物たちの、心温まる物語。
五十路直前に不本意ながら旅行会社を辞めた本田涼介は、心と体を癒そうと南国の離島へと旅立つ。と、地元の企業に勤める三人の美女と出会ったことで、いきなり天にも昇る展開が始まった。すぐに噂が広まる狭い島内では、旅行者はセックス相手にうってつけなのだ。タイプの違う女体に耽溺しながら、どこか陰のある26歳の香澄に涼介は本気で惹かれていくが…。人生逆転、旅情マン喫の傑作書き下ろしエロス。