2019年7月発売
就任式で新オーナーを見てキャシーは気を失いそうになった。6年前、キャシーと情熱的な一夜をともにして結婚も誓ったのに、そのまま姿を消し、ひどい仕打ちをしたサンドロではないかと。その後、キャシーは妊娠に気づいて愕然としたが、誰にも頼ることなく、一人で双子を産んで育ててきた。妊娠がわかったときに一度だけ電話をし、すげなくされた、あのときの絶望感は、いま思いだしても鋭く胸を刺す。呆然とする彼女の前で、サンドロは残酷すぎる言葉を口にした。「僕たちは以前、どこかで会ったことがあるのだろうか」
長い金髪を額でわけて腰まで垂らし、透き通るように白い肌。 19世紀の絵画から抜けだしてきたような花屋のソーニャは、 30歳以上も年上の富豪に見初められて、婚約間近だった。 ところが晩餐会で見た、富豪の甥デイヴィッドに胸がざわつく。 男らしい彫りの深い美貌が眩しく、心惹かれたのだ。 だが身を落としているとはいえ、ソーニャは滅びた貴族の末裔で、 誰にも言えないような、忌まわしい過去の呪縛に囚われている。 しかも、デイヴィッドには財産目当ての女と嫌われていて……。 私の愛は叶わぬ夢と、未練を断ち切るように彼女は目を伏せた。
幼い頃から“あやかし”を見る能力を持つ大学4年生の静姫。そのせいで卒業間近になるも就職先が決まらない。絶望のなか教授の薦めで、求人中の「いざなぎ旅館」を訪れるが、なんとそこは“あやかし”や“神さま”が宿泊するワケアリ旅館だった!驚きのあまり、旅館の大事な皿を割ってしまい、静姫は一千万円の借金を背負うことに!?半ば強制的に仲居として就職した静姫は、半妖の教育係・葉室先輩と次々と怪異に巻き込まれてゆき…。個性豊かな面々が織りなす、笑って泣けるあやかし譚!
父の再婚で家に居場所をなくし、大学進学を機に京都へやってきた文香。ある日、神社で1冊の御朱印帳を拾った文香は、神だと名乗る男につきまとわれ…。「私の気持ちを届けてほしい」それは、神様の想いを綴った“手紙”だという。古事記マニアの飛鳥井先輩とともに届けに行く文香だったが、クセの強い神様相手は一筋縄ではいかなくて!?人が手紙に気持ちを託すように、神様にも伝えたい想いがある。口下手な神様に代わって、大切な想い、届けます!
高2の奏は、小学生の頃観た舞台に憧れつつ、人前が極端に苦手。しかしある日誘われた演劇部の部室で、3年に1度だけ上演される脚本を何気なく音読すると、脚本担当の一維に「主役は奏」と突然抜擢される。“やりたいか、どうか。それが全て”まっすぐ奏を見つめ励ます一維を前に、奏は舞台に立つことを決意。さらに脚本の完成に苦しむ一維のため、彼女はある行動に出て…。そして本番、幕が上がるー。仲間たちと辿り着いた感動のラストは、心に確かな希望を灯してくれる!!
その結末に、あなたは耐えられるか…⁉「どんでん返し」をテーマに人気作家7名が書き下ろす、スターツ出版文庫発のアンソロジー、第二弾。寂しげなクラスの女子に恋する主人公。彼だけが知らない秘密とは…(『もう一度、転入生』いぬじゅん・著)、愛情の薄い家庭で育った女子が、ある日突然たまごを産んで大パニック!(『たまご』櫻井千姫・著)ほか、手に汗握る7編を収録。恋愛、青春、ミステリー。一気読みして驚いて、また最初から読み返し…。ハッとする。グッとくる。今年一番の衝撃短編、ここに集結!
駆出しの作家だった頃の私が取り組み、完成できなかったノンフィクション。それは、ある忘れられた柔道家の型破りな半生を追ったものだった。だが、彼に寄り添う女、高校時代の恩師など、取材を進める毎にその実像はぼやけていく。一方、私と本人の間には、取材対象と取材者の垣根を越えた感情のさざ波が立ち始めー相対する二つの魂の闘争と交歓を描く。
東日本大震災の翌年、僕は京都から上京した。大学のキャンパスで出会った君は独り政治活動を行い、浮きまくっていた。啄木の歌を愛し、諳んじる僕はアニメ研究会に引きずり込まれ、ヲタと二次元の洗礼を受けつつ君に惹かれ、身を投じていく。生きにくさと時代閉塞を打破するコミカルでシリアス、一途な平成meets Revolution!平成の終わりに恋と革命に萌えた若き命。
「賜物」(1938)。フョードルはロシアからベルリンに亡命し、初の詩集を出版したばかりの文学青年。家庭教師で糊口をしのぎつつ、文学サロンに顔を出し、作家修行に励むのだが、詩集の反応は薄く、父の伝記を書こうとしては断念する。しかし転居を機に下宿先の娘ジーナと恋仲になり、19世紀の急進的思想家、チェルヌィシェフスキーの評伝に取りかかる。ナボコフの自伝的要素を含んだ、ロシア語時代の集大成となる「芸術家小説」。「父の蝶」。「賜物」の主人公フョードルが語り手となり、鱗翅学者としての父親の功績を偲ぶ、なかばエッセイのような短篇小説。父が編纂した蝶類図鑑の理想的なまでの魅力を語り、父が提唱した新たな分類学の理論を解読しながら、フョードルは亡き父の像を浮かび上がらせてゆく。「賜物」の単行本に並録する予定で執筆されたという見方が有力だが、未完成のまま遺され、ナボコフの死後、息子のドミートリイによって発表された。
過労死してしまった青年が異世界に転生。そこは魔術が存在する世界であった。双子の弟カイル、そして幼馴染の少女ルイズと共に王都の魔術学院へと入学したアインは、前世の知識を活かし新たな魔術を開発する日々を送っていた。惜しげもなく魔術を公開するアイン。しかしそれは、アインの知らないところで謎の組織の誕生へとつながっていく。そして出会う新たな人々。アインは化学の知識を活かし、異世界の流通に革命を起こしていくー。「小説家になろう」発、大人気ヒューマンファンタジー第2弾!!
異世界転生した40歳の男がなりたかったものとはなんでしょう?勇者様でしょうか?魔王様でしょうか?それともハーレムを作ること…?いいえ、男が、何がなんでもなりたかったものーそれは異世界イチの、害虫ハンターだったのです!ゴキブリもヒトデもどんと来い!全部まとめて駆除対象だぁぁぁぁ!!!エロ面白くて、ちょっぴりだけ役に立つ(?)害虫駆除ファンタジー!
かつてのパーティ仲間で恋人でもあるエルフのフィル、その妹のティル、美少女獣人のルーナ、ラルズール王国のお姫様のセレネと新たにパーティを組み、最強の冒険者をめざす中年、ユーヤ。高難易度のダンジョンに挑み、ボスモンスターを倒し、さらにレベルアップしたユーヤたちは、いよいよラルズール王国に足を踏み入れる。王国では、優勝者には王位が与えられる「継承の儀」が始まろうとしていた。ゲームの知識と鍛え抜かれた技で、三度目の人生に挑むおっさんの物語、待望の第四弾!
両親に失踪され、東京の立川市にある学生寮の管理人をすることになった僕。建物はボロボロ、寮生は奇人変人だらけ、幽霊が出る噂まであったその寮は、なんとダンジョンとつながっていた!クラスに友達は一人もいないけど、ダンジョンに行けば、モンスターを倒してレベルアップできる。スライムや女騎士、女魔法使いの友達もできた。かくして今日も放課後の異世界冒険部がはじまる!!
小説と人形と。まず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。それを受け『夜想#中川多理ー物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。さらに、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ…。母、娘、そして侍女…風景も時間も揺らぎながら紡がれていく、芳しく神々しい幻想譚。
魔獣の氾濫を乗り越えたシウに、騒がしい夏の気配が近づいてくる。消えた塊射機事件、化粧品作り騒動を経て迎えた夏休みの初日、辺境伯のキリクからデルフ国の王都で開催される「闘技大会」に誘われたのだ! リグドールやレオンはその話に興奮を隠しきれないが、当のシウはまるで興味なし……。しかし、そんな彼も会場でキアヒ達を見つけて久しぶりの再会を喜ぶ。そして異国の王子や一角獣・モノケロースとの新たな出会いもあり……? 元お爺ちゃんの少年とモフモフのスローライフ物語、第5巻!
“貴種”と呼ばれる吸血種たちを支配する上王。その宮廷で無事に伯爵位の襲爵式を終えたイオアンは、同時に公爵位を賜る。それは彼と従者ラウルにとり、宮廷内の羨望と嫉妬を浴びるだけでなく、恐ろしい陰謀に巻き込まれる始まりだった。しかも、その背後にいたのは、人間たちが信奉する教会の聖山を壊滅させた上王の叔父イリヤー異形の者と成り果てたーだった。混乱を起こし、都を蹂躙するイリヤを辛くも上王が倒し、平和が戻った矢先、彼は退位を宣言した。華麗なる新吸血鬼譚、最終巻!
一途なスパダリ実業家×美貌の天才犯罪心理学者、魅惑のミステリーラブロマンス! 若くして莫大な資産を築いた人生の成功者・音喜多だが、かつて想い人を亡くして以来、本気の恋情とは無縁に生きてきた。そんなある日、音喜多は死別した相手と酷似した顔立ちの青年と出会う。その青年・久嶋は、華奢で可憐な外見とは裏腹に、二十五歳にして博士号を三つ持ち、元FBIのアドバイザーという経歴を持つ天才だった。彼に強く惹かれた音喜多は、側に居たい一心で行動を共にするが、天才ゆえ人の心が分からないという彼に、身体だけの関係を提案されて……? BL版ホームズともいえる、読み応え抜群のミステリーラブノベルス、待望のシリーズ第2弾!
あるコンサルティング会社の男性社員が死体で発見された。その社では一人の女性社員が行方不明となっている。ほぼ時を同じくして同社の海外贈賄事件を内偵していた刑事が姿を消す。実は所轄署の刑事課長と同社社長とは、かつてある事件で刑事とネタ元という形の信頼関係を築いていた。しかも二人にはラグビーという固い絆もあった。しかし今、部下の失踪について調べる刑事課長は署長への道を探り、社長は本社役員の座を狙う。二人の道はどこへ向かうのか?二人にとっての正義とは?男たちそれぞれに決断の刻が迫る。