2019年7月発売
和カフェの店主は、幼なじみの拝み屋さん 結婚予定の恋人と、天職だと思っていた仕事をいっぺんに失った、不運すぎるアラサー女子の藤堂朱音は、傷心を抱えて東京から地元・仙台へと戻ってきた。ところが久しぶりに帰った実家はもぬけの殻で、両親とは連絡がとれない上に、二人そろって海外へ長旅に出かけたらしいと知り、朱音は途方に暮れる。 そこへ救いの手を差しのべたのは、幼なじみで少し意地悪な金ケ崎玲二。実は彼は、朱音の祖父母宅をリフォームして「巡縁堂」という和カフェを始めることにした店主兼オーナーで、不可思議な現象に悩む人々を救う「拝み屋」でもあるのだという。 巡縁堂は「憑かれた」者たちを救う駆け込み寺だと豪語する幼なじみを、「詐欺師なんじゃないか」と疑う朱音だったが、玲二の作る優しい料理に癒やされ、ついでに厄介な「憑きもの」も落とされて、やがて信じるように。 あれよあれよという間に、なぜか助手として彼の仕事を手伝うことになってしまい……? 【編集担当からのおすすめ情報】 カバーイラスト:YANAMi
吉祥寺に住む閻魔大王、迷える魂を救う!? 休日を過ごすために現世にやってきた地獄の大王閻魔さま。人間の姿になって大央炎真と名乗り、地蔵菩薩が管理する吉祥寺のアパートで、秘書の小野篁とともに暮らしはじめる。だが、さ迷う死者を見つければ成仏できるように導いたり、悪い心に囚われた生者に会えば思わず成敗してみたり。地蔵菩薩にもこき使われて、ちっとも癒されない毎日だ。 そんなある日、地獄で記録係を務める司録と司命に請われて井の頭公園に遊びにきた炎真は、現世に来てから知り合った少年に『幽霊のような黒い犬』を見たと教えられる。さらに炎真は新聞で、遺体に噛み傷がある殺人事件の記事を見つけるが……。 超がつくほどの犬好きで世話焼きな小野篁、しょっちゅう現世にやってきては炎真におねだりをする記録係のお子様ズ・司録と司命、スイーツをエサに炎真を振り回すイケズな地蔵菩薩。個性的な周囲の面々も揃って、にぎやかに繰り広げられる地獄行き事件解決録、第三弾登場! 思い出の味を再現できずに嘆く漫画家の話、奇妙な屋敷に入り込んでしまった図書館の読み聞かせ係の一夜など、四つの物語を収録。残り少ない休暇だけれど、炎真は今日も大忙し!?
この本を読んではいけないーー 奇妙な警告文の挟まれた古書が オカルト雑誌の編集部に持ち込まれた。 古書の持ち主だった兄が数カ月前に失踪し、 現在も行方不明だと竹里あやめは訴える。 フリーライターの八坂駿が その本を少しずつ読み始めると、 周囲で不気味な出来事が続く。 いたずら? 狂言? それとも……。 八坂はペアを組むカメラマンの篠宮、 依頼人のあやめとともに、古書の謎を追う。 大好評「法医昆虫学捜査官」シリーズの 著者による新機軸ミステリー! <目次> 第一章 日陰の吹き溜まり 第二章 極上の料理とエス 第三章 狂気は晩餐とともに 第四章 ごきげんよう、さようなら 第五章 恐怖はどんな感じだ? 解説 西田藍
マンションで転落死と思われる男性の死体が発見された。死亡した男は、大物政治家が絡む贈収賄事件の重要参考人だった。さらには政治家の公設第一秘書、私設秘書も変死。自殺として処理するように圧力がかかる中、葛木が極秘裏に捜査を開始すると、予想だにしない黒幕が浮かび上がってきて…。政治が真実を闇に葬ろうとするとき、所轄は警察の矜持を保つことができるのか?
紀州雑賀、太田左近の娘・蛍は、射撃術の研鑽に生涯をかける女。秀吉に太田城を水攻めで落とされ、父母姉妹と一族を失った。秀吉への復讐を誓い、新開発の鋼輪銃を手に戦場を駆ける。徹底的に豊家に敵対する蛍は、義なき朝鮮出兵に抗うため半島に渡り義勇兵として日本軍と戦うことに…。そして関ヶ原での因縁の対決の行方は!?戦国を鮮烈に駆け抜けた女鉄砲撃ち再び。
突然縁談を白紙に戻されたおりよ。相手は小間物屋「近江屋」の跡取り息子。それでもおりよと父は近江屋へつまみ細工の簪を納め続けていた。おりよは悔しさを押し殺し、手に残る感覚を頼りに仕事に没頭する。どうしてあたしだけ?そもそも視力を失ったのは、あの花火のせいだったー(「闇に咲く」)。三河、甲斐、長崎、長岡、江戸を舞台に、花火が織りなす人間模様を描いた珠玉の時代小説。
旗本と町人が下谷車坂町で斬殺された。旗本は一太刀のもとに斬られ、町人は短刀で刺されていた。異なる得物は下手人が複数いると暗示していた。銀次は探索に乗り出す。死んだ二人は博奕好きで、浅草界隈の賭場に出入りしていた。旗本は賭場を「怖い赤鬼のいるところ」と話していたらしい。数日後、浅草の岡っ引きが斬り殺された。「赤鬼」を追って聞き込みの最中だったという。
理不尽な要求をする客と無茶な仕事を押しつける酷い上司に我慢が出来ず、五年勤めた会社に辞表を突きつけたミノリ。この先、どうしようかと思案していたときに入り込んだ神社で「巫女募集」の貼り紙を見つけ、飛びついた。同じ頃、キャバクラ勤めの生活に不安を抱えていた李花は、神主に一目惚れし、「巫女募集」に応募する。ミノリと李花、二人が直面する参拝者たちの様々な事情とは…。
美しい女性准教授は、 「随分と頭の鈍い生徒ね」 呆れ顔で言い放ち、 数々の事件を解き明かす。 研究室訪問のために野島芳生は、東央大学渋谷キャンパスを歩いていた。 見学にいく研究室に向かう最中、ある人だかりが道を阻む。 何事かと事情を聞いてみると女子トイレが盗撮されたらしい。 そんな人混みの中から声が聞こえた。 容疑者は猿顔を真っ赤にしながら無実を叫んでいた。 どうやら、その猿顔の男子学生・富岡は見学に行った今井研究室の学生らしい。 研究室のボス由里子は富岡の無実を半分だけ信じ、仕方なく無実の証明をするために立ち上がった! プロローグ 学生はいつも後の祭り 怪談話にも三分の理 好奇心は猫を起こす 藪をつついて変質者を呼ぶ 二十歳過ぎても駄目な人 学生は三日経てば教訓も忘れる エピローグ
勘定所勤めながら不得手の算術に四苦八苦し、家付き嫁の佐和の尻に敷かれる辛い日々を送る笠井半蔵。登城中の勘定奉行を刺客の襲撃から救ったことで、幕閣の影の警固を命じられた。勘定所への出仕は猶予され、影の御用に励むよう勘定奉行より命が下されるが、半蔵は家業をおろそかにすることに悩むのだった。そんなとき、警護先の矢部定謙が何者かに拉致されたのだ!好評シリーズ第二弾。
大学生の誠太は、国連の秘密機関から、原爆が投下される前に戦争を終わらせるという使命を受けて、80年前にタイムスリップする。 そこは、太平洋戦争末期の東京。誠太は、このまま戦争を続ければ日本がどうなるかを協力者である海軍大臣の米内に伝えれば、すぐにでも戦争は終わると思っていた。しかし、協力者の米内でさえ、現代を生きる誠太とは価値観が全く異なっていた。軍の多くの指導者や将校は、本土決戦を叫んでいた。誠太の前には、思いもよらない多くの壁が立ちはだかっていたのだ。 また、誠太自身の心も揺れ動く。食糧も物資も乏しい生活の中でひたむきに生きる人々の姿を目にし、背負った使命と、日本人、人としての想いの狭間で苦しむことになる。 様々な想いが交錯し、戦争終結の展望が開けない中、戦況は史実通り悪化してゆく。大規模な本土空襲の恐怖も忍び寄ってくる。果たして誠太は使命を果たせるのか? 日本の運命は、世界の未来はーー。 80年前の東京やそこに生きる人々の描写はリアルで、当時の緊迫感が伝わってくる。読者自身がタイムスリップしたかのような感覚にとらわれることだろう。 戦争の愚かさや平和の尊さだけでなく、現代を生きる私達にも通じる、人と人との絆、広い視野の大切さについても考えさせられる物語。
遥かな風の夜の悪夢にも似た不思議な小説 棟続きの家に住む二組の夫婦。戸口の梶の花のにおいに心乱された更善無(コンシャンウー)は、隣家の女、虚汝華(シュイルーホア)に怪しげな挙動を覗き見られて動揺する。虚汝華の夫の老况(ラオコアン)は生活能力のない男で、しじゅう空豆を食べている。女房の好物は酢漬けきゅうり。家の中では虫が次から次へと沸いて出て、虚汝華は殺虫剤をまくのに余念がない。ある夜、梶の花の残り香の中で、更善無と隣家の女は同じ夢を見た……。髪の毛が生える木、血のように赤い太陽、夥しい蛾や蚊、鼠。死んだ雀。腐った花の匂い。異様なイメージと夢の中のように支離滅裂な出来事の連鎖が衝撃を呼ぶ中篇『蒼老たる浮雲』に、初期短篇「山の上の小屋」「天窓」「わたしの、あの世界でのこと」を収録。アヴァンギャルドな文体によって既存の文学の枠組を打ち破り、現代中国の社会と精神の構図を深い闇の底から浮かび上がらせた残雪(ツァンシュエ)作品集。
主人公が初めて“勇者”になったのは15歳。ある日突然、「謎の存在」により異世界へと飛ばされた。いきなり勇者になった主人公は厳しい冒険の末、魔王を討伐。以来十年、気まぐれにさまざまな異世界に送り込まれては、その世界を救ってきた。今回、通算十三番目となる異世界の敵は、高度な文明を築き、地力に勝るオーク達で、人類の大きな脅威となっていた。しかも敵のオークの中には、<黒犬>と言われる相当頭が切れる将がいる。これまで十二回、都度異なる世界を救った主人公ははたして、この絶望的な状況を打破できるのだろうか!?
人として森の妖精属・コボルドと信頼を重ね友情を築き、遂には王として受け入れられた元騎士団長・ガイウス=ベルダラス。彼は人間による森への過度の「干渉という名の侵略」を懸念していた。そこでガイウスは、彼を慕って森へとやってきた元部下のサーシャリア=デナンの協力を得て防衛力の強化を試みる。だが人間達は、魔術を使ってまでもコボルドを、そしてガイウスを執拗に襲撃する。はたして、コボルド王国の命運や如何にー。種族間を越えた友情を描き話題騒然となった優しき王の物語、待望のシリーズ第2巻!
ミノタウロス討伐の勅命を受けた騎士パンゼル。あと一撃でミノタウロスを葬り去れるはずだったが、思わぬ事態が発生し、勝負はお預けとなった。そしてパンゼルは、自身を育ててくれたメルクリウス家と王国の危機を救うため、サザードン迷宮を後にするのだった。 それから幾年月。ミノタウロスは未だ迷宮の奥深くに健在で、モンスターや時折訪れる人間の冒険者と戦っては、おのれの技量をひたすら磨き続けていた。そんな折、メルクリウス家から一人の少年が修行の旅に出た。豪雪吹雪く雪原や山脈、海の神殿など王国とはかけ離れた世界を見分し、想像を絶する要害を潜り抜け、見たこともないモンスターと戦い、様々な人たちと巡り合いながら、少年は成長していくのだった。 少年の名はザーラといった。誰あろう、英雄パンゼルの息子である。
南北に分断された朝鮮半島で1950年6月25日、北が南に攻め入り、一時的にソウルが陥落。 戦争に振り回されながらもしぶとく生きる人々の実態を描いた本作品は 時代を超えて、今も生々しく、新鮮だ。 ある日突然戦争が始まった。ソウルが陥落。砲弾に追われ、 行き場を失った人々は逃げ惑う。 夫が北に去ったあと、社長秘書とは名ばかりの愛人として生きるスンジェと、婚約まで考えた彼女がいるヨンシクの道ならぬ恋の行方は……。 戦争によって運命を狂わされていく人々の姿を描く韓国の文豪廉想渉の長編小説。 絶壁 宿命の朝 真空の炸裂 銃声に目覚めた心 反感 攻勢 移動戦線 潜伏 混乱 捜索 逃避行の一日 災難 出発の前 待望の中秋節 拉致 天を衝く火柱 解放の足跡 奇跡 彷徨の三叉路 再び出で立つ流浪の道 「驟雨」解説