2020年7月発売
お母さん、聞こえる?私は、生きていくよ。幼くして命を落とした弟。心ない世間の声に抗い、それでも母は、自由に生きたー。ブラジルの大地に舞い上がる赤い砂に、母と娘のたましいの邂逅を描く渾身のデビュー小説。
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第3巻には「スポンサーからひとこと」など著者を代表する傑作16編を収録。
○第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門受賞 ○第21回本格ミステリ大賞受賞小説部門受賞 ブラウン神父、亜愛一郎に続く、“とぼけた切れ者”名探偵である、昆虫好きの青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた──。 16年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか? エリ沢が意外な真相を語る「蝉(せみ)かえる」。交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件のつながりを解き明かす、第73回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など5編を収録。 注目の若手実力派・ミステリーズ!新人賞作家が贈る、絶賛を浴びた『サーチライトと誘蛾灯』に続く連作集第2弾。 著者あとがき=櫻田智也 ■目次 「蝉かえる」 「コマチグモ」 「彼方の甲虫」 「ホタル計画」 「サブサハラの蠅」
一篇一篇から宇宙全体が飛び出してくる スティーヴン・ミルハウザーの最新短篇集Voices in the Nightは、2冊に分けて刊行する。まず1冊目が、それぞれ多彩な奇想に満ちた八つの宇宙が詰まった本書『ホーム・ラン』だ。(2冊目は『夜の声』[仮題]として刊行予定。) ミルハウザーの短篇の多くに共通する、「ここではないどこかへの希求、その恍惚と挫折」ともいうべきテーマは、本書でも健在だ。むしろそうした流れのなかで、またしても意外な新手を繰り出してくる想像力と、技巧を凝らした一途な名人芸が、読者を圧倒するだろう。 魔法の鏡磨きが男と恋人の心にもたらす光と影を描く「ミラクル・ポリッシュ」、町に謎の自殺願望が流行した半年を記録する「私たちの町で生じた最近の混乱に関する報告」、1本の決定的本塁打がたどる驚異の軌跡を追う表題作など、緻密な筆致で、壮大かつ深遠な宇宙を描く8篇を収録。 日本版のみに特別収録した、ミルハウザー自身のエッセイ「短篇小説の野心」から引用する。「短篇は一粒の砂に集中する、そこにーすぐそこに、己の手のひらにー宇宙があると烈しく信じて」。
自分にも劇的な未来が待っている。 そう信じられなくなったのは、いつからだろうーー。 16歳にして小説すばる新人賞史上最年少受賞を果たした鮮烈なデビュー作、『星に願いを、そして手を。』から三年。 現役京大生となった若き才能が、“青春の難題″に立ち向かう! 読了後、静かな感動と勇気が押し寄せる、「救い」の物語。 【あらすじ】 仕事も恋愛も惰性の日々を過ごしているOLの遥。ある日遥は、無名のアーティストの曲がYouTube上で「バズって」いるのを見つける。その曲にとてつもない引力を感じた遥だったが、数日後、そのアーティストの公式サイトで、「2018年10月23日、Vo霧野十太逝去。27歳」の文字を目にする。なぜ1年も前に亡くなった無名のアーティストの曲が、今更注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのかーー。 一人の天才音楽青年と、彼が作った「ある曲」を軸に、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻く6人の人生を描き切った、著者渾身の青春小説。
暗号解読で山本五十六のブーゲンビル島視察計画を察知した米太平洋艦隊司令長官ニミッツ大将は、ハルゼーに暗殺作戦を託す。宇垣参謀長以下多数が犠牲となるが、山本長官は危機を免れる。そして、ハルゼーは伊号潜水艦の雷撃により海に消えた…。大統領選挙を控えるルーズベルトはラバウル占領をもくろみ、ニミッツが指揮する太平洋軍とマッカーサーが指揮する南西太平洋軍の設置を決める。1943年12月、ラバウルの完全占領を企図した「タルサ作戦」が発動。迎え撃つ連合艦隊の決死の奮戦が続く!シリーズ完結!書下ろし長編仮想戦史。
すべてを捨てて世界一のプロゲーマーを目指す一輝。しかし30歳を目前にして成績は振るわず徐々に心も荒んでいく。ところが、そんな悩める一輝の前に謎の三人組が現れた。当初、一輝は不信感を露わにするが、彼らの命を賭けた切実な想いが少しずつ一輝の凍った心を溶かしていく。元妻の結衣や一人息子の晴輝との絆を取り戻し、eスポーツワールドカップで奇跡の快進撃を見せるのだが…そこに待ち受けていた最大の危機。はたして一輝は愛する人たちを守れるのか?そして最後に選んだ一輝の答えとは?大ヒット『僕ロボ』から3年。奇跡と感動の最新作!!
信長、秀吉、家康。戦国時代の三人の英傑が、それぞれどのように天下人を目指したかを描く歴史三部作。戦国大名だけでなく、他の作品では滅多に登場しない家臣や地方豪族たちの動き、また当時の朝廷の様子についても丁寧に調べあげ、多くの歴史上の事実をもとに、見えてきた三人の人物像を描き出す。 第二部は『秀吉の栄華と臣従する家康』。秀吉はなぜ栄達に執着し、朝鮮征伐までも望んだのか。織田家相続を巡って争うも、後年秀吉への臣従を選んだ家康の生き方や心情も織り交ぜながら、豊臣秀吉という武将の実像に迫る。さらに秀吉の死後、各国の大名たちがどう行動し、どのような思惑で戦国時代最後の大戦「関ヶ原の戦い」へと向かっていくかもつぶさに描く。 目次 作者のことば 第七章 賤ヶ岳の戦いおよび小牧・長久手の戦い 第八章 秀吉の関白就任と家康の上洛 第九章 聚楽第への行幸と北条氏成敗 第十章 唐入りにともなう混乱と秀吉 第十一章 関白秀次事件と慶長の役、そして秀吉の死 第十二章 関ヶ原の戦いに至る二年間
第62回メフィスト賞受賞! 森博嗣に憧れた天才司法修習生が描く、感動と衝撃の傑作ミステリー 読書メーター読みたい本ランキング1位(単行本部門 日間・週間2020/3/25調べ) 2020年ミステリランキングに軒並みランクイン! 「ミステリが読みたい!」2021年版(早川書房)国内篇3位&新人賞受賞 「このミステリーがすごい!」2021年版(宝島社)国内編3位 「週刊文春」ミステリーベスト10 文春図書館2020国内部門4位 「2021本格ミステリ・ベスト10」(原書房)国内ランキング9位 <あらすじ> 法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不可解な事件が続く。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐してーー? <絶賛の嵐!> たんにリーガル・スリラーだけの面白さだけではなく、青春の苦みも剔出していて印象に残る仕上がりだ。大胆な挑戦にみちた作品であり、将来が実に頼もしい新人でもある。--池上冬樹(文芸評論家) 裁判をめぐる議論がそのまま人間ドラマになだれこみ、制裁と救済が法と情で二重に語られる。注目すべき新人作家だ。--円堂都司昭(文芸・音楽評論家) 今年大注目の本格ミステリであり、必読のリーガル・サスペンスでありーーそして自信を持って推薦する青春ミステリの佳作である。--大矢博子(書評家) まさに本格ミステリの美が凝縮されており、圧巻の一言に尽きる。--末國善己(文芸評論家) 正面切って法の問題を扱いながら難解な箇所がなく、全篇を楽しめる。作者はエンターテインメントの作法をしっかり理解しているからだろう。--杉江松恋(書評家) 法律に関する知識や真摯な考察と、外連味たっぷりな劇的エンタテインメント性とを両立させているのだから、これは無敵と言っていいだろう。--千街晶之(ミステリ評論家) リーガルミステリーの歴史に、新たな傑作が加わった。--吉田大助(ライター) <著者より> 法律は、世界の見え方を変えてくれました。自堕落な生活を送っていた大学生の僕にとって、法律学との出会いはそれくらい衝撃的なものでした。堅苦しくないし、退屈じゃない。むしろ、その面白さや奥深さに魅了されて、気付いたときには法律家の道を志していました。「法廷遊戯」は、僕が知っている限りの法律の魅力を詰め込んだ小説です。読み終えたとき、法律や裁判の印象が変わっていたら、黒と白の間にある灰色について考えていただけたら、著者としては幸甚の至りです。よろしくお願いいたします!
長年勤めた会社を早期退職し、ウェブニュース会社の設立メンバーとなった“不動のエース”元夕刊紙記者・不動優作。だが不慣れなネット環境と人材不足から、発足早々サイト運営は行き詰まる。しびれを切らした出資者兼若手IT社長から、不動たちは「週に一本でいい、一週間バズり続けるスクープを取れ」と命じられてしまう。ネットの素人集団がイチかバチかで挑む、起死回生の一手は「フェイクニュース」!新聞やテレビ、大手マスコミが語らない真実。出来たばかりのネットメディアだから。俺たち忖度なし!
あらゆる縛りから逃れたいと願う二人の女性は、異国の地・日本で出会ったーー。 両親の反対を押し切り、日本の大学で日本語を教える台湾人の柳凝月(りゅうぎょうげつ)は、新疆ウイグル自治区出身で、日本の大学院を目指す生徒の玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)に初めて会った時から魅了されていた。玉麗吐孜もまた、柳凝月に惹かれていた。ある日、玉麗吐孜の元恋人の同居人が部屋を出て行くと言い出し、家賃問題に悩んでいた彼女は付き合い始めの柳との同居を考えたが、今の距離感が心地よく、これ以上親密になるのを恐れていた。一方、柳は玉麗吐孜の受験が上手くいったら一緒に暮らし、いつか結婚しようという想いが募っていた。期待もあえなく、玉麗吐孜は不合格通知を受け、日本に残る理由を失っていた。生国の政治情勢、家族のこと、隠している自分のセクシュアリティー……。共通の言語を持ち、語り合い、玉麗吐孜のことを分かっていると思っていた柳だが、玉麗吐孜が背負う重りを知らずにいた自分に気付く……。 今、注目の新日本語文学の旗手が描く、静かな祈りの物語。 【著者略歴】 李琴峰(り・ことみ) 1989年、台湾生まれ。作家・日中翻訳者。2013年来日。2015年、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2017年「独舞」で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞。2019年「五つ数えれば三日月が」が第161回芥川賞、第41回野間文芸新人賞の候補に。著書に『独り舞』『五つ数えれば三日月が』『ポラリスが降り注ぐ夜』がある。
大きな戦が終わり、敗れた男たちはそれぞれに逃げ落ちる。ついにモンゴル族は統一された。だが、勝者の首を狙う者はあきらめない。そして、未来を見据えて動くテムジンに、大草原の勢力図を激変させる、新たな危難が降りかかるー。
「や、あのさ、あの噂って信じる?」降ってくるコアラ、増え続ける謎の自殺者、リフレインする彼・彼女の毛むくじゃらでポップな日常ー演劇ユニット「マームとジプシー」主宰による現実をゆさぶる初小説集。
余命僅かな登山の師の想いを胸に、たった一人でヒマラヤ最難関・標高8000m超のマカルー西壁に挑む!空中にせり出す“死の壁”を越え、クライマーの頂点に立てるか!?圧巻の山岳小説「ソロ」シリーズ堂々完結!
ためらいなくつないだ手を離せるように、あなたを信じたい。 圧倒的共感度で大注目の著者が贈る“人生がいとおしくなる”恋愛小説。 砂丘の町で育った万智子は大阪の税理士事務所で働く24歳。 顧客のウェディングドレスサロンのオーナー了さんに頼まれ、 週末だけお手伝いのアルバイトをすることに。 了さんに連れていかれた「あつまり」で万智子は 美しくてかっこいい年上の女ともだちに出会う。 そんなある日、サロンに早田さんという男性が現れ、 人生はじめての「恋」のときめきを感じる万智子だったが……。 きれいになるのは誰のためかをぜったい間違えたらあかんでーー 自分を好きになりたい万智子の、小さな勇気を抱きしめたくなる成長物語。