2019年7月発売
ラゴスからアメリカに移民した若い主人公がエクストラ・ヴァージン・オイル色の目をした白人の男の子と親しくなる表題作(「アメリカにいる、きみ」改題)のほか、「ひそかな経験」「明日は遠すぎて」など、人種、ジェンダー、家族にまつわるステレオタイプな思考を解きほぐす、天性のストーリーテラーの切なく繊細な12の短篇。
幸せな時間はそう長く続かない。婚約者のダーシーと二人で結婚式の計画を立てながら過ごす夢のような時間はあっという間に過ぎ去り、彼はまたふたたびどこかへ旅立ってしまった。残されたジョージーは、王妃さまから与えられた任務を果たすため、たった一人でイタリアへ渡ることに。さっさと極秘任務を済ませて、彼の地でちょうど出産を迎えようとしている親友ベリンダを手助けする…はずだった。ところが、各国の要人が集まるイタリアの大豪邸で殺人事件に巻きこまれ、完全に足止めされてしまい…!?戦争の足音が聞こえはじめた欧州で、歴史を揺るがすかもしれない重要な場面に遭遇したジョージーの運命は!
貴婦人のコンパニオンを勤めるフレイヤは、没落した公爵家の娘で、実はイングランドの女性の自由を守る秘密結社“ワイズ・ウーマン”のメンバー。ある任務を果たす最中、ハーロウ公爵クリストファーに15年ぶりに再会する。幼い頃フレイヤは家族が離散する憂き目に遭ったが、その原因となる事件に関わったのが彼だった。一方クリストファーは、突然馬車に乗り込んできた女性が、なぜ憎しみの目を向けてくるのか不審に思う。その夜以来、気づけば彼女のことばかり考えていた。二週間後、パーティで顔を合わせた二人。クリストファーの手には、フレイヤの兄がかつて身につけていた指輪が光っている。彼は兄の親友だったのだ。それなのに…真相を知ろうとするうち、いつしか二人は情熱のうずに巻き込まれていく。“グレイコート”シリーズ第一弾。
製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。
明治維新で没落した大阪の与力の跡取り錬一郎は、幼いころより丁稚奉公に出され商人として育てられる。それでも士族の誇りを失わない錬一郎は周囲の人間から「へぼ侍」と揶揄されていた。1877年、西南戦争が勃発すると官軍は元士族を「壮兵」として徴募、武功をたてれば仕官の道も開けると考えた錬一郎は意気込んでそれに参加する。しかし、彼を待っていたのはひと癖もふた癖もある厄介者ばかりの部隊だったー。落ちこぼれ兵士たちの活躍を描く痛快歴史エンターテイメント開幕。松本清張賞受賞作。
ピンチョンが描き出す越境的彷徨の軌跡。主流派から排除された選びに与れぬ者たちの系譜と、システムに抗う生を論じる。
主人公・遠山町子は煙草屋の雇われ店主をしながら父親と弟の家族三人で慎ましやかに暮らしている。そんな健気な彼女の姿に惹かれる男性が二人現れ「恋物語」として進んでいくかに思えた話は、恋敵の横槍、そして、父のある行動から起きた事件をきっかけに急展開。仕事も恋も二転三転、想像もしなかった方向へ動き始めた町子の人生に衝撃の結末が待っていた。
城の地下牢に囚われた女、名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵、いつ終わるとも知れぬ裁判、頭の中の機械、精神療養所のテラスで人形劇じみた場面を演じる人々…。自身の入院体験にもとづく表題作をはじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作。
長年、戦争を続ける人族と魔族。人族の象徴となる“勇者”の称号を新しく授かったのは、たった6歳の少年だった。お飾りとして扱われても、足手まといと思われても、少年ユリウスは、人を救う為に一心に奔走した。人身売買組織の摘発、各国の魔物討伐、宿敵であるはずの魔族から請けた「魔王暗殺」の依頼…。のちに、誰もが彼を愛し、彼こそが人類の希望だと信じた。幼き勇者の茨の道が、いま明かされるー!
食材を採取できるダンジョンに連れてきてもらった悠利は、鑑定技能(スキル)の無駄遣いをしながら目当ての品を次々ゲット! その途中、不思議な子供に出会い何故かお菓子を振る舞うことになった結果、懐かれて!?
“復元”を最強スキルに育て上げ、25年目にして名を馳せつつあるトール。赤鉄級に昇格し、ひょんなことから若返った大家・ユーリルを仲間に加え、次の狩場・血流しの川へ挑む。だがそこは、冒険者局の過剰な管理体制によって閉塞した環境だった。悩むトールたちの前に、はぐれ者の冒険者・ロロルフたちがとっておきの秘密を持ち込んでくる。どうやら現状に風穴を空けるためにはトールのスキルーではなく、“スライム退治の腕”が必須なようで…!?
魔王を一人で暗殺し、伝説と呼ばれた最強の暗殺者ロラン。手にしたことのない「普通」を目指し、ギルド職員としての生活をスタートさせたロランだったが、最強基準の常識は世間とかけ離れたものばかり。そんな彼のもとには、今日も難題ばかりが訪れる。国王から名指しで王女の護衛依頼があったり、奴隷娘を凄腕冒険者に育て上げることになったり、王都での職員研修で魔法理論に革命を起こしたりーロランの求める普通の日常は、果たしてやってくるのか!?
会社から帰宅した佐藤孝弘は、今日もいつも通りお気に入りのゲーム(ランカーになる位はやりこんだ)をして、ベッドに入った。が、目覚めると暗闇…というか宇宙船の中!?お約束のように野良の宙賊に襲われるも、ゲームの中で自分が超強化した愛機そっくりな船のお陰で瞬殺!どうやら、俺はゲームに似た時空にいるらしい。でも、これなら傭兵稼業で金には困らないし、家でも買ってのんびり暮らすかーと思ったら、無一文の美少女を拾ってしまい…?
ギルドセイバーと協力し、進化する『名前つき』を撃破したアリヒトたち。この功績で『奨励探索者』となった一行は、その特典であるギルドの保養地の使用権を使って、迷宮国に転生してから初の休日を満喫することに。普段と違う仲間の姿に驚き、ハプニングに巻き込まれながらも絆を深め、新たな力も手に入れたアリヒトだったが、その裏では、エリーティアがかつて所属していた『白夜旅団』の刺客が『後衛』の能力を狙って忍び寄っておりー。
魔石から魔物の能力を吸収する力で、海龍を単騎討伐し、民には英雄として慕われ、国王からは名代として外交を任されるまでに成長したアイン。しかし貿易交渉の帰路、その身に宿る魔物の力が制御不能になってしまった…!?その原因を求めて、最先端の研究都市イストを訪れるが…折角なら楽しみたいよね!そして始まる調査と観光を兼ねたお忍び旅行で、能力の真相とイストの闇に迫ることにー。「王」を目指す少年の力の秘密が暴かれる、波乱の第三巻!