2019年7月発売
休暇を過ごすために現世にやってきた地獄の大王閻魔様。大央炎真と名乗り、秘書の小野篁と吉祥寺で暮らしはじめるが、迷える死者を成仏させたり、悪い生者を成敗したり、大家の地蔵菩薩にこき使われたりと、ちっとも癒されない毎日を送っている。ある日、知り合いの少年から「幽霊のような黒い犬」を見たと教えられた炎真。さらに遺体に噛み傷がある殺人事件が起きてー?思い出の味を再現できずに嘆く漫画家の話、奇妙な屋敷に入り込んでしまった図書館の読み聞かせ係の一夜など五話を収録した、地獄行き事件解決録。シリーズ第三弾登場!
この本を読んではいけないー奇妙な警告文の挟まれた古書がオカルト雑誌の編集部に持ち込まれた。古書の持ち主だった兄が数カ月前に失踪し、現在も行方不明だと竹里あやめは訴える。フリーライターの八坂駿がその本を読み進めるに従い、周囲で不気味な出来事が続く。いたずら?狂言?それとも…。八坂はペアを組むカメラマンの篠宮、依頼人のあやめとともに、古書の謎を追う。
マンションで転落死と思われる男性の死体が発見された。死亡した男は、大物政治家が絡む贈収賄事件の重要参考人だった。さらには政治家の公設第一秘書、私設秘書も変死。自殺として処理するように圧力がかかる中、葛木が極秘裏に捜査を開始すると、予想だにしない黒幕が浮かび上がってきて…。政治が真実を闇に葬ろうとするとき、所轄は警察の矜持を保つことができるのか?
紀州雑賀、太田左近の娘・蛍は、射撃術の研鑽に生涯をかける女。秀吉に太田城を水攻めで落とされ、父母姉妹と一族を失った。秀吉への復讐を誓い、新開発の鋼輪銃を手に戦場を駆ける。徹底的に豊家に敵対する蛍は、義なき朝鮮出兵に抗うため半島に渡り義勇兵として日本軍と戦うことに…。そして関ヶ原での因縁の対決の行方は!?戦国を鮮烈に駆け抜けた女鉄砲撃ち再び。
突然縁談を白紙に戻されたおりよ。相手は小間物屋「近江屋」の跡取り息子。それでもおりよと父は近江屋へつまみ細工の簪を納め続けていた。おりよは悔しさを押し殺し、手に残る感覚を頼りに仕事に没頭する。どうしてあたしだけ?そもそも視力を失ったのは、あの花火のせいだったー(「闇に咲く」)。三河、甲斐、長崎、長岡、江戸を舞台に、花火が織りなす人間模様を描いた珠玉の時代小説。
旗本と町人が下谷車坂町で斬殺された。旗本は一太刀のもとに斬られ、町人は短刀で刺されていた。異なる得物は下手人が複数いると暗示していた。銀次は探索に乗り出す。死んだ二人は博奕好きで、浅草界隈の賭場に出入りしていた。旗本は賭場を「怖い赤鬼のいるところ」と話していたらしい。数日後、浅草の岡っ引きが斬り殺された。「赤鬼」を追って聞き込みの最中だったという。
理不尽な要求をする客と無茶な仕事を押しつける酷い上司に我慢が出来ず、五年勤めた会社に辞表を突きつけたミノリ。この先、どうしようかと思案していたときに入り込んだ神社で「巫女募集」の貼り紙を見つけ、飛びついた。同じ頃、キャバクラ勤めの生活に不安を抱えていた李花は、神主に一目惚れし、「巫女募集」に応募する。ミノリと李花、二人が直面する参拝者たちの様々な事情とは…。
野島芳生は社会心理学科の准教授今井由里子の研究室へ見学に行くため、東央大学渋谷キャンパスを歩いていた。すると人だかりが出来ていて、何事かと事情を聞いてみると女子トイレが盗撮されたらしい。容疑者は猿顔を真っ赤にしながら無実を叫んでいる。研究室に着くと、先程の猿顔は富岡といい、ここの学生だとわかる。状況と事情を聴いただけで、由里子は富岡の無実を証明するという…。
勘定所勤めながら不得手の算術に四苦八苦し、家付き嫁の佐和の尻に敷かれる辛い日々を送る笠井半蔵。登城中の勘定奉行を刺客の襲撃から救ったことで、幕閣の影の警固を命じられた。勘定所への出仕は猶予され、影の御用に励むよう勘定奉行より命が下されるが、半蔵は家業をおろそかにすることに悩むのだった。そんなとき、警護先の矢部定謙が何者かに拉致されたのだ!好評シリーズ第二弾。
棟続きの家に住む二組の夫婦。戸口の梶の花のにおいに心乱され不審な行動をとる更善無を、隣家の女、虚汝華が覗き見ていた。その夫、老況は生活能力のない男で、しじゅう空豆を食べている。二つの家の間に漲る敵意と疑念。ある夜、梶の花の残り香の中で更善無と隣家の女は同じ夢を見た…。奇怪なイメージと支離滅裂な出来事の連鎖が深い衝撃を呼ぶ中篇「蒼老たる浮雲」に、初期短篇3作を併録した残雪作品集。
主人公が初めて“勇者”になったのは15歳。ある日突然、「謎の存在」により、異世界に飛ばされた。以来10年、さまざまな異世界に送り込まれては、その世界を救ってきた。今回、通算13番目となる異世界の敵は、高度な文明を築き、地力に勝るオーク達で、人類の大きな脅威となっていた。しかも敵のオークには、“黒犬”と言われる相当頭が切れる将がいる。これまで12回、都度異なる世界を救った主人公は今回、この絶望的な状況をどう打破するのだろうか!?
人として森の妖精属・コボルドと信頼を重ね友情を築き、遂には王として受け入れられた元騎士団長・ガイウス=ベルダラス。彼は人間による森への過度の「干渉という名の侵略」を懸念していた。そこでガイウスは、彼を慕って森へとやってきた元部下のサーシャリア=デナンの協力を得て防衛力の強化を試みる。だが人間達は、魔術を使ってまでもコボルドを、そしてガイウスを執拗に襲撃する。はたして、コボルド王国の命運や如何にー。種族間を越えた友情を描き話題騒然となった優しき王の物語、待望のシリーズ第2巻!
英雄パンゼルとミノタウロスの戦いは、あと一撃でパンゼルが勝利を収めるはずだったが、思わぬ事態が発生し、勝負はお預けとなった。そしてパンゼルは、メルクリウス家と王国の危機を救うため、迷宮を後にするのだった。それから幾年月が過ぎてもミノタウロスは未だ健在で、モンスターや時折訪れる冒険者と戦っては、おのれの技量をひたすら磨き続けていた。そんな折、メルクリウス家から一人の少年が修行の旅に出た。想像を絶する旅を潜り抜け、少年は成長していく。少年の名はザーラ。誰あろう、英雄パンゼルの息子だった。
ある日突然戦争が始まった。ソウルが陥落。砲弾に追われ、行き場を失った人々は逃げ惑う。夫が北に去ったあと、社長秘書とは名ばかりの愛人として生きるスンジェと婚約まで考えた彼女がいるヨンシクの道ならぬ恋の行方は…。戦争によって運命を狂わされていく人々の姿を描く韓国の文豪廉想渉の長編小説。