2020年5月発売
薬物蔓延で荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。妹のケイシーだろうか?かつて厳しい祖母の下で支えあって生きてきた姉妹。今は何年も話さず、売春の客引きや麻薬取引をする妹に姉が手錠をかけるくらいが接点だ。だがしばらく路上にケイシーの姿はない。遺体は彼女ではなかったが絞殺痕があり、さらに似たような事件が相次ぐ。ミッキーは憑かれたように犯人と妹を捜すが…姉妹の絆と孤独を抉る、アメリカの今を映した新しい警察小説。
未知のアンドロメダ病原体によるパンデミックを封じ込め、人類絶滅の危機を乗り越えた5日間から50年。その再来を監視する永続的な警戒システムは、アマゾンの密林奥に異常を検出した……人類は再び未曾有の脅威に立ち向かう! 著者の遺族公認の公式続篇
ロボット工学者ジェイムズ・ストーン、材料科学・ナノテクロノジーの専門家ニディ・ヴェーダラら「ワイルドファイア計画V2」のメンバー4人と護衛部隊は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ソフィー・クラインによる上空からのサポートを受けつつ、ブラジルのアマゾン奥地を目指した。無数のホエザルの死体を検分し、未接触部族の襲撃から逃れた調査隊のメンバーは、ついに怪現象の発見現場に到達する。そこにあったのは、見たこともない形状と性質を持つ漆黒の大構造物だった!アマゾンの密林から、正体不明の構造物の深部へ、そして宇宙へと話は導かれていく。そして、謎の「病原体」はかつてより進化し、人類を恐怖に陥れる…。『アンドロメダ病原体』原書刊行50周年企画、遂に登場!
廃炉に汗を流す兄とおもてなしに生きる妹の物語 二〇五一年。観光大国として成功をおさめ、福島第一原発の廃炉作業が進む日本。 ダークツーリズムスポットである第一原発の廃炉作業員として汗を流す兄・大也と、 外国人観光客を「おもてなし」する店で働く妹・樹々の視点を通して描く近未来SF小説。 新しい日本、そして福島の再生はここから始まる。 1 2050年、大みそか、東京 2 ハラール・テーフ?ル 3 イチエフ 4 富岡ツナミ・タワー 5 Jウ?ィレッシ?宇宙センターとマクスウェルの管理人 6 スクーフ? 7 サクラ・マニアック 8 夜ノ森の桜 9 免震重要棟 10 ナカノ・クラシカル 11 アルフ?スの魚 12 今を生ききる 13 ハ?ンタレイ 14 永遠に生き続ける声 15 第二の人生 16 2052年、大晦日みそか、福島
沈黙を抱える者たちの視線が交差し、気高い光を放つ。 胸に刻まれたその残像が、今も消えない。 --小川洋子さん推薦! 戦争で夫を亡くし、足のケアサロンを営むペイジ。 斜向かいに住む大学教師ボビーの密かな楽しみは、ペイジの生活の一部始終を観察することだった。 ある日ボビーは、意を決し初めて店を訪れる。 足を洗ってもらっているあいだに、ひとり語りを始め、忘れ得ぬ事故のことを打ち明けるボビー。 悲惨な体験を通して、孤独な二人の心は結びつくのだが……(「初心」)。 79歳の作家が贈る、全10篇の濃密な小説世界。 「世界最高の短編作家」(ロンドン・タイムス) 「現存する最高のアメリカ作家による、最高傑作集」(ボストン・グローブ紙) ーーなんとまあ大袈裟な、と思う方は、是非とも本書を読んで確認していただきたい(古屋美登里) ・初心 ・夢の子どもたち ・お城四号 ・石 ・従妹のジェイミー ・妖精パック ・打算 ・帽子の手品 ・幸福の子孫 ・蜜のように甘く 訳者あとがき
霊媒として祀り上げられた少女を取り巻く人々の狂気の渦ーー著者自身の体験が色濃く反映された神霊サスペンス『巫女の棲む家』、芝居小道具商の歴代当主の失踪、そして歌舞伎俳優の消失に端を発する連続殺人をけれん味たっぷりに描く『妖かし蔵殺人事件』。宗教団体、梨園、まったく異なる世界を舞台に、欲望や情念の渦巻く複雑な人間模様を剔出、ミステリーとして昇華させた傑作二長篇を収録。 巫女の棲む家 妖かし蔵殺人事件 付録1 文庫版解説 解説 司修 絵描きのひとりごと 岡田嘉夫 付録2 インタビュー集 皆川博子になるための135冊 聞き手・小森収 芝居を描くーー旅芝居から田之助、南北まで 聞き手・河出書房新社編集部 あとがき 編者解説
仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。 民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした」青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか? 時は天正五年(1577年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。 貧困、不正、暴力…。『童の神』で直木賞候補となった今最も人気の若手歴史作家が、この世の不条理に抗う人すべてへ捧ぐ、圧巻の歴史巨編!
2018年、陸上日本選手権。ある選手の活躍が、観客を魅了する。7人制ラグビーの日本代表・神崎が円盤投に出場、日本記録に迫る成績を残したのだ。もし円盤投で東京オリンピックへの出場を手にすれば、1964年の東京五輪以来の奇跡ー。前代未聞の「二刀流」アスリートの登場に世間は熱狂、神崎は瞬く間にスターダムに駆け上がっていく。一方、新興スポーツ用品メーカー「ゴールドゾーン」の岩谷は神崎の才能に着目、彼のスポンサードに向けて動き出す。長年取材し続けた著者だからこそ到達した、スポーツの「本質」がここにある。
数年前に有名料亭の料理人をある事情から辞めた章は、素泊まり温泉旅館「猫柳苑」の食事処「ヒソップ亭」の主人に。厳選素材の料理に、名酒を揃える店は評判となるが、史跡めぐりの定年退職者、ひとり旅の女性、出張の中年男性など、店を訪れる客たちは様々な事情を抱えていて…。
昼は花魁、夜は鬼斬り。新鋭が送る和風ファンタジー第4弾! 五人衆のため。吉原のため。江戸のため。今度は、わっちが「鬼」になろう。 朝廷についた「鳩飼い」。 幕府を守る「黒雲」。 差別制度の撤廃か。差別を前提にした生活の安定か。瑠璃たちは朝廷と幕府の代理戦争に巻き込まれようとしていた。義兄・惣之丞との戦いが避けられぬものになった中、「黒雲」の柱だった権三が姿をくらました。
世紀末の今年、社会人生活4年目。まだ25歳だけど、直属の部下67人(年上の猛者ばかり)の、警察本部公安課長になる、らしい。最重要任務は、テロ防止と、絶対回収しなければならない「落とし物」-大先輩の(だけど部下の)相棒と一緒に、任務を果たす、僕は警察キャリア。2年未満をかぎりの、渡り鳥ですー選民思想、そして殺人容認思想。日本を窮地に陥れる可能性が高い、最凶カルトの総本山が、その県にはあった。赴任直前、恐るべき先制攻撃がー起こってはならない、毒殺テロ。発生場所は、警察本部のとある部屋だったー日本警察小説史に刻み込まれる、圧倒的な現実と、驚愕と、感動!
『abさんご』の衝撃から7年、芥川賞受賞後初となる新作小説集。節句のひながた、骰子、絵葉書、ミニチュアの動物……。手ばこにしまわれ、ひきだし家具に収められた愛おしきものたちの記憶。幼年の心に刻まれた密やかな歓びが、途切れることなく連なる言葉のリズムを得て美しく再生されてゆく。横書きの独創的文体で世を驚かせた芥川賞作家が、7年の歳月をかけて織り上げた無比の小説集。
僕の父はファシストとして人を殺したのか。現代バスク語文学を代表する巨編。カリフォルニアで死んだ幼なじみが書いていた「アコーディオン弾きの息子」と題された私家版の回想録。親友はどんな思いで故郷バスクを去ったのか。作家は遺された言葉を元に、少年時代からの二人の物語を紡ぐ。スペイン内戦から民族解放運動まで、波乱の近現代史を描き、美食だけではないバスクの真の姿を伝える長篇小説。
「文藝」86年ぶり3刷の2019年秋季号特集小説がパワーアップ!日韓最前線、12人の作家たちが響きあう。ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュが贈る、夫と別れたママ友同士の愛と連帯を描いた「離婚の妖精」をはじめ、覆面SF作家デュナ、松田青子による初邦訳作&書き下ろしを収録した決定版。
天才的な耳を持ち、人気ヒップホップグループで大活躍していた啓史。ところがメジャーデビュー直前に病で視力を失った。絶望の中、幼なじみの彩に連れられてブラインドサッカーと出合う。仲間との交流で少しずつ自分の居場所を見つけてゆくが、大舞台の最中に思わぬ事件に巻き込まれ…啓史は壁を乗り越え、自分を、そして仲間との絆を取り戻せるのか?超絶の“音”の世界で繰り広げられる、感動の青春ストーリー!
狙われた大学公印、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子生徒の洋服盗難、学生への不公平な単位付与ー森川とハンナが辿り着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは?優しい涙が溢れる傑作!
15万人のアフリカキャンプ難民が砂漠を超えてドイツへ向かって歩き出した!なんと50キロの行列を作って。テレビ史上最大のライブ・ドラマと化した大事件。世界の視聴者を巻き込み、ドイツ政府を恐怖に陥れ、国境封鎖か開放かに揺れる巨大スケールの小説。
東京の救急救命センターで働いていた、62歳の医師・白石咲和子は、あることの責任をとって退職し、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療の医師になる。これまで「命を助ける」現場で戦ってきた咲和子にとって、「命を送る」現場は戸惑う事ばかり。咲和子はスタッフたちに支えられ、老老介護、半身麻痺のIT社長、6歳の小児癌の少女……様々な現場を経験し、学んでいく。家庭では、老いた父親が骨折の手術で入院し、誤嚥性肺炎、脳梗塞を経て、脳卒中後疼痛という激しい痛みに襲われ、「これ以上生きていたくない」と言うようになる。「積極的安楽死」という父の望みを叶えるべきなのか。咲和子は医師として、娘として、悩む。7万部突破『サイレント・ブレス 看取りのカルテ』、連続ドラマ化『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』著者最新作。