2020年7月発売
うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分のパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、「コテン」の由来もわからない。日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、いろんなものを抱えたお客たちがやってくる。人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとはー
穏やかな日常を送る、元家裁調査官の白石洛は、友人で刑事の和井田から、ある事件の相談を持ち掛けられる。白石がかつて担当した少年、薩摩治郎。7年後の今、彼が安ホテルで死体となって発見されたという。しかし警察が治郎の自宅を訪ねると、そこには鎖につながれ、やせ細った女性の姿が。なんと治郎は女性たちを監禁、虐待し、その死後は「肉」として他の女性に与えていたという。かつての治郎について聞かれた白石は、「ぼくは、犬だ」と繰り返していた少年時代の彼を思い出し、気が進まないながらも調査を開始する。史上最悪の監禁犯を殺したのは、誰?戦慄のサスペンスミステリ!
文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀ー聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。
東京の下町で団扇屋を営んでいた山中信介は、戦時中でも体制べったりではない、ちょっと気骨のある一市民。戦火に焼かれて変わりゆく町の姿や、それでもめげずに生きている市井の人たちの様子を、ときにはユーモラスに、ときにはシニカルに日記に記していく。終戦直前、特高警察に捕まった信介が、敗戦で出所してきたところから物語は大きく動き始めるー。「別冊文藝春秋」に足かけ15年間にわたって連載され、第47回菊池寛賞を受賞した名作長編の上巻。あえて旧仮名遣いで書かれているが、読みやすさを損なうことは一切なく、“これぞ井上ひさし”という世界に没頭できる。
「天上の花」は、詩人・三好達治を、幼いころから三好にかわいがられていた著者ならではの目線で切り取ったもの。三好は前妻(佐藤春夫の姪)と別れ、朔太郎の妹・慶子と付き合うようになるが、きらびやかな生活を好む慶子と、貧しくても平和な暮らしを望む三好の愛の生活は、やがて破滅的な最後を迎えるー。第55回芥川賞候補作。「蕁麻の家」は母親が他の男のもとに走ったことが原因で、幼少期から祖父、叔母など家族みんなに疎まれ、頼みの父親からも避けられてしまう主人公の、まさに棘に囲まれているような生活を描いた秀作。第15回女流文学賞を受賞。
旅行誌「旅の話」の編集部員・香月修の殴殺体が発見された。怨恨、物盗りの可能性はなさそうだという。警視庁の十津川警部らの捜査が進むにつれ、香月が取材を進めていた“山手線一周の旅”で撮影した写真がなくなっていることが判明。犯人にとって不都合なものがその写真に写っていたのではないかと考えられたのだが、事件は予想外の展開を…!?「山手線五・八キロの証言」他、「午前九時の目撃者」「愛と殺意の中央本線」「L特急踊り子号殺人事件」の傑作四篇を収録!
脱サラし、お笑い芸人になった西野勤。しかし才能がなく、8年間、売れることなくくすぶっている。そんな彼の元にガネーシャが降臨!「ワシとコンビ組もうや」。ガネーシャとお笑いコンビを組んだ西野は果たして夢をかなえることができるのか? 貧乏神の金無幸子も加わり、「お金」と「幸せ」の真の関係が理解できる、シリーズ第2弾。
女神らしき青髪幼女のお告げで、パリオン神国へ向かったサトゥー達。そこには呪詛を受けて苦しむ勇者・ハヤトがいた。助けて話を聞くと、敵は魔王ーしかも魔窟内部を自在に転移し、尻尾を掴ませない厄介な相手らしい。サガ帝国騎士や神殿騎士をも含めた総力による魔王討伐作戦への参加を決めたサトゥーは、装備を新調した仲間たちと、戦線を強力サポートし…!ほのぼの異世界観光記、ついに大台の二十巻!
とんでもない業物を作るチートを貰い、異世界でのんびり鍛冶屋を営むエイゾウ。ある日、暴漢に襲われる伯爵家令嬢のディアナを助け、匿うことに。何やら伯爵家は、一本の家宝の剣を巡ってきな臭いことになっているそうだが…。さらには、エルフの里からミスリルの宝剣の修理依頼が!人の手には余るファンタジー素材の加工に心を躍らせるエイゾウ。一介の鍛冶屋にできることなんてたかが知れてるが、まあやれるだけのことはやりますか…。
異世界転移するも、幸運∞のおかげで親切な冒険者に保護され、楽しくスローライフを満喫する悠利。ある日、行商人のハローズに誘われ港町に同行することになる。新鮮なお刺身やカルパッチョ、酒蒸しやアヒージョなど美味しそうな魚介料理に大興奮!自分のお土産にも買わねばと店を見て回っていると、毒の有無が不明なフグ似の魚が捨てられそうになっている現場に遭遇。「勿体ない!」とチートな鑑定能力を使いまくり検品作業を始めるが…?
王都で行われるタイトル戦に出場するため、ゲーム知識をフル活用して特訓を始めるセカンド一行。セカンドは、まず「世界1位」の足がかりとして前人未到の三冠を獲得すべく剣術・魔術・召喚術に狙いを定める!対手は、二十年無敗の剣術使いや魔術特化の天才、火の大精霊を使役する召喚術師と強者ばかり。他にも元タイトル保持者や元宮廷の魔術師団長など、猛者がひしめくトーナメントを勝ちのぼり、タイトルを奪取することは出来るのか!?
魔王への特効となる唯一の切り札“勇者”という仕様。人魔大戦でこれを壊し損ねてしまった「私」は、次なる作戦に出ることにした。ハッキングが無理なら、システムの中枢、女神・サリエルのとこに直接殴り込みに行けばいいじゃん!一方、魔族軍はエルフを滅ぼすため、帝国軍と共にエルフの里へ進軍を開始する。だけど、新勇者になっちゃった山田くんたち転生者もエルフの里に向かうって大誤算が発生し、彼らを妨害しつつ女神もどうにかしなきゃだし、大忙しです!
作るものが全てチート級になってしまう悪役令嬢シャルロッテ。ドライフルーツにチョコレート、パウンドケーキ等々、チート級のスイーツであらゆる人々を虜に…。そんななか、乙女ゲームで自分が処刑ルートへ向かう発端となった事件を解決するため、ダンジョンに向かうことに。そこで、魔王に連なる“厄介な魔物”と遭遇してしまい…!?お酒への執念が生み出したチート級アイテムは魔物を陥落させられるか!?
宙賊に襲われていた訳あり宇宙貴族令嬢(ロリ)を助けてしまったヒロ一行。事情を聞けば叔父に命を狙われているらしく、祖父からの救援が来るまでまだ2週間ほどあるという。一時的に護衛を引き受けたヒロが、金に糸目をつけずに襲ってくる敵相手に立てた作戦は…南国風の観光惑星での優雅な引きこもり!?リゾート惑星にある高火力なセキュリティに守られつつ、水着のミミたちと遊んだり、海の幸に舌鼓を打ったりと2週間のバカンスを満喫することにするが…?
勇者を巡る事件決着からの2年は、セシルとの子リスティが生まれ、10人がかりで育児をするうちに瞬く間に過ぎた。やっとお留守番が出来るようになったリスティをしばらくアイネ達に預けて、ナギたちは久しぶりの旅に出ることに!王家から預かったオーブを古代エルフと魔族に返すためそれぞれの都へ向かうが、各地で魔物が凶暴化し、魔王復活の噂が流れているらしく…成長したシロも加わってチートで不穏な影を蹴散らしつつ、今日もナギたちは旅を満喫する!!
すぐそばにいる誰かの物語。あたしの前世はおっさんだった(「前世の記憶」)、体が腐らないよう冷蔵庫の中で眠る少女(「れいぞうこ」)、切手占いに夢中で男の子の存在を忘れた女の子たち(「切手占い殺人事件」)、軽蔑する親友からの電話にじっと耳を傾ける私(「時間ある?」)、凶器を持って怪獣を虐待しに森に入る少女たち(「怪獣を虐待する」)、理想のかばんと出会い旅立った非正規雇用の女性(「いつかたったひとつの最高のかばんで」)…ささやかでひんやりしていて、それでいてあたたかなよろこびすべての感情が詰まった輝ける物語たち。芥川賞作家がエールとともに贈る寓話。