2019年8月発売
故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。
江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で、終戦直後の昭和二十年九月に血腥い大量斬殺事件が発生した。軍人くずれの無頼の徒が楼を襲撃、出入り口も窓も封鎖されて密室状態となった中で乱暴狼藉の限りを尽くす五人の男たちを、一瞬にして斬り殺した謎の美剣士。それは盲剣楼の庭先の祠に祀られた伝説の剣客“盲剣さま”だったのか?七十余年を経て起きた誘拐事件をきっかけに、驚くべき真相が明かされる!?
61歳の菊池功太郎は息子夫婦と同居し、落ち着いた日々を送っていた。そんな功太郎だったが、職場のOL・七海の相談にのってあげたことから好意を持たれ、ベッドインすることに。だが、一物が勃起せず未遂に終わる。落胆する功太郎だったが、この件を息子の嫁の暁子に話すと、「お義父さまには元気でいてほしいから」と、彼女が協力を申し出る。暁子による淫らなレッスンのおかげで、功太郎は性力を甦らせ、七海との関係も上手くいきはじめる。しかし、功太郎の中では暁子への欲望が大きくなっていた…!?禁断回春ロマンの新傑作。
“あなたが心から食べたいものはなんですか?”--味オンチと彼氏に振られ、内定先の倒産と不幸続きの大学生・結(むすび)。そんな彼女がたどり着いたのは「おまかせで」と注文すると、望み通りのメニューを提供してくれる『こころ食堂』。店主の一心(いっしん)が振舞ったのは、むかし結の祖母が作ってくれた思い出の“焼きおにぎり”。懐かしい味に心を解かれ、結は食欲を取り戻す。不器用で優しい店主と、お節介な商店街メンバーに囲まれて、結はここで働きたいと思うようになり…。読めば元気が沸いてくる1冊!
やりたいことがない“無気力女子高生”いくる。ある日、課題をやらなかった罰として1カ月ボランティア部に入部することに。そこで部長・有馬と出会う。『聖人』と呼ばれ、精一杯人に尽くす彼とは対立ばかりのいくるだったが、ある日、有馬の秘密を知り…。「僕は、人の命を食べて生きている」-1日1日を必死に生きる有馬と、1日も早く死にたいいくる。正反対のふたりが最後に見つける“生きる意味”とは…?魂の叫びに心揺さぶられる感動作!!
彼氏に浮気され、上司にいびられ、心も体もヘトヘトのOL・早苗。ある日の仕事帰り、不思議な猫に連れられた先には、立派な洋館に緑生い茂る庭、そしてイケメン店長・要がいる週末限定のカフェがあった!一人ひとりに合わせたハーブティーと、聞き上手な要との時間に心も体も癒される早苗。でも、要には意外過ぎる裏の顔があって…!?「早苗さんは、特別なお客様です」日々に疲れたOLと、ゆるふわ店長のときめく(?)週末の、はじまりはじまり。
家族を失い、人と関わらず生きる高1の僕は、モノクロの絵ばかりを描く日々。そこへ不思議な雰囲気を纏った美少女・水無瀬月(ゆえ)が現れる。絵を前に静かに微笑む姿に、僕は次第に惹かれていく。しかし彼女の視界からはすべての色が失われ、さらに “ 幸せになればなるほど死に近づく”という運命を背負っていた。「君を失いたくないー」彼女の世界を再び輝かせるため、僕はある行動に出ることに…。満月の夜の切なすぎるラストに、心打たれる感動作!
「明治維新」の裏面?実は本性!亡霊となった明治天皇の父・孝明天皇を先導役に「近代」初頭からの侵略の事実と迫り残虐非道に抹殺された人びとに想いを致す「反帝ドキュメンタリー・ノベル」。
大伴旅人、山上憶良ら九州を代表する、官人歌人三十二名が「梅花」を主題に我が国において空前絶後の歌宴を催した。万葉集誕生の秘密に迫る歴史浪漫シリーズ。
邪神によって異世界にハルトとして転生させられた西条遥人。転生の際、彼はチート能力を与えられるどころか、ステータスが初期値のまま固定される呪いをかけられてしまう。頑張っても成長できないことに一度は絶望するハルトだったが、どれだけ魔法を使ってもMPが10のまま固定…つまりMP10以下の魔法であればいくらでも使えることに気づく。ステータスが固定される呪いを利用して下級魔法を無限に組み合わせ、究極魔法よりも強い下級魔法を使えるようになったハルトは、専属メイドのティナやチート級な強さを持つクラスメイトといっしょに楽しい学園生活を送りながら最強のレベル1を目指していく!第7回ネット小説大賞受賞作。
夜の住宅街で大学生が撲殺された。目撃証言と凶器に残った指紋、傷害事件の前歴から、すぐに割り出された容疑者・倉田。だが、捜査に乗り出した船橋署の刑事らは、殺人とは縁遠い倉田の愚直で禁欲的な素顔に違和感を抱く。さらに、背後には海水浴場で起きた不審死と連続婦女暴行という、日時も場所も異なる2つの事件が複雑に絡み合っていることが判明する。そんな中、捜査本部に圧力がかかり……。
『三匹の子豚』の朝ドラ化により、再び脚光を浴びることになった脚本家の斉川亜樹。母親がうわごとのように「誰か、あたしの人生を“朝ドラ”にしてくれないかしら」と言っていたことを思い出し、それは母親、ひいては祖母からつながる呪縛だった、と思い至る。そんなある日、彼女のもとに役所から郵便が届く。亜樹の叔母だという赤松三代子の扶養義務についてだった。そんな人物は聞いたこともない…。人生の絶頂にいると思っていた亜樹の目の前に、不吉な黒い点が広がっていく。
アニメーションにしかできない表現を求めてーアニメーターへの憧れを胸に上京し、アニメーション制作の現場へ飛び込んだ奥原なつ。生き別れた家族との再会や人間味あふれる新宿の人々との出会いを経て、個性豊かなアニメ仲間たちと切磋琢磨しながら女性アニメーターとして成長していくー。夢と冒険、愛と感動のドラマ、ここに堂々完結!
映画化決定!! 監督:李相日 主演:広瀬すず 松坂桃李 横浜流星 多部未華子ほか出演 2022年公開予定 2020年本屋大賞受賞作 せっかくの善意をわたしは捨てていく。 そんなものでは、わたしはかけらも救われない。 愛ではない。けれどそばにいたい。 新しい人間関係への旅立ちを描き、 実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。 あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたいーー。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
『吸血鬼ドラキュラ』に代表される西洋怪奇小説の紹介と翻訳、洒脱な語り口のエッセーに至るまで、その多才を以て本邦における怪奇翻訳の礎を築いた巨匠・平井呈一。名訳として知られるラヴクラフト「アウトサイダー」ほか、ポリドリ「吸血鬼」、ベリスフォード「のど斬り農場」等この分野のマスターピースたる13篇に、対談やエッセー・書評を付して贈る、怪奇小説読者必携の一冊。