2019年発売
突きの鬼一こと百目鬼一郎太と供侍・神酒藍蔵の江戸暮らしは風雲急を告げていた。実母桜香院とその腹心の国家老・黒岩監物が放った羽摺り四天王の生き残りが虎視眈々と一郎太の命を狙っている。そんな最中、草創名主・槐屋徳兵衛の一人娘・志乃の幼馴染みで、女郎屋から逃げ出してきたお竹が助けを求めてくる。さらに旗本屋敷の賭場帰り、一郎太の乗った船に武家娘が悲鳴を上げて飛び込んできた。じりじりと包囲網を狭めてくる羽摺りの者との激闘!秘剣滝止が快刀乱麻を断つと思われたのだが…。大好評!突きの鬼一2ケ月連続刊行、シリーズ第4弾。
話題のアニメーション映画ノベライズ! サーフィンが大好きな大学生・向水ひな子は、マンションで起きた火事の消火に来ていた消防士の雛罌粟港と出会い、恋に落ちる。幸せな日々を過ごす二人だったが、あるとき港が海の事故に巻き込まれ、命を落としてしまう。大好きな海を見られなくなるほど憔悴するひな子が、ある日ふと二人の思い出の歌を口ずさむと、なんと水の中に港の姿が……。 世界が注目するアニメーション監督・湯浅政明による待望のオリジナル最新映画「きみと、波にのれたら」(2019年6月公開)をノベライズ! 巻頭カラー全16ページで、映画の見所となるシーンとその原画も掲載。小説でしか読めないオリジナルエピソードも楽しめる、贅沢な1冊になっています。 ひな子と港の世界を、小説版文庫「きみなみ」でも、とことんお楽しみください。
私のご先祖様・静助は、江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた。静助が幼少の頃、世が一変する明治維新を迎えたが、何不自由のない暮らしを送っていた。ある日、静助は両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、一目で心奪われる。より鮮やかな花火を上げるため、花火屋達は競い合っているという。村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時の流れが、静助一族を飲み込んでいくー。一族誰もが語り継ぐ、花火に生きたご先祖様に思いを馳せるファミリーヒストリー。
変わり者の姫の結婚相手は隣国の国王で!? この世には〈蠱毒(こどく)〉というものがある。壺に百の毒蟲(どくむし)を入れて互いに殺し合わせ、最後に生き残った一匹が猛毒を持つ〈蠱〉となるのだ。それを古来〈蠱術〉といい、操る術者を〈蠱師〉という。 大陸でもっとも強大な斎帝国の第十七皇女・李玲琳は、気味の悪い蟲(むし)と、その蟲から生成される蠱毒をこよなく愛し、周囲からひそかに「毒の姫」とあだ名される風変わりな姫だ。ある日、最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ。ところが、結婚生活は前途多難。 まず、せっかく大国から迎えた若く美しい花嫁が、華やかな衣裳やきらめく宝石よりも蟲が大好きで蠱毒をつくりまくる蠱師だと判明してしまい、魁国の者たちはドン引き。鍠牙の命が何者かに狙われているーーという噂が立つと、毒殺犯の容疑をかけられた玲琳の立場はますます危ういものになって……。 運命は自分で切り開く。最強毒姫の冒険! 【編集担当からのおすすめ情報】 カバーイラスト:碧風羽
それは迷信だ!--明治あやかし事件解明録 明治時代、大阪。会社が倒産して失業し、手持ちの金も尽きて町をさまよっていた峯北修は、小さなビルの扉に掲げられた「妖怪科學研究所」の看板と所員募集の貼り紙を見つける。怪しげな名だが採用してくれるならありがたい。扉を開いた修は、大量の本の間で不機嫌そうに座る男ーー所長の八尋に対面する。八尋によるとこの研究所は、不可思議な事件を科学的に説明することで依頼人の問題を解決するらしい。迷信嫌いの修は八尋に共感、ここで働くことを決める。 八尋の友人で小説家の飯窪恭之介とも出会い、研究所に馴染んできた頃、修は一人の青年の相談を受ける。青年の父が村長を務める村で、立て続けに人が行方不明になるが、村人たちは妖怪「ゆらさま」の仕業だとして行方不明者を捜そうとしないらしい。八尋と修、なぜか同行することになった飯窪の三人は、「ゆらさま」の事件の真相を探るため、村へと向かうが……。 「妖怪など迷信だ!」と断じる所長の八尋。迷信を憎む修。妖怪の小説を執筆する飯窪。欧化の波に逆らうように、いまだ人々の心を恐怖させる「妖怪」の正体とはーー? 大人気BL作家が初めて挑む、明治あやかし事件解明録! 【編集担当からのおすすめ情報】 カバーイラスト:松尾マアタ
パリ警視庁警視のコルソは、ストリッパー連続殺人事件の捜査を進めていた。猟奇的で陰惨な事件の背後に見え隠れする白スーツの男に導かれ、コルソは社会の、そして自身の抱える暗部と向きあうことになる。フレンチ・サスペンスの巨匠グランジェが放つ最新刊!
もうひとつの「京都」の世界、「京洛の森」で仲良く共同生活を続けていた、ありすと蓮とナツメ。だが、ナツメのカフェ経営の夢を叶えるために、彼らは別々に暮らすことになる。新たな生活のはじまりに、蓮はありすと幼い頃に交わした結婚の約束を白紙に戻すことを決める。ふたりの関係はどうなるのかー?波乱の第三巻。
平野啓一郎のロングセラー恋愛小説、ついに文庫化! たった三度出会った人が、誰よりも深く愛した人だったーー 天才ギタリスト・蒔野聡史、国際ジャーナリスト・小峰洋子。 四十代という“人生の暗い森”を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に 芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死など、現代的テーマが重層的に描かれる。 最終ページを閉じるのが惜しい、至高の読書体験。 第2回渡辺淳一文学賞受賞作。 序 第一章 出会いの長い夜 第二章 静寂と喧噪 第三章 《ヴェニスに死す》症候群 第四章 再会 第五章 洋子の決断 第六章 消失点 第七章 愛という曲芸 第八章 真相 第九章 マチネの終わりに
半月ほど前に、藤原兼家が捕らえた兎は全身黒い毛で覆われていた。しかし、この兎、奇妙なことに日ごとに白い毛に変わり始め、その上人語を話し出したというのだ。「晴明を呼べ」と…。『嫦娥の瓶』など全9篇。晴明と博雅が活躍するシリーズも、遂に第15弾!もちろん蘆屋道満や琵琶法師・蝉丸も登場。
北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を営むおばあさん、お草さん。 彼女の周囲にあたたかく描かれる人間の営み、日常にふと顔をのぞかせる闇が読む者を引き込む大人気シリーズ第6弾。 秋のある日、草のもとに旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。 これをきっかけに初之輔と再会した草は、彼のために短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。そんな中、本作りを頼んだ印刷会社が個人データ流出事件に巻き込まれ、行き詰まる印刷会社を助けることに。その過程で、お草は印刷会社周辺の人々の過去に触れ、ある女性の死にまつわる“不可解”を解きほぐすことに……。 「一つほぐれると、また一つほぐれてゆくものよ」--逃した機会、すれ違い、あきらめた思いーー長い人生、うまくいくほうがまれだったけど、丁寧に暮らすのが大切。 お草さんの想いと行動が心に染みる珠玉の一冊。
会社が潰れた日、パチンコ屋の裏の駐車場で、やたらと美味しいたいやき屋を見つけた行助。そこは、こよみさんという、まっすぐな目をした可愛い女の子が一人で経営するたいやき屋だった。行助は新たに大学の研究室の助手の働き口を見つけ、そのたいやき屋に通ううちにこよみさんと親しくなり、デートを繰り返すようになる。 だがある朝、こよみさんは交通事故の巻き添えで、意識不明になってしまう。家族のいないこよみさんのために、行助は毎日病院に通う。三月と三日経った日、奇跡的に意識を取り戻したこよみさんだが、事故の後遺症の高次脳機能障害で、短期間しか新しい記憶を留めておけないようになっていた。 二人は一緒に住むようになるが、こよみさんは、その日の出来事を覚えていられない。だが、脳に記憶が刻まれなくなっても、日々が何も残していかないわけではない。忘れても忘れても、二人の中には何かが育ち、ふたつの世界は少しずつ重なっていく。それで、ふたりは十分だったーー。 第98回文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しいデビュー作。 文庫版にはアンソロジー『コイノカオリ』(角川文庫)収録の「日をつなぐ」を併録。中学時代の恋人と結婚し、知らない町で一人子育てをする真名。くつくつと豆を煮る描写が効果的に挿入され、30数ページの中に凝縮された女性の半生と思いが描かれる。 解説・辻原登
江戸麹町事件帖シリーズ第二弾! 北町奉行所の定町廻り新人同心・間宮仁八郎は、難事件が持ち上がるとなぜか麹町の平河天神社の近くにある「常楽庵」に赴く羽目になる。元大奥の女中でかなりの要職に就いていたという年齢不詳の庵主・志乃の名推理がこれまで何度も事件をやわらかく解決してきたからだ。 ある日、常楽庵に一人の男がたずねてきて、「自分はまもなく殺されるだろう」と志乃に訴える。男の目の中に狂言とも思えない危ういものを感じた志乃の中に、かつて大奥で救えなかった者の記憶が甦る。志乃の説得を聞いた男は黙って帰って行った。 数日後、仁八郎は自分が調べていた事件の中にまたもや常楽庵の名が出てきたことから、しぶしぶ志乃のもとを訪れるがーー。 個性的な女中たち・行儀見習いの若い町娘たち、地元の御用聞きの文六らが楽しく脇を支え、知力胆力ともに底知れぬ元大奥の隠居と新米同心の名コンビが、深く楽しく、時に人生のやりきれなさに突き当たりながら謎解きをしていく、著者新境地の時代小説シリーズ第二弾!
狛江は左遷先のQ支店から東京本社へ凱旋した。安堵したのも束の間、妻子とはぎくしゃくし、会社では部下たちの自己チューぶりに翻弄される。しかもCMに起用したアイドルのスキャンダルが報じられ、とうとう追い出し部屋へ!またもやリストラ寸前の崖っぷちに立たされる狛江。そして、あの男との恐怖の再会が待っていた!
選考会で圧倒的支持を受けた第24回松本清張賞受賞作! 新人とは思えぬ実力を本作で発揮した話題の青春ミステリーが、待望の文庫化です。 西欧化の波が押し寄せる鹿鳴館時代。東京・御茶ノ水の高等師範学校女子部(女高師)で学ぶ女生徒の咲と夏は、学校生活を謳歌していた。ある日、森有礼主催の華やかな舞踏会に出席した二人は爆発事件に遭遇。それは、明治を揺るがす事件の幕開けだったーー。 東京、横浜、下田を舞台に繰り広げられる青春ミステリー。 「女性たちの困難を描いた小説ではなく、それに立ち向かう勇気と元気と友情を描いた、正真正銘の青春小説」(中島京子「解説」より) 「女が学問なんて」と一部から白い眼で見られる男尊女卑の風潮の中で、荒波に揉まれながらも、彼女たちは自分自身で人生の道を切り開いていきます。「実は何度も泣きました、女の子達がけなげで」と中島さんがおっしゃるように、美しき女生徒の青春を描いた傑作です。ミステリアスな展開に最後まで目が離せません!