2019年9月発売
お姉ちゃんが死んだ。首をつって。あたしと二人で暮らしていたマンションの自分の部屋で。姉の明香里は三つ違いで、きれいで、成績も良く、両親にとって自慢の娘だった。社会人二年目で、仕事も順調そうだったのに何故?姉の携帯に残されていた四人の男のアドレスとメッセージ。妹の穂乃花は、姉のことを知るために彼らに会いに行く。待ち受ける衝撃のラストに、あなたは愕然とする!
天を衝く巨大な樹々、大地を埋め尽くす深い緑をわずかに切り開き、人間たちは細々と生きてきた。森林保護者は、その樹海の住人というべき害獣・害虫の異常繁殖、疫病の蔓延、食糧不足、あらゆる脅威から文明社会を護る職業だ。その一人、フェイはある目的のため、危険と隣り合わせの旅を続けている。ある日、息子を正体不明の獣に殺された地主が、そいつを捕らえるように依頼してきた。
見合いで結婚した夫には好きな人がいた。十年も前から、今も続いている。その事実を知っても、平凡な主婦の華美には、別れて自力で生きていくことが出来ない。そんな彼女の癒やしは、絵を描くことだけだった。ある日、自分のデジカメに撮った覚えのない少年と、彼が書いたと思われる詩が写っているのを見つける。その少年にひかれ、恋をした時、運命は、とんでもない方向へ動き始めた…。
筒井康隆の世紀の奇書が“定本”として三十七年ぶりに復刊!“ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み…”ジャズ・スキャットで使われるバブリングを駆使し、奇想天外なパロディ聖書として読書界を驚倒させた表題作ほか、初刊文庫で未収録だった実験作品「上下左右」(イラストは雑誌掲載時の真鍋博)を収録した完全版。書下しの自作解説を併録。全十篇。
十津川警部の妻・直子は叔母と石川県の和倉温泉に出かけ、海に身を投げた橋本ゆきを助けた。恋人に死なれ後を追おうとしたのだという。が、直子が目撃した、ゆきの不審な行動。のと鉄道に乗って恋路駅に行き、待合室においてある「思い出ノート」の一ページを破り取って燃やしたのだ!一カ月半後、ゆきと婚約していたという資産家が失踪し、やがて遺体が発見された!?不朽の傑作集。
大名家のお抱え絵師だった葛幸助は、今、大坂の福島羅漢まえにある「日暮らし長屋」に逼塞中だ。貧乏神と呼ばれ、筆作りの内職で糊口を凌ぐ日々。この暮らしは、部屋に掛かる絵に封じられた瘟鬼(厄病神)のせいらしいのだが、幸助は追い出そうともせず呑気に同居している。厄病神が次々呼び寄せる事件に、福の神と呼ばれる謎の若旦那や丁稚の亀吉とともに、幸助は朗らかに立ち向う。
フランスの文豪バルザックの「恋」をテーマにした三つの短編作品を、『物語フランス革命』の安達正勝による訳と、『摩利と新吾』『杖と翼』の木原敏江による描き下ろしイラストで送る、豪華美麗でエレガントなイラスト絵本!
詩の朗読、ダンス、刺繍などのコンテストが行われるウェールズ伝統の芸術祭が近づいてきた。村の男たちは聖歌隊を組んで合唱コンテストに参加することに。もちろん、エヴァンも引きずり込まれていた。うまくはないけれど練習後のビールを楽しみに歌っていたところ、静養のために村にやってきた有名なオペラ歌手がメンバーに加わることになった。陽気で酒好きな彼は村じゅうから歓迎されたが、だんだんと困ったところが目立ちはじめる。練習に遅刻してきたり、聖歌隊の指揮者をからかってふざけたり、彼の滞在先からは昼も夜も大音量の歌声が聞こえてきたり…そしてついにコンテストの前日リハーサルに彼がやってこなくて!?
妹が駆け落ちしたうえ、自分についてもあらぬ噂を立てられ、社交界に出られなくなったクロエ。家にも居づらく、今は祖母の親友である公爵夫人の家に身を寄せていた。ある日、公爵夫人が孫のベリック伯爵を家に呼び、祖父の元気なうちに身を固めるよう説き伏せる。偶然居合わせたクロエは、伯爵が結婚に乗り気でないことを知る。伯爵はかつて、ナポレオン戦争に友人を誘って出征した。しかし友人は戦士し、自分だけが大きな怪我を負いながらも生き残ってしまったことに負い目を感じており、幸せになることなどできないと考えていた。彼の影が気になりながらも、クロエは自分との便宜結婚をもちかける。愛など求めていないからと…。魂の癒しと再生を描く“サバイバーズ・クラブ”シリーズ第5弾!
江戸へ戻るや否や、将軍家斎の命により、神君家康公の「拝領猿」を取り戻し、二百年前の罠を見事に解決した正義の浪人若殿・松平竜之介。やっと平穏な生活に戻れると思いきや、信じ難い事件が江戸を震撼させる。「羅切魔」と呼ばれる集団が、なぜか“立派なもの”をもつ男を次々に斬殺しているというのだ。しかもこの悪党は、富商も襲い、「赤地蔵」を奪っているという。果たして目的の異なる二つの事件の共通点とは?そこには、邪教団の恐るべき野望が…。日の本一の艶福家・竜之介は、ついに自らが的となって、最凶の外道に相見える!
幕府を私物化する田ノ倉恒行を老中の座から引きずり下ろすため、四人の配下とともにその悪政の証を立てようとする隠居大名・朧月寒山。寒山は十年前、田ノ倉の謀略によって改易されるという遺恨を持っていた。だが、彼らの仕掛けは田ノ倉を追い詰めるものの、いつもすんでのことで逃げられてしまう。ある日、奇しくも、大川で何者かに襲われようとしていた田ノ倉を救う結果となった寒山たち。事件は寒山に、田ノ倉憎しは自分たちだけではないと知らしめることになったのだ。寒山は、田ノ倉を襲ったのが誰の手のものか調べはじめるが、その背後には思いもかけない大物の名が…。書下ろし長編時代小説、第二弾。
着流しに三つ紋つきの黒羽織を重ねた八丁堀の定廻り同心、暁蘭之介は、今日も韋駄天走りで江戸の町を守り抜くー。ひと房の松葉で頬を撫でながら冴える推理を閃かせ、時に心形刀流の剣で悪を裁く。人情家でありながら、目こぼしは一切許さない蘭之介は、北町奉行の信任が厚い同心であった。ある夜、奇妙な死骸が見つかった。何ひとつまとっていない若い女で、首がないのだ。謎めいた死体を検分し、身分ある武家の女と推察。探りを入れて、ある旗本の名を浮かび上がらせるが、蘭之介の太刀はすでに真の黒幕を捉えていた!成敗の一閃が、事件の驚きの全貌を見事に解き明かす。
日本人の青年が、オーガ族として魔界に転生した。その名をゴーラン。魔界は現在、あちこちで戦争が勃発し、下剋上上等の大戦国時代を迎えていた。魔界の住民は喧嘩っぱやい奴らばかりで、謙遜を重んじる日本人のメンタルを持つ身には生きにくい世界。だが、ゴーランは転生前の経験から、脳筋種族でありながらカオスな魔界で論理的な思考と合理的な行動を実践できた。ある日ゴーランは上官に決闘で勝利し部隊長となるのだが、それは彼にとって長い長い「下剋上ライフ」の始まりに過ぎなかった…!
ようやく手ごたえのある探索者と出会えたダンジョンマスターのアユム。しかし、まだまだ物足りない彼は、新たな探索者を見つけ、ノリノリで様々なトラップを仕掛けるのだった。一方、ペルエール王国城下ではサリトス、フレッド、ディアリナの3人に、ディアリナの妹であるコロナが加わり、ラヴュリントス攻略再開に向けた準備が始まっていた。次の狙いであるフロア3に入ったサリトス一行は、アユムの性格の悪さを踏まえて、次々とギミックを暴いていく。しかし、アユムが仕掛けたとあるモンスターの攻撃で、ディアリナは深手を負ってしまう…。
世界がゾンビだらけになり「終末」を迎えていたことを知る主人公の女子高生(JK)。頭に流れる幻聴の指示により、JKは学校を出て「所沢航空記念公園」に向かうことになる。道中、彼女は「正義の格闘家」を名乗る女子中学生(JC)の襲撃を受ける。JCの名は羽喰彩葉。彼女は謎の女からJKが悪者だとそそのかされたとのことだった。彩葉を騙した謎の女とは誰なのか。そしてJKの向かう所沢には何が待っているのか。少しずつ、この不思議な世界の真実が明らかになっていくー。
「好きな女ができたから、お前とはもう遊べない」。僕らの前に現れた16歳の少女、小泉今日子。女神の存在が、うだつの上がらない毎日を一新した。アイドルの「親衛隊」という居場所で、少年たちが手に入れたもの、そして失ったものとはー。恋、友情、憧れ、生と死…、心震わす青春小説。