2020年4月24日発売
四世代が同居する堀田家には、今日も不思議な事件が舞い込む。伝説の作家のアトリエに潜む秘密、紺に届いた盗作を訴える手紙、古本を定期的に買っては店に置いていくミステリアスな少女、藤島とパートナーになった美登里につきまとう過去の亡霊ー。バンドワゴンの面々は「LOVE」という強い絆を持って立ち向かう。人気シリーズ待望の第15弾!
絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父親の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、昭和から平成へ、少女は自分の道を歩き出す。実力派として注目の著者が描く、圧巻の家族小説。
「あなたは考えたことがありますか?自分がラストエンペラーになるかもしれないって」私は東京の空虚な中心に広がる森に住む憂いの皇后。ハンドルネームはスノードロップ。花言葉は「希望」「慰め」の二つ。腐敗した泥舟政権は国民を国家に奉仕させる倒錯を繰り返している。さあ、「ダークネット」を駆使し、「令和の改新」を実行すべき時がきたー。「立憲君主国」日本の最後の「良心」はどこにあるのか?作家の奔放な想像力が躍動する禁断の「皇室小説」!あの『無限カノン』の陶酔が蘇るー。
19世紀末、貧しい家庭に生まれたオルガは、誰にも媚びないまっすぐな性格を気に入られて農園主の息子ヘルベルトと恋仲になる。だが結婚は許されず、行き場のないヘルベルトは北極圏への無謀な冒険に出たまま、消息を絶った。その哀しみを乗り越えて半世紀あまり、オルガは途方もない行動に出るー。激動の20世紀ドイツを毅然と生きた女性を描く人気作家の最新長篇。
「待って!わたし、妊娠しているの。あなたの子よ」ラザロの婚約披露パーティの会場で、スカイは思わず口走った。アイルランドでウエイトレスをしていた彼女は、客として訪れたゴージャスなラザロの誘いを拒めず、熱い夜を過ごした。彼がスペインの富豪と知って驚いたが、忘れるつもりだった。一夜の夢だと。けれど想定外の妊娠がわかり、自分のように父親の名も知らない子にするに忍びなく、ここへ来たのだ。「これはいったい、なんのゲームだ?」晴れの舞台を台なしにされ激怒する彼。スカイは震えだした。
ある嵐の夜、苦学生のアリーは仕事で訪問した豪邸で、思いがけず初恋の人ドミニクと再会した。長年秘めてきた想いが溢れだし、アリーは誘惑されるまま純潔を捧げてしまうが、翌朝、すべては彼の計略だったと知る。「半年間ぼくと結婚してほしい。仕事上、“妻”が必要なんだ」学費は肩代わりしてくれるという。何より、短い間だけれど、ドミニクと一緒に過ごせるー愚かにも、アリーはうなずいた。数日後、簡素な式が執り行われ、新婚生活が始まるが、あの甘い一夜が嘘のようにドミニクは冷淡になって…。
ジェイク!なぜあなたがここに?ロージーは凍りついた。16歳の少女だった彼女はジェイクに仄かな憧れを抱いていた。けれど…友人に誘われて行ったパーティーで、彼のいとこに騙されて強いお酒を飲まされ、朦朧としたところを強引に…。悪夢のような時が過ぎ、ショックのあまり震えていたそのとき、あろうことかジェイクが現れ、咎めるように彼女を見つめたー。そして今、あのときと同じ軽蔑の目を向けてくる彼。ロージーは胸が張り裂けそうだった。彼に誤解されたあの日から、孤独を噛みしめて生きてきたから。
兄の結婚式の最中だというのに、サブリナは気もそぞろだった。ついさっき、妊娠していることがわかったのだ。調子がいいだけで不実なお腹の子の父親とは、別れたばかり。どうしよう…。困り果てたサブリナの前に、救いの神が現れた。兄の親友トレントが彼女の異変を見て取り、力を貸すという。元恋人に妊娠を告げ、一人で産み育てると伝える気のサブリナをトレントは自家用ジェット機に乗せ、パリへ向かった。ところが元恋人は不在。途方に暮れて二人で行方を探るなか、男らしいのに気が利くトレントに、サブリナはおのずと惹かれた。だめよ、シングルマザーになる私に、恋する資格なんてないもの!
助産師である私自身が、子供は持てない運命だったなんて…。妊娠は難しいと知った婚約者は、無情にもアニーのもとを去った。独りスペインのアンダルシアへの傷心旅行に出たアニーだったが、旅の終わりに立ち寄った教会で、運命は大きく変わる。急に産気づいた女性を救って、産科医ラファエルと出会ったのだ。彼とはなぜか最初から心が通い合い、アニーは生涯の思い出にと、彼と一夜だけの愛を交わしたーまさか身ごもるとは思わずに!ところがそれを告げると、ラファエルは冷たくこう言い放った。「本当に僕の子か?イギリスとスペインで弁護士をさがす」そしてアニーを探るつもりか、彼女が働く病院へ転職してきたのだ。
モーガンは自宅で開かれたパーティーで驚くべき人物と再会した。リバー・アトキンソン!10年前、駆け落ちして結婚したものの、父に口止め料を渡され、婚姻を無効にして私を捨てた人…。茫然とするモーガンに、リバーは告げた。「君のお父さんの会社の仕事を請け負ったから招待されたんだ」今やリバーは建設業で大成功を収めて億万長者となり、強健な体と洗練された雰囲気を持つ男性へと変貌を遂げている。でも、私はもう二度と同じ過ちを繰り返したりしない。リバーに捨てられたあと、私のおなかには彼の娘が宿っていたけれど、不幸にもその子の命は失われてしまったのだから。
帳簿係のジェシカは人一倍、家庭と愛を注げる子どもを欲していた。というのも、ジェシカは生まれてすぐに教会の階段に捨てられ、里親のもとをたらい回しにされてきたからだ。でも、誰からも欲しがられない私に結婚相手なんてきっと現れない…。そこで人工授精を思い立つが、我が子に父親の身元は知らせたいと、昔から密かに想いを寄せる親友の兄カートに協力を仰いだ。ところが激しい拒絶に遭い、ジェシカは涙ながらに彼の家を後にした。しかたない…子どもの父親は、見知らぬドナーしかいないということね。毛布にくるまり、ジェシカが打ちのめされた心の痛みに耐えていると、なんとカートが現れた!「後悔するようなことをさせないために来た」
レストランを切り盛りするテリーは、ハンサムで有能な実業家のレオが客として初めてやってきたときから、強く惹きつけられていた。たった一度でいいから、こんな男性に身も心もゆだねられたら…。その秘めやかな望みは、彼が3度目に訪れた夜に叶えられた。閉店後、二人きりになると、レオの巧みな手に導かれるまま、想像を絶するほどのめくるめく時間を過ごした。翌日、レオに今後も自由で束縛し合わない関係を求められ、たとえ愛されなくても一緒にいられるならと、テリーはうなずいた。10カ月後、奇しくもテリーの誕生日に、医師から衝撃の事実が告げられる。「おめでとうございます。妊娠されていますよ」
「デューク!待て!」ソフィーは逃げ出した犬に鋭く命じた。すると歩道を歩いていた男性が突然立ち止まり、大おばの愛犬デュークは磨き上げられたブーツに激突した。「止めてくださって助かりました。この子が行方不明になったら、大おば様のお世話係を首になり、田舎に送り返されるところでしたわ」彫像のように美しくたくましい男性と言葉を交わすうち、彼の物憂げで苛立たしげな様子に気づいたソフィーは頬を赤らめ、しゃべりすぎたことを悔やみながら逃げるように立ち去った。このハンサムで陰のある紳士がデュークー公爵の称号を持つ大貴族で、ほどなく彼と愛なき婚約をすることになるとは夢にも思わずに。
物心つく頃に母はなく、ずっと寄宿学校で暮らしてきた19歳のアン。もうここを出ていくべき年齢だが、父もこの世を去り、行く当てがない。なにせこれまでも、着る物にも困って施しを受けていたほどなのだ。教師として母校に残るのが自分の生きる道だと思い始めたある日、イアン・シンクレアと名乗る、上質のコートに身を包んだ貴族が現れた。美貌の彼は、アンの父の遺言で彼女の後見人に指名されたのだという。まあ、こんなすてきな方が、私を迎えに来てくれたなんて!アンの胸に、人生で初めて、淡い恋心が芽生えた。だがイアンは彼女を社交界デビューさせ、ふさわしい花婿を探す役回りだ。しかも、アンはまだ知らなかったー彼が明日をも知れぬ命ということを。
大富豪マークと結婚したバネッサは、義母の心ない仕打ちに耐えきれず家を出た直後、思いがけない妊娠に気づく。だが、電話をかけても夫が出ることはなかった。“二度と話したくない”-それが夫からの伝言だった。バネッサは絶望し、逃げるように田舎町へ移り住んだ。1年後、赤ん坊と二人でひっそりと暮らす彼女の小さな店先に黒いメルセデスが停まった。現れたのは…夫のマーク!どうしよう。息子の存在を知られたら、きっと取り上げられてしまう。慌てて赤ん坊を隠そうとした彼女を、夫の怒りに燃える瞳がとらえた。「いったい、どういうことなんだ?」